凄い!完璧に上昇気流に乗っている!7月2日に移籍第一弾シングル『FUTURE FOLDER』をリリースしたTRICERATOPSのツアー『SUMMER TOUR’08 MADE IN LOVE』、赤坂BLITZ2デイズ公演の二日目。
デビュー以来、踊れるロックを提唱してきた彼らが新たなステージで鳴らしたサウンドは、これまでと変わらず70年代ロックのうねるようなグルーヴと重厚でオーディエンスをぐいぐいと引っ張っていく和田唱のギター・リフだ。だけど、このツアーは何かが違う。移籍してから初のツアーということもあるけど、それ以上にバンドの上昇志向がバシバシと感じられるライブだった。
いきなりビートルズのカバーで幕を明けて、そのまま同じギター・リフを使いながらなだれ込むように自分たちの楽曲にアレンジを加えた形で演奏。曲が終わっても何かしらの音が鳴ってて、一回も音が途切れることなく続けて4曲のキラー・チューンが演奏されたのだ。まるで繋がった1曲のように。終わった後はさすがに30代のメンバー3人とも汗だくで息切れしてたけど…。
その後はさっきの盛り上がりが嘘のように、しっとりとアコースティックセットで演奏。彼らの歌心やメロディの良さが浮き彫りになって、ダイレクトに伝わってくる。始まってまだ40分くらいなのに、TRICERATOPSの両極面を感じることができて、面白いライブだなと思った。この時は椅子に座った状態だったのだけど、なんとベースの林がポケットに財布を入れたままライブをしてたことに、座って初めて気付いたらしく、結局そのまま演奏を続けたのだが、その次に演奏した“Chewing Gum”の出だしが≪右のポケットの中に君の〜≫という歌詞だったため、和田が気を利かせてポケットに財布を入れたままライブをする林を指しながら歌ったのだ。で、観客からの笑いが混じると、下を向きながら懸命にベースを弾いてた林は、自分が演奏を間違えたからみんながざわついてると勘違いしてしまったらしく、演奏を止めてしまったというハプニングもあり、もう1回やり直すというライブならではの貴重な瞬間を楽しむことができた。
和田が「ロックのコンサートで静かになっちゃいけないよ!」と煽ると、さきほどのしっとりしたアコースティック・サウンドから一転、再び盛り上がる。曲間には長いアドリブが随所に散りばめられ、酔いしれるようにお得意のギターをかき鳴らし、TRICERATOPSの真骨頂であるロックのグルーヴが如何なく発揮された。そして後半ハイライト。初期の楽曲“GOING TO THE MOON”で≪上に上に突き進んで≫と歌い、最新シングル“FUTURE FOLDER”で≪突き上げろ いつか掴み取るはずのこの手≫と歌った。彼らは最初からずっと上昇志向で未来を夢見て突き進んできたのだ。レーベル移籍というきっかけが相乗効果を生み、心機一転これからに全力を投球する姿と、デビューから丸11年が経ち新たなステージへと向かう3人の確固たる意思表示を窺うことができるライブだった。(阿部英理子)
TRICERATOPS @ 赤坂BLITZ
2008.07.17