京都大作戦2011~今年も楽しむ覚悟でいらっ祭!~(2日目) @ 京都府立山城運動公園

 「お前らほんますごいわ! お前らほんますごい。あの人混みの中でも、あの暑い中でも、笑顔で頑張ってるお前らを見て、お前らに勝てる気全然せえへんけど……このライブの中で、一度くらいは、一瞬くらいは、絶対に勝ったるからな!」。2日目トリを飾った10-FEETのステージ、1曲目の“super stomper”の轟音が巨大なフィールドを揺らしまくった後、TAKUMAが涙目で語ったこの言葉が、今回の『京都大作戦2011』に満ちていたポジティブな熱気をリアルに物語っていると言えよう。10-FEETとその呼びかけで集まったアーティストたちによる鮮烈なアクトの数々――を生み出したのは紛れもなく、『京都大作戦』という磁場に、いや思想に共感して集まった2万人のオーディエンスの強烈なエネルギーだった、ということの証明のような、最高のロック・フェスティバル空間がここにあった。以下、昨日に引き続き2日目レポートです。

 当初「曇り」の予報はどこへやら。MC担当=MOBSTYLES田原氏が「俺も昨日、熱射病で2時間ぐらいぶっ倒れてました!」というくらい炎天下だった1日目をさらに超える「最高気温37度」という、「フェス日和」を通り越した過酷なくらいの陽射し。そんなコンディションすら、メイン・ステージ「源氏ノ舞台」のトップバッター=STOMPIN' BIRDのエネルギッシュなパンク・サウンドが、そして「顔も名前も知らない2万人、お前らの気持ちはよくわかった! 1日に1回本気になる時間があるんだとしたら、今しかねえんじゃねえか!」というYASUの絶叫が、一気にフェスの原動力へと変えていく。「『京都大作戦』、お初です! 10-FEETのみんな、ありがトイス! 今日は最後まで楽しんでいっておくれやす!」というのはもちろんPOLYSICS・ハヤシ。“BUGGIE TECHNICA”から“Let's ダバダバ”まで、宇治の山に電子テクノ・パンクの熱風を吹かせまくっていった。“Right Now”“Try My Luck”の激速ビートと目映いメロディでフィールドにいくつも台風並みのサークルを巻き起こしていたのはdustbox。「『京都大作戦』、何気に皆勤賞です! そして何気にKOUICHIと仲悪いです(笑)。この場を借りて仲直りしたいと思います!」というJOJIのMCで10-FEET・KOUICHI登場、「仲良くしてね」「えーよ!」という寸劇チックな一幕も挟みつつ、最後の“Tomorrow”まで大爆走! そんな3組の激烈サウンドの嵐から一転、「『京都大作戦』、お邪魔します!」というRHYMESTER・宇多丸のMCと“そしてまた歌い出す”“付和Ride On”をきっかけに、「源氏ノ舞台」はキング・オブ・ステージ2MC+1DJが繰り出すソリッド&アグレッシブなヒップホップ空間へ。「いろんなもの迎え撃たなきゃいけないけどさ、夏来ちゃったんだから迎え撃とうぜ!」という宇多丸の言葉が、そして新曲“サマーアンセム”が、まさに今やってきたばかりの2011年日本の夏への至上のエールとして響いた。

 一方、サブ・ステージ「牛若ノ舞台」。朝イチから3ピースとは思えないくらいのヘヴィ&メロディアスなサウンドと熱い楽曲を連射したBUZZ THE BEARS、「毎日楽しいことばっかじゃないから、今日ぐらい満たされていいと思います!」とラテン/ダブ/パンク渾然一体ミクスチャーでポジティブなヴァイブを発散しまくったNUBOをはじめ、NOTIIBELIKESOMEONE/Lainy J Groove/SABOTEN/UNLIMITS/THEイナズマ戦隊といったラインナップがしのぎを削り合う展開。ちなみに、この日の「源氏ノ舞台」最大動員だったマキシマム ザ ホルモン→10-FEETの流れに挟まれた不利な条件だったイナ戦だが、「ホルモンは終わったようやな! マイクロフォンはお預かりした! 俺には歌いたいことがあんねん! お前ら毎日いいことなんかないのわかってんねん!」(上中丈弥)と気を吐きまくって“Ban&An~バカ万歳アホ万歳~”を叩きつけ、「牛若ノ舞台」のトリを見事に飾っていた。インドア・ステージ「鞍馬ノ間」では昨日同様、大阪籠球会&RAPAZの鮮やかなボールさばきが、日陰で身体を休めるオーディエンスをついついエキサイトさせていた。

