氣志團@ ZEPP TOKYO  ゲスト:ユニコーン

5月1本、6月1本、7月3本、8月5本、9月6本、10月3本、11月4本、12月1本の合計24本、7月8日のZEPP SENDAI(w/GLAY)以外はすべて都内のZeppとかAXとかO-EASTとかAXとかリキッドルームとかクアトロで行われる、氣志團がゲストを迎える対バンシリーズ『極東ROCK’N ROLL HIGH-SCHOOL』の9本目、ZEPP TOKYO、vsユニコーンの日。なお、2本目の6月28日(火)渋谷O-EAST・w/毛皮のマリーズも、このコーナーでレポートしました。こちら。http://ro69.jp/live/detail/53869

このシリーズ、氣志團が好きな先輩や後輩や同期のバンドを招いて行われているものですが、今日のこれは、ちょっと特別。よく知られているように、阿部義晴、かつて氣志團のプロデューサーを務めていた。その縁で阿部、2004年に、酔ってビルから転落し入院、出演できなくなった星グランマニエの代わりに、氣志團と共に東京ドームのステージに立ったこともあった。あと、氣志團の3rdアルバム『TOO FAST TO LIVE TOO YOUNG TO DIE』のジャケットは、ユニコーンの3rdアルバム『服部』のパロディ。
というわけで、師弟対決的な組み合わせだったわけです。そのプロデュースをやっていた当時は、双方、まさか将来、氣志團とユニコーンで対バンする日が来るとは思わなかったでしょうが。

で。ライブ、どっちもネタ豊富で(特に氣志團)書きたいことがいっぱいあり、でもどっちもあんまりネタバレするといろいろよくないので(これも特に氣志團)、えーと、そうですね、箇条書きにします。
なお、具体的な曲目は、既に綾小路翔さんがtwitterで「この曲やった」ってつぶやいているやつと、これ氣志團vsユニコーンだからやったんであって他の日ではやらないでしょ、というやつのみ、書いてもOK。というルールにします。
では先攻、ユニコーンから。

1 ライブのタイトルに合わせたようで、海援隊“贈る言葉”をSEに、全員標準の学生服と学帽姿で登場。あ、標準というのは、ズボンにタックが入ってたりとかポケットがアイビー(地面に対して垂直の角度になってることをそう呼びました)だったり、上が短ランだったり中ランだったりセミ中(中ランと標準の間の長さのやつ)だったりしない、入学式の時にお母さんが用意してくれる学生服のことです。OTのMCによると、「UC中学から、木更津高校の氣志團先輩に呼ばれて来ました」だそうです。来年受験だそうです。
しかし、あんなぴっちりした学生服、暑そうだなあ。と思ったらやはりそうだったようで、OT、途中で「……暑い。やっぱ、売ってるやつ、ダメだ。特注じゃないと」と、ぼやいてました。あ、でも、服自体は「売ってるやつ」だけど、ボタンだけは特注の「UC中学」のものだったそうです。わかりました? わかりませんでした、私。2Fの一番うしろだったので。
なお、テッシーは第二ボタンはとめずに、彼女募集中であることをアピール。

2 ユニコーン、今、ツアー前半と後半の間の「フェス/イベントを回る時期」であって、その「フェス/イベント用のセットリスト」でした。具体的にいうと、2009年の再始動後の2枚、『シャンブル』『Z』の曲が中心、『ZⅡ』の曲もちょっとあり、あと昔の曲もちょっとあり、というもの。まあ、ROCK IN JAPAN FES.2011の時と同じです。よって、テッシーが歌うあの曲や、MC甲殻類=EBIとカニ(川西さん)がラップをするあの曲もあり。
しかし、ワンマンならともかく、こういうフェスやイベントにおいても、そういう新しい曲たちが、既にアンセムとしてまかり通っているという事実は、すごいと思う。最初にこの「2011年ユニコーンの夏フェス版セットリスト」を知った時は、「いや、いくらなんでも昔の曲やらなさすぎなのでは?」と思ったけど、ROCK IN JAPAN FES.も、この日も、全然OKでした。特に、シングル曲でない“SAMURAI5”あたりが、ライブのハイライトになってるのって、ほんとすごいと思います。

3 その“SAMURAI5”にて。リード・ボーカルの阿部B、ブレイクのあとでなんかお題を出して、メンバーにアドリブで答えさせたあとに、決めゼリフ「あなたのスピード、やばくなーい?」でドーンと曲が再開する、というパターンが、もうすっかり定着していますが、今日のお題は、
「氣志團“One Night Carnival”の歌詞、『Can you master,baby?』って、どういう意味なんだよ?」
でした。超満員のZEPP、大笑い&同意。で、メンバーひとりずつに答えさせていましたが、途中でOTに「おまえ、その場(=レコーディング・スタジオ)にいたろ! なんでそん時に言わないんだよ」と、つっこまれてました。これもみんな同意。
なお、続く氣志團のライブでこの曲をやった時、團長、途中で曲を止めて、この曲を作った時の話と、なんで「Can you master,baby?」だったのか、という話を、長々としてくれました。とても納得しました。そして、さらに爆笑しました。が、これ、こないだのthe telephonesとの対バンの時にも出た話題らしいし、今後も使われるかもしれないので、内容は伏せておきます。


で、次、氣志團。

4 セットリストは、フェスとかでしか氣志團を観たことない人でも全曲知っているような、ベスト・オブ・氣志團的な、大サービスな感じの並び。“黒い太陽”とか。“愛 羅 武 勇”とか。なので、微熱DANJI(ってまだこの呼び方でいいのかな)が踊ったり、ここんとこずっとやってるしROCK IN JAPANでもやってたけどネタバレになるのでいつも書くのを自粛している、とある爆失笑ネタもくり出してました。

