MUSIC ON! TV presents GG11 11 -10th Anniversary-@幕張メッセ6・7・8ホール(1日目)

MUSIC ON! TVの番組『GGTV -George’s Garage-』のパーソナリティ、ジョージ・ウィリアムズがオーガナイズするライヴイベント「GG (George’s Government)」。その10周年記念として、幕張メッセを舞台に総勢24バンドを迎えて2日間にわたって行われる音楽フェス「MUSIC ON! TV presents GG11 -10th Anniversary-」の1日目。本日の出演アーティスト、並びにタイムテーブルは以下の通り。

〈SUZI STAGE〉
11:00 Droog (OPENING ACT)
12:05 怒髪天
13:55 ASPARAGUS
15:45 FRONTIER BACKYARD
17:35 THE BACK HORN
19:35 Ken Yokoyama

〈QUATRO STAGE〉
11:20 MEANING (OPENING ACT)
13:00 Nothing’s Carved In Stone
14:50 SHERBETS
16:40 The Birthday
18:35 BRAHMAN
20:35 ACIDMAN

ご覧のように、幕張メッセ(初!)での開催ということもあり、今年のライヴエリアは中央のスクリーンを境に併設された〈SUZI STAGE〉〈QUATRO STAGE〉の2ステージ制(大きさは同規模)。会場入り口に掲げられたジョージ直筆の「ライブハウス“幕張メッセ”にようこそ!!!」というメッセージの通り、この同空間内のステージ2つで交互にアクトが行われることで、ライヴハウスの雰囲気が存分に感じられるようなつくりになっている。ちなみに、ステージの名称はジョージの愛犬2頭からとられたらしく、もちろんその元ネタはアメリカの女性ロッカーSUZI QUATROだ。

開演時間となり、向かって左側のSUZI STAGEでは殺気立ったパフォーマンスでどす黒いガレージ・パンクを展開した新鋭・Droogが、右側のQUATRO STAGEでは規格外の圧でハードコア・パンクやメタルを縦断した轟音を叩き付けたPIZZA OF DEATHからの刺客・MEANINGが、それぞれオープニング・アクトを務め上げたところで、中央のスクリーンからこれまでの「GG」の歴史を総括する映像が流れ出す。そして歓声の中、スクリーン下のミニ・ステージにジョージが出てきて「イェーイ! 『GG11』、10周年! 始まったよ!」と開会宣言をぶち上げたところで、ネクスト・アクトの怒髪天がSUZI STAGEに登場! 増子兄ぃが櫛でヘアスタイルをビッ!と整えてからの一発目は“GREAT NUMBER”! 続いて“キタカラキタオトコ”“男は胸に…”の男節2連打! 怒濤のセットリストで完全にエネルギーを注入されたオーディエンスは、4曲目“酒燃料爆進曲”で拳を振り上げ、「かんぱーい!」と大合唱を響かせる。そのまま渾身の力を込めて“オトナノススメ”“ニッポン♥ファイターズ”を叩き付け、「大変な世の中だけど、自分の思う道をドンと行けばいい!」(増子)とラストの“ド真ん中節”へ! 全身全霊の気力を全7曲で絞り出し、ふらつきながらステージを後にする増子兄ぃの背中は、ちょっと異常なくらいカッコよかった。

怒髪天が生み出した場内の熱気が冷めやらぬうちに、QUATRO STAGEでNothing’s Carved In Stoneのアクトがスタート。オープニング・ナンバーの“Truth”を経て、ひなっち(B)の地を這う獰猛なベース・ラインが牙を剥いた“Isolation”、ガリガリに尖ったギター・イントロから立ち上がった“Spiralbreak”と、のびやかに届けられる4人の高純度/高密度のアンサンブルが瞬く間にフロアを制圧していく様は圧巻。百戦錬磨のプレイヤー集団が、各々の個性を爆発させることでつかみ取った唯一無二のロック表現。その圧倒的な煌めきにすっかりと魅せられてしまったオーディエンスは、ラストの“Around the Clock”まで、一心不乱に体を揺らし、貪るようにNCISの音を堪能していた。