 「源氏ノ舞台」2日目もいよいよ後半戦。「四の五のじゃねえんだよ! 飛び跳ねろー!」という壮絶なコールで2万人をロックの彼方へ蹴り上げるのはもちろんDragon Ash・Kj! 「京都かかってこい!」「でたらめになっちゃえよ!」と叫び上げながら“For divers area”“La bamba”を連続投下、息つく間もなく「RAMPAGE」Tシャツを着たTAKUMAと“SKY IS THE LIMIT”! 「俺たちは毎年『京都大作戦』すげえ楽しみにしてるし、みんなも同じようにそうであるなら、日本一汗かいて帰ろうぜ!」……台風で中止になった2007年「幻の第1回」にも名を連ねていた盟友・Dragon Ashの言葉が、オーディエンスの魂をびりびりと震わせていく。続いてはPUSHIM with HOME GROWN! 「節電気グルーヴ」Tシャツでオン・ステージした彼女、“Do the Reggae feat. Pushim”から剛軟タテヨコ自在のレゲエ・ビートと産休明け間もないとは思えないほどパワフルなヴォーカリゼーションでフィールドを揺らしていく。「知ってる人、一緒に歌ってくれる?」と名曲“FOREVER”を歌い上げ、“RAINBOW”のハートフルな言葉が染み渡っていく……昨年のLeyona然り、今年のRHYMESTER&PUSHIM然り、一見異種格闘技的に見えるアーティストを巧みに配置して1日のでっかいストーリーを作っていくのも「源氏ノ舞台」の醍醐味だ。さらにトリ前にはマキシマム ザ ホルモン! SEから激震ものの超満員状態になった「源氏ノ舞台」を、“「F」”“maximum the hormone”で一気に鬼気迫るハードコア地獄へ叩き込む! さらに“シミ”“鬱くしき人々のうた”とハード&ヘヴィの極みのような選曲とは裏腹に、「やばい! 3年ぶりの『京都大作戦』! 3年の間に君ら強くなったな! わくわくすっぞ! もう身体が『だめぽ』『むりぽ』って人、正直に手挙げてごらん!(自分も手を挙げる)……あたしが許す! 明日、会社学校休んでよし!」(ナヲ)とぶち上げるわ、3年ぶり出演の理由を「10-FEETのNAOKIとうちの上原(上ちゃん)が3年前に仲違いして、その理由がRIZEのKenKenを取り合うっていう……(笑)」とダイスケはんがでっち上げるわ、それに応えて上ちゃんがぼそぼそっとしゃべって「上原がライブでしゃべった!」とメンバーが驚くわ、とやりたい放題。最後は“恋のメガラバ”で完全燃焼!

 そして2日間最後のアクト、10-FEET! 「みんなありがとう!」とTAKUMA。ステージ中央で円陣を組むTAKUMA、KOUICHI、NAOKI。「2011年7月10日、今日はいったいどんな終わりが待ってんのやろー!」と“super stomper”を鳴らした後、“VIBES BY VIBES”“STONE COLD BREAK”を畳み掛けながら「奇跡を起こそうぜ、奇跡を! 奇跡を起こすのにな、何十曲も要らんねん! 1曲あれば十分なんじゃ!」と感情の高ぶりのままに生き急ぐような3人の凄絶なテンション! “RIVER”で「お待ちかね、建志!」とKjを呼び込むと、Kjは“STAY GOLD”のメロで♪I don't forget 今日の大作戦~、と歌い上げて、さらにTAKUMAが「建志、ひと言だけ言わせて! ♪建志、退院おめでとう~ 建志、おかえり『京都大作戦』~」、そこにKjが「♪TAKUMA、彼女できないよ~」とかぶせ、それがいちいち2万人とのコール&レスポンスになっていく。「ここにいるみんなを、一瞬だけでいいから超えさしてください!」と“1sec.”、♪太陽が昇るあの丘で 僕らは来年も会えますか あの日から明日へもう4ヵ月 俺らはこんなとこじゃ まだ終わんねえぞー!という即興の歌詞を目にいっぱい涙を溜めながら歌い上げ、そのまま“風”で満場のクラップを巻き起こす。最後は“goes on”で2万人大ジャンプ! 「やっと超えられました!」のTAKUMAの笑顔を残して、本編終了! 終演時間ギリギリで1曲だけやったアンコールは“CHERRY BLOSSOM”。《さくら舞う さくらが咲く》の歌詞に合わせて、2万人の頭上に一斉にタオルが舞い上がる! この上ない祝祭感と高揚感を残して、19:49全アクト終了。

 終演後、舞台に挨拶に立った10-FEETの3人。この至上の瞬間にも、「昨日、ゴミが結構落ちてたみたいなんで。俺らも昨日はあんまインフォーメーションせえへんかったけど……いろんな人がおるけど、ゴミを拾ってる人を笑わないでください。で、ゴミを拾わない人も笑わないでください。7月9日・10日の奇跡—―7月10日はあと数時間あります。よろしくお願いします!」と、フェス・オーガナイザーとしての人間くさいメッセージを忘れないTAKUMAに、熱い拍手が沸き上がった。「来年も必ずやるぞー!」とKOUICHI。「ほんまは今日、最後に“リンダリンダ”やるはずやってん! アカペラでやったらどんだけの音量になるか、やってみていい?」というTAKUMAの呼びかけで急遽、2万人アカペラで“リンダリンダ”大合唱! 最後はなぜかガラガラ声(「そんな歌ってないですよ?」とTAKUMAに突っ込まれるくらいに)のKOUICHIの一本締めで、『京都大作戦2011』終了! 最高の2日間が、こうして幕を閉じた。ありがとう10-FEET! 来年もよろしく10-FEET!と心の底から感謝を捧げたくなる、プレシャスな場所がここにあった。(高橋智樹)
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