4月13日にリリースされた、ストレイテナーおよそ1年3ヶ月ぶりのシングル『VANDALISM / SILLY PARADE』のレコ発ワンマンライブ「VIVA LA VANDALISM」が、品川ステラボールで行われた。この日は2011年に入ってから初のワンマンであり、チケットは言うまでもなく即完売。また、会場にはUSTREAMとニコニコ生放送の中継が入り、(筆者は会場にいたため正確な数字はわからないが)訊くところによると総視聴者数は3万超にも上ったという。そんな非常に高い注目度の中行われたこのライブが、スペシャルなものにならない訳がない。この日我々が目撃したのは、新旧の名曲群を同位相上で乱れうちする、バンド史上かつてないほどの「攻め」の姿勢に入った彼らの姿だった。
開演時間を少し回った18時05分。客電が落ち、大歓声にのってメンバーが登場。そして会場が鮮やかな青いライトに包まれる中、大山のシンプルなギター・リフレインから穏やかに立ち上がったオープニング・ナンバーは“CLARITY”。徐々に熱を帯びていくバンドのアンサンブルがフロアにえも言われぬ高揚感を送り込んだ次の瞬間、激しい照明の明滅と共に“VANISH”が打ち鳴らされて、フロアの高揚が狂乱に変わる。そしてひなっちの獰猛なスラップ・ベースが唸りをあげた“KILLER TUNE [ Natural Born Killer Tune Mix ]”が終わる頃には、まだ始まったばかりだというのに、信じられないほどの熱気が場内に立ちこめていた。
曲のイントロが始まる度に場内から歓声が上がり、曲が終わる度に誰もが感嘆の声を漏らす。そんな異様な興奮状態となったフロアをさらに焚き付けるかのように、メンバーは体を激しく揺さぶりながら、“ALIBI”→“PLAY THE STAR GUITAR”→“BIRTHDAY”と一気に駆け抜けて、MCへ。そして「久しぶり。この2ヶ月結構長く感じました。短い時間ですけど、同じ夢を見たいです!」というホリエのMCから“FREEZING”をプレイ。口数は少ないけれど、だからこそ余計にグッとくるホリエの言葉によって強固な一体感で結ばれたフロアから、巨大なシンガロングが巻き起こる。
“Lightning”、“Man-like Creatures”と、ミディアム・テンポの楽曲で、霧のかかった深い森の中のような幻想的な風景を描き出していく、しっとりとした中盤のブロックを抜けて再びMC。「ニコニコ生放送とかUSTREAMとかで中継されてると、なんでこう緊張するんだろうね。良いこと言いたいじゃない。万が一にも失言とか避けたいじゃない!」というシンペイのぎこちない語りで笑いを誘ってから、ホリエが「VIVA LA VANDALISMへようこそ!」と叫び、“VANDALISM”へ突入。破壊衝動に満ち満ちた攻撃的なダンス・ビートでフロアのボルテージを臨界点まで上昇させてから、極限までに踊れる仕様にアップデートされた“SPEEDGUN”、そして「東日本のバーサーカーに捧ぐ!」というシンペイのコールから“BERSERKER TUNE”を発射! この流れで完全にノックアウトされたオーディエンスはもう、ただただ全身を投げうって踊り狂うばかりである。
シンペイがドラムセットに昇り、タオルを掲げてオーディエンスをアジテートしてからなだれ込んだ“Melodic Storm”を終え、開始からおよそ1時間半、全編クライマックスってくらいの熱量で進行してきたライブにも、遂に本当のクライマックスの瞬間が近づいてきた。「それでは最後のブロックにいきます」というホリエのMCから披露されたのは“SILLY PARADE”。先日リリースされた両A面シングルの片翼を担う、エッジの立ったアッパーな轟音で疾走していく名曲だ。曲中、幾度となく遊び心溢れる展開へと振り切れながら、オーディエンスを一際激しく踊らせてからのラスト・チューンは“瞬きをしない猫”。最後の最後まで緩むことなく、タイトなアンサンブルをフロアに向けて叩き付け、4人全員で肩を組み、フロアに向けて挨拶をしてからステージを後にしていった。
アンコールでは、「本当にありがとうございます! インターネットで見てくれてる人もありがとうございます!」と、ホリエが感謝の言葉を口にしてから“MARCH”をプレイ。シンプルで力強い言葉とメロディがオーディエンスの心に優しく染み渡り、感動的なムードの中でライブは大団円を迎えた。
いつだってラジカルな姿勢で変化を受け入れてきた彼らのロックは、決して一所に留まることはない。それがたとえ過去の曲であっても、キャリアを重ねる毎にアップデートされていき、常に真新しい表情を我々に見せてくれる。だから何回ライブを見ても飽きないし、すぐにまた見たくなってしまうのだろう。バンド最初期の楽曲から最新曲までを幅広く網羅した今日の全22曲には、ストレイテナーの「今」が鮮烈に刻み付けられていた。(前島耕)
all pics by 橋本塁[セットリスト]
1. CLARITY
2. VANISH
3. KILLER TUNE [ Natural Born Killer Tune Mix ]
4. ALIBI
5. PLAY THE STAR GUITAR
6. BIRTHDAY
7. FREEZING
8. Sunny Suicide
9. REMINDER
10. Lightning
11. Man-like Creatures
12. CLONE
13. クラッシュ
14. VANDALISM
15. SPEEDGUN
16. BERSERKER TUNE
17. Ark
18. TRAVELING GARGOYLE
19. Melodic Storm
20. SILLY PARADE
21. 瞬きをしない猫
アンコール
1. MARCH