ハナレグミ @ 代々木競技場第二体育館

ハナレグミ @ 代々木競技場第二体育館

ハナレグミ @ 代々木競技場第二体育館 - pics by 菊池さとしpics by 菊池さとし
あっという間のステージだった。全19曲、2時間半弱。わりとたっぷり曲をやっているのに、1時間ちょっとに感じられた、濃密なステージ。アンコールで永積タカシは「こんなに全てを使ったライブははじめてかも。でも(エネルギーが)無くなりそうなんだけど、湧き上がるものがあるね」と言っていたけれど、聴いているこちら側も、まだまだ音を浴びたいという欲求が尽きることがないような、そんなアクトだった。ハナレグミの代々木競技場第二体育館公演「オアシス YOYOGI DE 360°ステージ囲みまくって熱唱しまくっちゃナイト」。その2DAYSの2日目は、ステージをぐるりと取り囲む観客のエネルギーと、ハナレグミの圧倒的な「歌力」と「人間力」がスペシャルな共鳴を果たした、至福の一夜だったのだ。まず目を奪われたのは、舞台装飾。中央に設けられたステージには「OASIS 360」という文字を象ったオブジェが無造作に転がっていたり、アンプやモニターが花や植物で飾られていたり、と、見ているだけでウキウキしてくるような遊び心にあふれたもの。客席では早くもたくさんのお客さんがビールをあおっていたり、つまみを食べたりしていて、屋内ステージとは思えない開放的なムードが築かれている。そして18:10。SEなしで、おおはた雄一(G)、沖裕市(Key/from 東京スカパラダイスオーケストラ)、鹿島達也(B)、みどりん(Dr/from
SOIL &”PIMP”SESSIONS)、KUNI(Tp/from SLY MONGOOSE)、ヤマカミヒトミ(Sax)ら6人のバンド・メンバーが登場し、“オアシス”のイントロを奏でた途端、「OASIS 360」のオブジェとステージに吊り下げられ
た電飾が赤、青、緑などの光を放ってパッと点灯。「ワー!」という歓声が沸き起こる中、いよいよ永積タカシ登場すると、場内は一気に華やかなムードに包まれた。9月7日に約2年3ヶ月ぶりのニュー・アルバム『オアシス』をリリースしたばかりのハナレグミ。セットリストを見てもらえばわかる通り、今夜はそこからの新曲を挟みながら、ベスト盤的楽曲が趣向を凝らした演出で届けられていく。特に印象深かったのが、中盤のアコースティック・セット。永積ひとりがステージに残って“PEOPLE GET READY”をしっとりと弾き語ったかと思え
ば、ステージ後方に設けられた居酒屋のテーブルみたいなところに行って、バンド・メンバーと缶ビールで「カンパーイ!」。さらにおおはた雄一とふたりで“きみはぼくのともだち”を奏で、その後はマラカスやギロなどを手にした他のメンバーが合流して“マドベーゼ”、ohanaの楽曲“ヒライテル”の繊細なアンサンブルを紡いでいく。何気ない日常を慈しむような歌の数々に、椅子に座ってまったりと聴き入る観客。……と、ここで小さなアクシデントが。“spark”の演奏中に「ドン!」と突き上げるような縦揺れが発生し、客席がザワザワとどよめきはじめる。しかし地震に気づいていないのか、何事もなかったように演奏を続けていく7人。まるで観客の不安を鎮めるように、密やかに紡がれるアンサンブルが強靭に響いていく。
ハナレグミ @ 代々木競技場第二体育館
そして、再びバンド・セットに戻って演奏された“光と影”が素晴らしかった。歌い出しの一声だけで、客席のざわめきを消し去った永積。《光の先の闇を見に行こう》《闇の向こうの光を見に行こう》というキラーフレーズを歌う頃には、場内の空気をすっかりライブの世界に引き戻してしまった。そして“音タイム”で再び観客を立ち上がらせると、“…がしかしの女”で一気にヒートアップ! “明日天
気になれ”では「ワッシャッシャッシャッ」というコール&レスポンスで観客を笑わせ、曲間では「タカシー!」とか「永積大好きだよー!」とかいう歓声に「元気でいいねえ!」とごく自然に受け応える。こういう光景を見るにつけ、なんて不思議なアーティストだろうと思わずにはいられなかった。あくまで和やかなムードでありながら、聴き手の真理をズバリと突くようなシビアさをも兼ね備えたアクト。それらが違和感なく同居しているのは、何と言っても永積の歌の力がハンパないからだ。清らかで、ふくよかで、聴き手を包み込むような柔らかさに満ちながら、ある一点に向かって迷いなく突き進むような強さも備えた、その声。そこには生温かな血がドクドクと脈打つようなリアルな生命力が宿っているし、だからこそ弾けるような熱狂も、神秘的な祈りの歌も、聴き手の心をダイレクトに揺さぶるものとして響くのだろう。“オハナレゲエ”で「ラーラーララー」のシンガロングを誘った後は、“ちきちょー”を熱っぽく歌い上げて本編終了。1曲1曲が濃密すぎたためか、あまりにも早く感じられる幕切れだ。アンコールでは「沖さんとふたりでやるのが夢で」という紹介から“愛にメロディ”をキーボードの沖とふたりで披露。奇しくもこの日は、東日本大震災が起きた「あの日」からちょうど半年後。「6ヶ月前はこういうライブができるのかどうかさえ考えさせられたけど、たまたまこういう大きな節目のときにライブができることを幸せに思っています」というMCに続いて、“あいのわ”へ。場内全体が眩い光で照らされる中、観客ひとりひとりのエネルギーがステージ中央に集結し、巨大なエモーションを生み出しているさまは、まさに至福の極み。さらにダブルアンコールでは“あいのこども”をしっとりと歌い上げ、2時間20分に及ぶアクトは感動的なクライマックスを迎えた。贅沢な音と歌と、場内を包み込む一体感。それらに身を埋められるとは、こうも幸せなことかと思わずにはいられない、至福のアクト。こういう節目のときにこういうライブをすることは、ハナレグミにとって必然だったとまで思いたくなるような、破格の力を感じさせるアクトだった。
9月後半~10月頭に関西4公演の弾き語りツアー、11月には東京・大阪で『live house live』、そして来年1月からはアルバム『オアシス』を引っさげた全国ツアーが行われる。深い哀しみや闇を見つめながらも、確実に前へと向かっていく彼の毅然とした歌声が、全国各地の会場でも大きな共鳴を生んでいくことだろう。(齋藤美穂)セットリスト
1.オアシス
2.Crazy Love
3.大安
4.レター
5.あいまいにあまい愛のまにまに
6.PEOPLE GET READY
7.きみはぼくのともだち
8.マドベーゼ
9.ヒライテル
10.spark
11.光と影
12.音タイム
13.…がしかしの女
14.明日天気になれ
15.オハナレゲエ
16.ちきしょー
アンコール1
17.愛にメロディ
18.あいのわ
アンコール2
19.あいのこども
公式SNSアカウントをフォローする

人気記事

最新ブログ

フォローする
音楽WEBメディア rockin’on.com
邦楽誌 ROCKIN’ON JAPAN
洋楽誌 rockin’on