GO!GO!7188 2マンTour“徹子のHair”ファイナル @ 日比谷野外大音楽堂

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5月からスタートしたGO!GO!7188初の2マンライブツアー、その名も『徹子のHair』。本日はこれまで対バンで回ってきたバンド4組を迎えたファイナル公演。昨日は『六・二一事件』と題して、ワンマンライブを行ったのだが、両日ともにあいにくの大雨。GO!GO!7188が野音でライブをやるのは、03年の『九・二一事件』以来5年ぶりのことなのだけど、その時も台風で大雨強風に見舞われながらのライブだったのだ。それでも、しっかりレインウェアを纏い、雨対策も万全なオーディエンスがぎっしりと詰めかけた。

『徹子のHair』ということで、ステージには玉ねぎ頭のドクロマークがあしらわれたフラッグが飾られている。今日、トップバッターを飾ったのは、凛として時雨。激しい雨を切り裂くような甲高い機械音が鳴り響き、3人が登場。今日の出演者の中でも一際冷たい雨が似合うバンドだと思う。青く照らされたステージと、上から下へと降りしきる雨のラインが凜として時雨の轟音サウンドとあいまって、絶妙な光景を生み出している。TKはギターを激しくかき鳴らし、ひたすら歌い叫ぶ。345は低音を激しくも繊細に奏で、ピエール中野はまるで一定に刻まれる雨音を破壊するかのようにドラムを叩き上げる。激しくてすごく熱いんだけど、その熱さは内に秘められていて、どこか傍観しているかのような冷たさが伴う。それがとても凜として時雨らしい。MCは挨拶のみでほぼ皆無。6曲を駆け抜けるように演奏。バンド名が時雨だからかもしれないけど、あまりに大雨とハマりすぎていて、個人的には雨の中というシチュエーションでまた観てみたいと思ってしまった。

続いて登場したのは、ミドリ。鍵盤、ウッドベース、ドラムが折り重なるように自然発生的なセッションが始まり、後藤まりこがステージに姿を現すと会場からは大歓声が。野音の客席を挑発的な表情でゆっくりと見渡し、いきなりステージをのた打ち回るように叫び歌う。「雨の中来てくれてありがとう。寒いやろ?」とオーディエンスをねぎらいながらも「雨に打たれた方が気持ちええな。」と言い放ち、雨に打たれながら昇天する後藤まりこ。そして、ハジメ、小銭、岩見のとっつあんの卓越した演奏力が凄まじい。2曲目で気づいたのだけど、そういえば後藤はずっとハンドマイクで踊り歌い、ギターを弾いていなかった。今夜はギターレス、ミドリ。というわけで、いつもよりもジャズテイストなサウンドを堪能することができた。ライブ後半、後藤は興奮状態で客席に乱入。すごいのは普通、客席に乱入すると大抵はもみくしゃにされて結局スタッフに誘導されてステージに戻るっていうオチなんだけど、盛り上がる観客に囲まれながらしっかりワンフレーズ歌いきって自力でステージに戻り、挙句の果てには客の(?よく見えませんでした。)傘を奪って、めちゃめちゃにぶっ壊してしまった。ラストは観客にマイクを投げ込み去っていくという最高に狂ったライブを見せてくれた。

続いては先日、初の日本武道館公演を終えたTHE BACK HORN。“幾千光年の孤独”でライブはスタート。THE BACK HORNも雨が似合う。裸足で髪を振り乱しながら歌う山田がいつになく色っぽく艶やかだ。武道館では演奏されなかった“カラス”は狂気に満ちていて、妖しい。その反動のように“罠”“覚醒”と激情溢れるナンバーを演奏し、「雨の中、しみったれず頑張って行きます!」という松田のMCで、さらにオーディエンスは盛り上がる。

続いて登場したのは、MCでも鈴木圭介が言っていたけど、今日の出演者の中でも一番年長バンドのフラワーカンパニーズ。雨足がどんどん強まる中、さすがの貫禄で初っ端から“馬鹿の最高”で雨なんて吹き飛ばすような元気が湧いてくるようなロックンロールを届けてくれた。夜になって冷えてきた体も自然と温かく感じられるくらいオーディエンスも大盛り上がり。新曲“この胸の中だけ”は、胸の中にいる小さい頃の自分と対話するという歌。少年と今の自分とのセリフを再現した部分があまりに感動的だった。この後に演奏された“深夜高速”もそうなんだけど、鈴木の心からの言葉が胸に突き刺さる。《生きててよかった》というフレーズは、いつ聴いても耳に残り本当に心に沁みる。ラストは“真冬の盆踊り”で場内全員でお祭り騒ぎ!「よっさほい、よっさほい」と阿波踊りのように両手を挙げて雨の中踊り狂って終了。

