Perfume@東京ドーム

Perfume@東京ドーム
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Perfume@東京ドーム
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開演を待ちきれない50000人の手拍子が、17:12の暗転とともに怒濤の大歓声へと変わる中、ウエディング風の純白ショート・ドレスに身を包んだかしゆか、のっち、あ~ちゃんの3人が、十字にクロスする長い花道の3つの端からゆっくりとせり上がり、長いベールを掲げながら、荘厳な儀式のように中央の円形舞台へと静かに歩を進める。そして、舞台上の白布の巨大なテントへと3人が吸い込まれ、“シークレットシークレット”イントロに合わせて時計仕掛け風パフォーマンスをする3人のドレス姿のシルエットが浮かび上がったーーかと思った次の瞬間、テントの布が開いてみるとそこには、いつの間にか目にも鮮やかな総天然色のコスチュームに着替えた3人が! あまりにドラマチックな幕開けに、満場のオーディエンスの高揚感は一気に暴発! 

武道館、代々木体育館、横浜アリーナと次々に大会場ライブを成功させ、デビュー10周年&いざ11年目へ!というタイミングでの金字塔的ワンマン・ライブ『Perfume LIVE@TOKYO DOME 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11』で、ついにたった3人で、屋内のライブ会場としては国内最大級の東京ドームに立つに至ったPerfume(しかも即日ソールドアウト!)。そのまま“不自然なガール”“GAME”“ワンルーム・ディスコ”と必殺ナンバーを畳み掛ける序盤戦で、スタンドはいきなり大激震の熱狂空間へと突入していくのである。

アリーナ部分いっぱいに、巨大な十字を描くように設置された花道。その一端に、ツアー・タイトルにもなっている『1 2 3 4 5 6 7 8 9 0 11』のモニュメントが配置された「いわゆるメイン・ステージらしきもの」がある……が、ドームの客席に入った瞬間に誰もが目を奪われたのはむしろ、その花道がクロスする場所=アリーナ中央にある円形の舞台。この後3時間に及んだこの日のステージでも、実質的なメイン・ステージはこの円形舞台だったし、そこから長く伸びている花道だった。ドームでライブをやるアーティストも、いわゆる「360度ライブ」をやるアーティストも決して少なくはないが、ここまで「『ステージ上にたった3人』だからこそのフレキシビリティ」と、「『この巨大な会場で、少しでも自分たちをオーディエンスから近く感じてもらいたい』という意志」が、ステージの形だけではっきり感じられることは珍しい。そして何より、いくつもの巨大ヴィジョンに浮かび上がる、歓喜あふれっ放しの3人の表情! ポップ極限凝縮の歌メロ以上にポップを体現していくかしゆか/のっち/あ~ちゃんのダンスが、そして中田ヤスタカによるバキバキのトラックが、客席のテンションを1秒ごとにアゲまくっていく。あ~ちゃんの「3人合わせて……」の声に合わせて、ドーム一丸となって「Perfumeです!」と叫び上げる図は、思わず笑っちゃうくらいの大迫力!

「ついにこの日がやってまいりました! 東京ドーム・ライブ、すごーい!!!! すごく大きいです。びっくり! ドキドキが止まらない!」というあ~ちゃんの弾けるような声に、ドームもでっかい歓声で応える。9月頭からリハーサルを開始、制作自体は7月から4ヵ月にわたって行われたというこの日のステージ。そんな晴れの舞台でも、「土日じゃないけぇ、休みは1日しかないじゃろ? その1日を私たちのために使ってくれる人が50000人もおるかと思うと、すごく嬉しいです!」とあ~ちゃんは至って謙虚そのものだ。「すっげ! ドームすっげ!」と上気した顔で笑うのっち。「『ドームでやる』って自分たちで言ったけど、売り切れるって思ってなかったからね。自分で崖っぷちに立とうと思って始めたから」と真摯な思いを語るかしゆか。そこから3人で花道を練り歩き、コスプレ客を見つけては友達かってくらいにフランクにいじり倒して「Perfumeです!」ポーズをキメさせながら、50000人を1人残らずPerfume化させていく。かと思うと、突如客席を「にんじん」「たまねぎ」「じゃがいも」の3つに分けちゃあ「みんなカレー好きじゃろ?」と言ってコール&レスポンスを始めて(「おーにく!」は全員で、だ)、「やっぱカレーの力はすごいわ!」と満足げに笑うあ~ちゃん。そんなMC&コミュニケーションのコーナーで軽く30分ほど使ってしまい、開演時間から1時間すぎてもまだ4曲しかやってない!というのも、彼女たちの大会場ライブならではだ。

