GOOD4NOTHING @ 新木場スタジオコースト

GOOD4NOTHING @ 新木場スタジオコースト - pic by H.and.Apic by H.and.A
 轟々と鳴り響くSEに乗せて、広いステージ背後の巨大な鉄骨とともにゆっくりと垂れ下がってくるのは、バンド名入りのどでかいバックドロップ……ではなく、段ボールに「GOOD4NOTHING」と手書きしたちっちゃい看板!という幕開けの時点でキッズの笑いと歓喜が瞬間沸騰する新木場スタジオコーストを、2度のアンコールまで含め30曲以上・2時間半近くにわたって徹頭徹尾沸騰させまくったまま熱風のように駆け抜けた、圧巻のパンク・ロック・アクトだった。

 新たに自ら設立したレーベル「L.M.N.O.P.」からGOOD4NOTHINGが最新アルバム『BACK 4 GOOD』をリリースしたのが昨年9月。そして、10月27日の大阪・十三ファンダンゴ公演を皮切りに全国をサーキットしてきた一大ツアー『BACK 4 GOOD TOUR '10-'11』のファイナル=新木場スタジオコースト。本来なら3月26日(土)に予定されていた同公演だが、3.11大震災後の計画停電の状況などを考慮して新潟GOLDEN PIGS RED/静岡SUNASH(福島・郡山CLUB#9公演は中止)公演とともに順延。その新潟/静岡の振替公演にも決着をつけた上で臨んだ、まさに万感のグランド・フィナーレだ。平日開催という形にはなったものの、Tシャツ姿のキッズも、明らかに会社帰りと思われるワイシャツ姿のファンも、この日を待ちきれなかった!という熱気が開演前から充満していた。そして――。

 「待たせたな! 精一杯楽しんで帰ってくれよ!」と、誰よりも待ちきれなかった様子のU-TANの絶叫から、“27”“Never Too Late”“Honest with myself”と『BACK 4 GOOD』の楽曲で一気に絶頂へ! 結成以来のドラマー=KAWAJINに代わって戦線に加わったSUNEの質実剛健なプレイが繰り出す快速2ビートや爆裂8ビートをエンジンの原動力にして、どこまでもスピード違反の加速と過熱をみせるU-TAN/TANNY/MAKKINの豪快なパンク・アンサンブルと極彩色メロ&コーラス! そして前作アルバム『Swallowing Aliens』からの曲“Ride”の爆走2ビートで真っ白にスパーク! 開演早々、一瞬一瞬がクライマックス!のような音とプレイが矢継ぎ早に飛び出してくる。さらに「友達大事にせえよ!」(U-TAN)と“C&r”の《みんなずっと一緒って訳にはいかない/だから1分、1秒が濃くて楽しい(訳詞)というストレートで赤裸々なメッセージを投げかけ、「今年で13歳になる曲をやります!」(TANNY)と超初期からの激走アンセム“LET'S GO!”をぶっ放し……と、US西海岸パンクのエッセンスを胸一杯に吸い込んだところに己のエモーションと誠意を過積載して日本のシーンめがけて一斉掃射してきたG4Nの「足跡」とますます鮮烈な「今」をがっつり凝縮するような、意欲的な構成だ。

GOOD4NOTHING @ 新木場スタジオコースト - pic by H.and.Apic by H.and.A
 ファイナルに先駆けて、急遽全16公演の中国ツアー『BACK 4 GOOD TOUR in CHINA』を敢行した話を「MAKKINがマンホールに落ちてんな?」とざっくり総括しつつ、後半にはアコースティック・セットで“Count To Four”“Rock and beer”“film”をやったり(「“Maximize”やるか?」と、一瞬だけまさかのアンプラグド2ビートをSUNEがカホンで実演してたのも笑えた)、「俺ら来月からまたレコーディングに入って、夏頃には新しい音源出します! 1stからずっと短い曲を1曲入れてんねやけど、そういう曲ばっか20曲作りました! みんなでレコーディングやろ!」(U-TAN)「みんなできる子や!」(TANNY)と次作収録予定の16小節ぐらいの曲を披露&フロア一丸となって「ヘイ、ユー!」大合唱公開レコーディングを行ったり、勢いに乗ってその「ヘイ、ユー!」の曲を3回やったり、「よっしゃ、踊るかコースト!」(U-TAN)と“Can You Stop Everything?”でスタジオコーストをミラーボールきらめくダンスホールに変えてみせたり……と、4人が4人とも持てるすべてを出し惜しみなく放射していく姿は、感動とか共感とかいう次元をすっ飛ばした熱いヴァイブとなって、踊り歌い拳を突き上げるオーディエンスをさらにびりびりと揺さぶっていく。

 震災の影響でツアーの一部順延を余儀なくされた彼らだが、「無理して笑われへんかったら、笑わんでええけど、しっかり充電して帰ってや! 前回観た俺らより絶対カッコええから!」「ライブハウスから発信できるものはまだまだたくさんあると思うんで!」と、困難な今の状況を受け止めた上でなおも1歩1歩前進していく決意を語り、「SUNEが入って1年ちょっとで、こうしてアルバム出してツアー回れるなんて、夢にも思わんかった! こうしてこのステージに立たしてくれて、ほんまありがとうな!」と、自分たちのレーベルを設立して以降の道程を祝福するようなファンの熱意に感謝の言葉を伝えるU-TAN。さらに沸き上がる高らかな拍手喝采の嵐! 最高に高純度なコミュニケーションがここにはあった。

 「またライブハウスで会いましょう!」と“J.C.”“Stick With Yourself”“Life Will Be Fun”を畳み掛けて本編終了! 2度のアンコールを、さっき公開レコーディングを敢行したばかりの「ヘイ、ユー!」の新曲で、華麗に生き急ぐ大玉花火のようにでっかく締め括ったU-TAN/TANNY/MAKKIN/SUNEの4人。郡山CLUB#9公演は中止になったが、5月23日に同会場で行われるマキシマム ザ ホルモンの東北在住者限定ライブ『とどのつまり東北!~福島県・郡山編~』にゲスト出演することが決定しているし、『BACK 4 GOOD』のツアーDVDも新作音源と同発されるし、ROCK IN JAPAN出演も決定している。夏に向けて、G4Nはまだまだ熱いことになりそうだ。(高橋智樹)
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