と、ここまで観てきて気づいたのだけど、どのバンドもあまりGO!GO!7188との出会いとか、このツアーでの話をMCでしていない。ちょっと寂しい気もしたのだが、なるほど、このためにとっておいたのね、というスペシャルなコラボレーションをラストのGO!GO!7188で観ることができました。ニュー・シングルの“片思いファイター”を演奏した後、このツアーで全国各地のアンコールで披露されてきた2バンドのセッションを一気にここで見せてくれた。しかも、楽曲はGO!GO!7188がリリースしたカバーアルバム『虎の穴2』から。1バンドずつステージに呼び込み、バンドとの出会いやツアーのエピソードを語りつつセッションスタートという流れ。

ミドリとは“アタックNO.1”を。ユウとまりこはワンフレーズごとに歌い、ターキーと小銭のドラムソロ、アッコと岩見のとっつあんでベースソロを披露するなど互いの力を見せ付け究極の闘いを目の当たりに。フラワーカンパニーズとは“ギンギラギンにさりげなく”。ターキーがハンドマイクでステージ上を自由に行き来しながらリードボーカルをとるというなんとも珍しい光景はスペシャル感満載だった。非常に濃いコラボレーションの後は、打って変わって爽やかにスピッツの“スパイダー”を凛として時雨とともに演奏。TKはアコギ、345はベースではなくエレキギターを弾き、ピエールはタンバリンというこれも、なかなか観ることができない光景だ。そして、セッション大会の最後を飾ったのはTHE BACK HORNと演奏した“飾りじゃないのよ涙は”。ハードロック・テイストにアレンジされたこの曲を降りしきる雨の中、激しく披露。どれもこれも、全部がフィナーレを飾るようなテンションの上がりようで、ツアー各地ではこれが1曲ずつアンコールとして披露されたものだから当然のことだけど、お腹いっぱいの盛りだくさんのセッションだった。しかも、このセッションに関してはリハを一切やっていないというからさらに凄い。

これで、終わりかと思いきや(事前にもらっていたセットリストがここまでだったので)、GO!GO!7188だけで最後に“浮船”、そしてアンコールに“ロック”“文具”の2曲を披露。さすがにこれまでのカバー曲とは違って、GO!GO!7188独特の癖のあるロックを見せつけてくれた。前々作『パレード』というアルバムから外部のプロデューサーを入れてアルバム制作をしていて、その時は「外部のプロデューサーが入ってもGO!GO!7188らしさが損なわれない自信がついた」と言っていた。まさに今回の対バンツアーは、さらに拡大させた意味でそのことを証明していて、どんなバンドとツアーしたり、セッションしたりしても、GO!GO!7188はGO!GO!7188でしかない、というオリジナリティを手に入れたからこそ成立したツアーだったんじゃないかと思う。だって、今日演奏したセットリストのうち半分はセッションだったけど、すべてにおいてGO!GO!7188が際立っていたから。すでに9月には新しい対バンイベントも決まっており、どんなGO!GO!7188を見せてくれるのか今から楽しみだ。(阿部英理子)

凛として時雨
1.想像のSecurity
2.CRAZY感情STYLE
3.DISCO FLIGHT
4.Nakano kill you
5.Telecastic fake show
6.感覚U.F.O

ミドリ
1.お猿
2.愛って悲しいね
3.ちはるの恋
4.ひみつの2人
5.獄衣deサンバ
6.あんたは誰や
7.PoP

THE BACK HORN
1.幾千光年の孤独
2.カラス
3.罠
4.覚醒
5.コバルトブルー
6.刃

フラワーカンパニーズ
1.馬鹿の最高
2.アイムオールライト
3.この胸の中だけ
4.深夜高速
5.恋をしましょう
6.真冬の盆踊り

GO!GO!7188
1.片思いファイター
2.アタックNO.1 with ミドリ
3.ギンギラギンにさりげなく with フラワーカンパニーズ
4.スパイダー with 凛として時雨
5.飾りじゃないのよ涙は with THE BACK HORN
6.浮船

アンコール
7.ロック
8.文具
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