あ~ちゃん曰く「ラブい曲を集めてみました」という“ナチュラルに恋して”“love the world”“I still love U”“575”の流れを経て、円形ステージの中央からせり下がって消えた3人。ほどなくステージに再び3人の姿がーーと思ったら、さっきの総天然色コスチュームをまとったマネキン! 続いて花道の端から純白ドレスで風船持って、冒頭同様にせり上がってきたーーのもやはりマネキン。本物はあの「いわゆるメイン・ステージらしきもの」から新たな衣装で登場! “Perfumeの掟”のビートをバックに、ヴィジョンの映像で踊るCGかしゆか&本物のかしゆかが「10人かしゆか」ダンスをキメたり、中央円形ステージに現れたあ~ちゃんがレーザーガンで花道マネキンの風船を次々に撃ち抜いたり、今度はメイン・ステージでのっちが数字のモニュメントとともにカウントUPダンス。その間にあ~ちゃん&かしゆかは花道両翼に展開し……という目まぐるしい展開。「バンド・メンバーもDJもいない、ステージ上にたった3人」を「3人だからこそできることがある」という武器に変えた、機動性と機能性にあふれたパフォーマンスだ。3人が再び真ん中に集結、“VOICE”から“コンピューターシティ”“エレクトロ・ワールド”の強烈なビートとエッジィなアクトで、ドームをさらに揺らしてみせる。

「曲の合間に向き合うとさ、カッコいい曲なのに、笑ってしまうんよね! 楽しくて!」とあ~ちゃん。「新メンバーを紹介します! ティンカーベルです!」(のっち)「空も飛べるよ!」(あ~ちゃん)とか、唐突に「家にハトが巣を作ってこわい」というあ~ちゃんに「ハトがこわいって話をドームでするってカッコいい!」のっちがウケたり「50000人に話したらすっきりしたあ!」とあ~ちゃんがニッコリしたり、といった他愛もないMCでも、会場の温度はさらに上がる一方だ。もはや恒例の「男子!」「女子!」「そうじゃない人!」のコール&レスポンスもダンス指導に加え、生『PEPSI NEX』CMのサプライズまで、いちいち最高。すべてが必殺曲のようなこの日のステージは“パーフェクトスター・パーフェクトスタイル””Dream Fighter”から終盤戦へ突入。“ジェニーはご機嫌ななめ”では花道先端の3人が宙高くリフトアップされたり、“Perfume”では3人それぞれカートの屋根に乗って広大なアリーナをぐるぐると動き回りながらサインボールを客席に投げ込んだり……という見せ場だらけの展開の後に“チョコレイト・ディスコ”が炸裂すれば、50000人の熱気が瞬間沸騰! “wonder2”の大合唱でじっくりと会場のエネルギーを噛み締めた後で、3人がステージを後にしたのが19:39のこと。

津波のようなアンコールの声に、ピンクの衣装に身を包んで再び登場したかしゆか、のっち、あ~ちゃんの3人。「みなさんいい顔してるし……終わりたくないって思っちゃいますねえ」とあ~ちゃん。「『あ、これが“夢みたい”って言うんだな』って思いました」とのっち。「もうアンコールなんですね……まだこれからライブが始まるんじゃないかな?ってくらい、一瞬に感じちゃって。これからも頑張っていきたいし、Perfumeでいたいと思っているので、応援よろしくお願いします!」とかしゆか。熱い拍手喝采が、アリーナからスタンドまで広がっていく。そして、「本当に嬉しいんです。本当に嬉しい……」と、ついに涙をこらえきれなくなってしまうあ~ちゃん。「『21歳で10周年って、苦労人じゃね』とか言われるけど、無駄な時なんてなかったし、前を向いてやってる3人は何も変わらないし……このステージにかしゆかとのっちと一緒に立ててることが、本当に嬉しいです!」。ライブハウスから地道に、確かに歩を進めて、ついにはこの巨大なステージに立った3人の偉業に、惜しみない歓声が降り注いだ……が。そんな感動的な場面で、11月10日リリースの新曲“ねぇ”の紹介を「12月10日に私たちの新曲が……」と言い間違えて会場全体が苦笑失笑に包まれてしまうのも、あ~ちゃんらしいと言えば言えようか。

アンコールでは“ねぇ”、そして「私たちに大きなチャンスを与えてくれた曲です」と最後に“ポリリズム”をひときわ華やかに披露し、「Perfumeでした!」と深々と礼をして、中央円形ステージから奈落へ競り下がって退場する3人。「2010年日本最大のダンス・アクト」は20:05終演。姿が消える寸前の、「幸せだったー!」というあ~ちゃんの甲高い絶叫が、この日の祝砲のように響き渡った。会場の外に出ても、なんだか身体がふわふわ揺れているような気がしたのは、この日のアクトのあったかい感激からか、それとも観客総立ちで踊りまくっていた2階席スタンドが船みたいにずーっと揺れまくっていたせいかは定かではないが。(高橋智樹)


[SET LIST]

01.シークレットシークレット
02.不自然なガール
03.(SE〜)GAME
04.ワンルーム・ディスコ
05.ナチュラルに恋して
06.love the world
07.I still love U
08.575
09.Perfumeの掟
10.VOICE
11.コンピューターシティ
12.エレクトロ・ワールド
13.パーフェクトスター・パーフェクトスタイル
14.Dream Fighter
15.「P.T.A.」のコーナー
16.ジェニーはご機嫌ななめ
17.(コンピューター・ドライビングIntro)~Perfume
18.チョコレイト・ディスコ
19.Puppy Love
20.wonder2

EC1.ねぇ
EC2.ポリリズム
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