5 で。さらにその上、ユニコーン目当てで来て、氣志團もちょっと観よう、どのタイミングで出ようかしら、みたいな人たちも、帰さない。 “黒い太陽”、途中から“SAMURAI5”になるし。團長&光が着替えではけた時、楽器隊の4人だけでやったのは、なんとユニコーンの“SUGAR BOY”だし。ボーカルはランマ。イントロ聴いて「ええっ!」ってびっくりしました、私。で、「へえー、ランマが歌うのか」って、聴いているうちに「……あれ? 知ってる、これ」って、思い出した。2007年に出た『ユニコーン・トリビュート』で、この4人=「星グランマニエと東京シュガー・ボーイズ」で、この曲をやっているのでした。2007年のことです。

6 恩義ある師匠との対バンであるせいか、まさか一緒にやれる日が来るなどとは思っていなかったせいか(解散してたので)、はたまたユニコーンファンのおねえさまたちへの怯えのせいか、それでなくてもMCが長い團長、さらに長い長い長あいことに、なってました。いいけど、いちいち異様におもしろかったから。この方の長い長いMC、これまでに何度も聴いてきましたが、そのアベレージでいってもかなり上の方でした。何度も爆笑した。
この人、ほんっと頭いいよなあ、脳の回転速いよなあ、と、しゃべりをきくたびに、思います。

7 アンコールは、「7年ぶりに師匠とやります」(その7年前が前述の東京ドーム)と、阿部Bを呼び込み、一緒にユニコーンの“スターな男”をプレイ。阿部Bが詞を書いている曲を選ぶところが、さすが團長。で、間奏になったらテッシーが出てきて、トミーのギターを奪い取ってソロを弾き始め、続いて川西さんが走り出てきてユッキをどかせて自分がドラムを……というふうに、すべての楽器がユニコーンの面々にスイッチ、氣志團は全員マイクで歌ったり叫んだりウロウロしたり。フロア&2F、当然、爆発。
で、曲が終わり、みんな楽器を置き、團長、ユニコーンのメンバーに「ひとことどうぞ」って順番に振って、最後に阿部の番になったら、阿部が何を言っても「えっ? なんですか?」ときき返し、「……スピード?」「……ヤバくない?」と、“SAMURAI5”のキメフレーズを言わせようとし、その間に氣志團メンバーはサッと楽器を持ち、耐えられなくなった阿部が「あなたのスピード、ヤバくなーい?」と絶叫、曲がガーン! とスタート。というのを、2回くらいくり返して、ようやくすべてのステージが終了しました。

8 ユニコーンと氣志團の転換中にかかっていたBGMは、ユニコーンの曲を使ったDJミックスでした。一昨年出たリミックス・アルバム『URMX』とかのバージョンではない、聴いたことがないやつ。つまり、このために氣志團側が作ったものである、ということです。
それから、ユニコーンの演奏前と、氣志團の演奏前に、2Fバルコニーの下手端のところに、氣志團&ユニコーンファンの女の子ふたりと男ひとり(に扮した微熱さんたち)が出てきて、15分くらい寸劇をやる、というコーナーがありました。これ、もう爆笑。めちゃめちゃおもしろかった。で、そこまでおもしろかったということは、アドリブじゃなくて、ちゃんと台本があるということです。つまり、台本を書いている人がいるということです。普通のツアーなら、1本書けばそれでいいけど、その内容、氣志團とユニコーンでなければ成立しない内容だったわけで、つまり、この対バンシリーズ、1本ずつ全部違う台本書いて、それをこの3人がやっている、ということなんだと思います。すごくない? 自分たちのことを「台本はある」と歌ったのはグループ魂だが、その台本担当の暴動さんでも、ツアー1本ずつ違う台本書いたりはしないと思う、大変すぎて。
とか書いて、この寸劇、この日だけだったらどうしよう。


で。以上の中で特に重要なのは、5と7と8です。
こういう対バンツアーとか対バン企画って、数年前からほんとにみんな、やるようになった。だから、最初にこの『極東ROCK'N ROLL HIGH SCHOOL』のことを知った時、正直、「ああ、氣志團もやるのかあ」と思った。もっと言うと、「氣志團なのに、そんな、ほかのバンドもやってるようなこと、やるんだ」と思ってしまった。
本当に失礼しました。それを氣志團がやると、こうなるんだよ! という、気合いとプライドに満ちたライブでした、マジに。氣志團は、この対バン企画1本ごとに、相手の曲を2曲カヴァーし、相手の曲でDJミックスを作り、相手のネタで台本を書いて寸劇をやっているわけです。たった1回のライブのためだけに。こんな効率の悪いことやるバンド、ほかにいるだろうか。いない。で、さらにもっとも重要なのは、その死ぬほど経済効率の悪いライブが、その分、死ぬほどおもしろくてすばらしい、という事実です。

その寸劇の中で、「落ち目のロック・バンド」って、はっきり言っていた。まあ、落ち目は言いすぎとしても、上り調子ではないだろう。単純に、今東京ドームでワンマンやれるか、木更津に40,000人集められるか、っていうと、無理だろうし。ただし、やっていることのおもしろさ、すばらしさは、その頃にまったくひけをとっていない、と、本当に思った。いや、経験やスキルがついてる分、上がってるかもしれない。そりゃあかかっている金や関わっている人数は木更津やドームとは違うけど、その分おもしろくなくなってるよなあ、とは、本当に、一瞬たりとも思わなかったので。
堪能しました、とにかく。で、感動しました。(兵庫慎司)
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