広いステージの上で、これでもかというくらいに1ヶ所にひっつまった機材のセッティング。至近距離の居合い抜きのように4人が気合いをぶつけ合っている図が想像できて、開演前から勝手にアガっていると、19:11、場内暗転! 白フレームのサングラス姿の向井以下4人の登場に、怒号のような歓声! 「えー、バラードを1曲!」のすっとぼけMCから、バラードどころかいきなり“SUGAR MAN”の衝撃映像集アンサンブルを畳み掛け、「シブヤ・シティの全人口の、東京都の全人口の、日本全国の全人口の80%が……ヘンターイ!」の絶叫で早くも嵐の予感。続く“HIMITSU GIRL’S TOP SECRET”のギラついた7拍子ニューウェーヴ・サウンドが炸裂したあたりで、AXは完全にMATSURI SESSIONの不穏な高揚感に支配されてしまっている。
松下「柔道二段」敦のドラムも、吉田一郎のベースも、カシオマンのギターも一斉に痙攣しまくる“IKASAMA LOVE”まで一気に演奏したところで、「MATSURI STUDIOからMATSURI SESSIONをひねくれあがって、シブヤ・シティにやってまいりました!」の向井のお決まりの口上が、場内の熱気にばんばん油を注いでいく。「9月17日に我々のニュー・アルバムが発売になります! お買いください!」というPRを挟んで、『ZAZEN BOYS IV』から“Honnoji”を披露。松下のドンドコ陣太鼓のようなタムのビートに乗せて「本能寺で待ってる!」と向井が何度も絶唱していく。来るべき超重量級アルバムの予告編としては十分すぎる、戦慄のサウンドだ。
ZAZEN版シティ・ポップス(?)“Weekend”から“The City Dreaming”あたりまでは、もっぱら「キーボーディスト・向井」の時間。最初のうちはライブのアンコールでヴァン・ヘイレンの“Jump”をカバーする程度だったのが、今では“Weekend”でカシオマンのギターと超絶ユニゾンを決めてみせたり、“Don’t Beat”では吉田のバキバキのファンク・ベースとしなやかに絡み合ったり……と、向井の表現ツールとして不可欠なものになりつつある。
「9月17日に、我々の……」ともう1回ネタのように告知を繰り返す向井。 「バラードを1曲!」と再び言って、今度は本当にZAZEN流・超名曲バラード“KIMOCHI”。ここから一気にラスト・スパート! 最後の“RIFF MAN”の向井のギョゥワーンとドライブしまくったギター、そして「耳から、鼻から、ヘソから、ケツから、ナニから飛び出す昇り龍!」のフレーズが、混沌としたこの世の黙示録のように響き渡って、本編終了。
アンコールで再び登場した向井、「9月17日に……」とまた告知して笑いを誘う。「いや、でもみなさん、意外と知らないですからね。地方のライブで会場に入る前、『本当に大好きなんです!』って言ってくれる人いるんですけど、そういう人に限って『今日ライブなんですよ』って言うと『知りませんでした!』って言うんですよね」。そして、「本決まりではないですけど、9月後半にアメリカでライブやります! NYで」という向井のアナウンスに、おおーっと熱い歓声! さらに「9月17日にアルバム出します!」とダメ押しも忘れない。
アンコールでは「涼しい夏の曲を2曲!」と“感覚的にNG”“COLD SUMMER”を叩きつけ、2時間強の狂騒は終了。「みなさん暑いので、風邪引かないように厚着して帰ってください!(原文ママ)」という向井の錯乱カーテンコールだって、大輪の花火のように心地好く響いてしまう。そんな真夏の一夜だった。(高橋智樹)
1.SUGAR MAN
2.HIMITSU GIRL’S TOP SECRET
3.TANUKI
4.MABOROSHI IN MY BLOOD
5.IKASAMA LOVE
6.Honnoji
7.Weekend
8.Don’t Beat
9.DARUMA
10.Metal Fiction
11.Asobi
12.I Don’t Wanna Be With You
13.The City Dreaming
14.KIMOCHI
15.COLD BEAT
16.Friday Night
17.RIFF MAN
アンコール
18.感覚的にNG
19.COLD SUMMER