米シアトル出身の進行MC・マシュー氏による、メジャー・リーグばりの「PLAYBALL!!」というBxAxG専用呼び込みフレーズも飛び出し、オープニングSEの“恋はワイルド・シング”が響き渡る。そして登場したのは、『E.V.E.R.Y』のジャケット・アートワークでもお馴染みの「楽」のバックプリント・ロゴが施された赤いベースボール・シャツ姿のBxAxGの6人だ。NAOI(Vo.)が「ひとつになろうぜasiaー!!」と昂ったシャウトを繰り出して、バンドはさっそく『E.V.E.R.Y』のオープニング・ナンバーでもある“Believer”をスタートさせた。
スクラッチング混じりのダイナミックなバンド・サウンドに華々しくブライトな歌メロが突き抜け、フロアにはいくつもの手がかざされる。うら若き心の逡巡と連帯感を込め、「Be Alive Ground」というバンド名のルーツがそのまま描き出されるような、率直で地に足の着いたメッセージを届けてくるのであった。HIROのラップは、ヴァースを経るごとにテクニカルかつエモーショナルに展開してゆくのが凄い。これでもかとばかりに、ぐいぐいと力強く引き込んでゆくようなパフォーマンスだ。
「俺たちが茨城から来たBxAxGだー!」と、挨拶も早々に2曲目の“NAMIDA”へと傾れ込んでゆく。ポップでけたたましいシンセ・フレーズのループが加えられたパンキッシュなナンバーだ。バンド・サウンドならではの、歌詞を引き立てる抑揚に満ちたアレンジが実に素晴らしい。そして、先日の『JUMPIN' JACK FLASH』2日目に堂々のトップ・バッターを務めてくれたときも思ったが、2人のボーカリストが交互にメインの歌やラップを届け、片や煽り立てるというBxAxGのライブはオーディエンスに冷める隙を与えない。いや、このスタイルだからそうなのではなく、BxAxGの若くしてライブで鍛え上げられてきた勝負強さがそうさせるのだろうか。
「asia上がってるかー!? おせえよ、上がってるかー!? 楽しいねえ! 『BUMP ON da STYLE』、呼んでくれてありがとうございます! せっかく『BUMP ON da STYLE』なんで楽しくやりたいと思うんで、ここでカバーをやります。知ってたら一緒に歌ってください!」とNAOIが告げて披露されたのは、なんとH Jungle with tの“WOW WAR TONIGHT〜時には起こせよムーヴメント〜”だ。一応補足説明しておくと、ダウンタウンの浜ちゃんと小室哲哉による音楽ユニットの、1995年のヒット・ナンバーである。これを、1コーラス目のサビから一気にロックなアレンジで展開してゆく思い切ったパフォーマンスで聴かせるのだった。ただ有名なパーティ・ソングだからというわけではなくて、ジャングル(後にドラムンベースへと繋がるダンス・ミュージック様式)を取り入れた原曲の曲調がBxAxGのスタイルに嵌っていて、しかもめちゃくちゃエモーショナルにプレイするのである。グルメ山本(G.)も高笑いしながら身を乗り出して煽りまくっている。リンプ・ビズキットの“フェイス”とか、Dragon Ashの“La Bamba”に匹敵するラップ・ミクスチャーの名カバーだと思う。
「俺たちはミクスチャー・ロックが好きなんだ! みんなもそうだろ!? じゃあ行けるよな。頭、揺らしてこうぜ!」と『E.V.E.R.Y』収録曲の中でも最もヘヴィでハードコアな“SYB”を畳み掛けてゆく。カオティックなラップからどキャッチーな歌メロのコーラスへ。このソング・ライティングのセンスもまた素晴らしい。とても耳ざわりが良く、しかし安っぽくはなくて「おっ!」と思わせる心憎い展開が必ず盛り込まれている。で、それをライブにおいてはCDの数割増しという爆発力の演奏で聴かせてくれるのだ。
あっという間に辿り着いてしまった最終ナンバー。メロウなギター・イントロの中で、NAOIは震災の影響により公演延期を余儀なくされていた今回のイベント『BUMP ON da STYLE vol.20 –COME BACK HOME-』のいきさつにも触れ、地元・茨城での生活を心配してくれた人々に感謝の意を表しながら「東北の方とかは俺よりずっと大変なんだと思うけど、俺はもうライブが出来ないんじゃないかって凹んでいたよ。こうしてライブ出来ることが凄く嬉しいです。だから、もう最後の曲だけど、みんな全力で楽しもうぜ」と告げてから、6人は一丸となって爆走しつつ強く背中を押すメッセージ・ソング“Days”を披露してゆくのであった。歌がまっすぐに胸に飛び込んでくる。5曲で30分という短いステージだったけれど、彼らの素晴らしさが幾つも顔を見せたパフォーマンスであった。
今回の『E.V.E.R.Y』レコ発ツアーは、8月まで、各地のライブハウスで行われる予定になっている。詳細はオフィシャルHPを。この優しくも激しく、確実な熱狂を生み出してくれる今のBxAxGと、ぜひ多くの人に出会って欲しい。(小池宏和)
セット・リスト
1:Believer
2:NAMIDA
3:WOW WAR TONIGHT〜時には起こせよムーヴメント〜
4:SYB
5:Days
