SOIL &”PIMP”SESSIONS)、KUNI(Tp/from SLY MONGOOSE)、ヤマカミヒトミ(Sax)ら6人のバンド・メンバーが登場し、“オアシス”のイントロを奏でた途端、「OASIS 360」のオブジェとステージに吊り下げられ
た電飾が赤、青、緑などの光を放ってパッと点灯。「ワー!」という歓声が沸き起こる中、いよいよ永積タカシ登場すると、場内は一気に華やかなムードに包まれた。9月7日に約2年3ヶ月ぶりのニュー・アルバム『オアシス』をリリースしたばかりのハナレグミ。セットリストを見てもらえばわかる通り、今夜はそこからの新曲を挟みながら、ベスト盤的楽曲が趣向を凝らした演出で届けられていく。特に印象深かったのが、中盤のアコースティック・セット。永積ひとりがステージに残って“PEOPLE GET READY”をしっとりと弾き語ったかと思え
ば、ステージ後方に設けられた居酒屋のテーブルみたいなところに行って、バンド・メンバーと缶ビールで「カンパーイ!」。さらにおおはた雄一とふたりで“きみはぼくのともだち”を奏で、その後はマラカスやギロなどを手にした他のメンバーが合流して“マドベーゼ”、ohanaの楽曲“ヒライテル”の繊細なアンサンブルを紡いでいく。何気ない日常を慈しむような歌の数々に、椅子に座ってまったりと聴き入る観客。……と、ここで小さなアクシデントが。“spark”の演奏中に「ドン!」と突き上げるような縦揺れが発生し、客席がザワザワとどよめきはじめる。しかし地震に気づいていないのか、何事もなかったように演奏を続けていく7人。まるで観客の不安を鎮めるように、密やかに紡がれるアンサンブルが強靭に響いていく。
気になれ”では「ワッシャッシャッシャッ」というコール&レスポンスで観客を笑わせ、曲間では「タカシー!」とか「永積大好きだよー!」とかいう歓声に「元気でいいねえ!」とごく自然に受け応える。こういう光景を見るにつけ、なんて不思議なアーティストだろうと思わずにはいられなかった。あくまで和やかなムードでありながら、聴き手の真理をズバリと突くようなシビアさをも兼ね備えたアクト。それらが違和感なく同居しているのは、何と言っても永積の歌の力がハンパないからだ。清らかで、ふくよかで、聴き手を包み込むような柔らかさに満ちながら、ある一点に向かって迷いなく突き進むような強さも備えた、その声。そこには生温かな血がドクドクと脈打つようなリアルな生命力が宿っているし、だからこそ弾けるような熱狂も、神秘的な祈りの歌も、聴き手の心をダイレクトに揺さぶるものとして響くのだろう。“オハナレゲエ”で「ラーラーララー」のシンガロングを誘った後は、“ちきちょー”を熱っぽく歌い上げて本編終了。1曲1曲が濃密すぎたためか、あまりにも早く感じられる幕切れだ。アンコールでは「沖さんとふたりでやるのが夢で」という紹介から“愛にメロディ”をキーボードの沖とふたりで披露。奇しくもこの日は、東日本大震災が起きた「あの日」からちょうど半年後。「6ヶ月前はこういうライブができるのかどうかさえ考えさせられたけど、たまたまこういう大きな節目のときにライブができることを幸せに思っています」というMCに続いて、“あいのわ”へ。場内全体が眩い光で照らされる中、観客ひとりひとりのエネルギーがステージ中央に集結し、巨大なエモーションを生み出しているさまは、まさに至福の極み。さらにダブルアンコールでは“あいのこども”をしっとりと歌い上げ、2時間20分に及ぶアクトは感動的なクライマックスを迎えた。贅沢な音と歌と、場内を包み込む一体感。それらに身を埋められるとは、こうも幸せなことかと思わずにはいられない、至福のアクト。こういう節目のときにこういうライブをすることは、ハナレグミにとって必然だったとまで思いたくなるような、破格の力を感じさせるアクトだった。
9月後半~10月頭に関西4公演の弾き語りツアー、11月には東京・大阪で『live house live』、そして来年1月からはアルバム『オアシス』を引っさげた全国ツアーが行われる。深い哀しみや闇を見つめながらも、確実に前へと向かっていく彼の毅然とした歌声が、全国各地の会場でも大きな共鳴を生んでいくことだろう。(齋藤美穂)セットリスト
1.オアシス
2.Crazy Love
3.大安
4.レター
5.あいまいにあまい愛のまにまに
6.PEOPLE GET READY
7.きみはぼくのともだち
8.マドベーゼ
9.ヒライテル
10.spark
11.光と影
12.音タイム
13.…がしかしの女
14.明日天気になれ
15.オハナレゲエ
16.ちきしょー
アンコール1
17.愛にメロディ
18.あいのわ
アンコール2
19.あいのこども