続いてはSUZI STAGE3番手・ASPARAGUS。開始早々“DEAD SONG”で原(B)がぶっといベースを発射してフロアの度肝を抜くと、続いてしのっぴこと渡邊忍(Vo/G)のアコギが軽やかに響き渡った“PLASTIC LIGHTER”へ。そしてしのっぴのリズミカルなボーカリゼーションがオーディエンスのダンスを誘った“DIDDY-BOP”を経て、「この曲をthe band apartに贈ります」と“MEND OUR MINDS”を披露。そんな男前な展開からのMCでは、「ここのステージの名前知ってる? SUZI STAGEって言うんだけど、ここだけだと何か下ネタっぽいね(笑)実はさっきトイレでお尻のスージー(筋)が…」と、しのっぴがギャグを飛ばしてフロアの笑いを誘う。演奏はとてつもなくクールなんだけど、MCになるとどこまでもゆるい。そんな愛すべきASPARAGUSのステージに、場内は最高の笑顔で包まれた。


「GG11」もいよいよ中盤戦に差しかかる頃に、大歓声を受けてQUATRO STAGEに現れたSHERBETS。まずは入場SE“Over The Rainbow”のレイドバックした空気を、ベンジーこと浅井健一(Vo/G)が妖艶なクリーン・ギターで冬の朝の路地裏のような寂寞ムードへと塗り替えた“王様と乞食”。そしてグルーヴィーなバンド・サウンドでアグレッシヴに攻め立てる“アンドロイドルーシー”、荘厳なキーボードとダイナミックなギターで挟撃するダンサブルな“カミソリソング”と続いていき、“これ以上言ってはいけない”へ。そしてセットリストの進行と共に深みを増していく彼らの世界観が“小さな花”で極点を迎えると、「ありがとう。またどっかで会おうね。バイバイ」(ベンジー)と簡単な挨拶を済ませて、颯爽とステージを後にした。

次のSUZI STAGEでのアクトは、当初の予定ではthe band apartとなっていたのだが、既に報じられているように、今月初旬に原(B)がすい炎を発症してしまったため、出演キャンセルに。そこで全国ツアー中にもかかわらず、盟友の窮地を救うべく立ち上がったのが、FRONTIER BACKYARDである。“Putting on BGMs”で場内の手を大きくスウィングさせたり、“wonderful world”でハンドクラップを巻き起こしたり、序盤からガンガン攻めの姿勢を見せる5人。そしてなんと4曲目には、「今日はスペシャルゲストが来ています!」とステージ袖からバンアパ荒井を迎え入れ、一緒に“Wish”をプレイ! ここで一気に高まったフロアの一体感を更に盛り上げるべく、“more demand shatter”“hope”と次々にアップ・ナンバーを繰り出していき、最後は“missing piece”でフィナーレ! 予定外の出演ながらも、前のめりのパフォーマンスで幕張メッセをハッピーなヴァイヴスで満たしてくれた彼らに、フロアから割れんばかりの歓声が送られた。

キュウちゃんことクハラカズユキ(Dr)のシックス・カウントから一気呵成に“6つ数えて火をつけろ”へ突入し、フロアの熱気を一瞬にして跳ね上げたQUATRO STAGE4番手はThe Birthday! 4曲目の“Red Eye”では、チバ(Vo/G)がタバコを吸いながらハンドマイクでがなり声を上げ、場内の空気をビリビリ震動させる。そしてそのまま手にしていたブルース・ハープを吹き散らし、フジイ(G)との怒濤のインプロ対決へ! そして間髪入れずに超級アンセム“涙がこぼれそう”を投下! これにはたまらずフロアから、ダイバー達が次々にで打ち上がる! そのままラストの“Baby You Can”まで砂埃を巻き上げながら驀進していった、最新型のThe Birthdayのロックンロール。その破壊力に誰もが驚嘆を禁じ得なかった、戦慄の40分だった。

そしてSUZI STAGE、THE BACK HORN!「こんばんは。THE BACK HORNです」と山田(Vo)が呟いてからのオープニング・ナンバーは、読経のような山田の歌が場内に異様な緊迫感をもたらした“雷電”。メロディアスに駆け抜けた“声”からのMCでは、「地震が起きたり台風が来たり、たくさんの悲しみや苦悩が生まれて本当に大変な時ですけど、音楽が鳴り響いているこの瞬間だけは、至福な時間にしていきたいと思っています!」と松田(Dr)が語る。そして“ブラックホールバースデイ”“コバルトブルー”とアンセム・ナンバーを出し惜しみなく解き放ってから、最後は先の震災を受けて緊急リリースされた“世界中に花束を”を披露。魂を剥き出しにしながら世界に挑んでいく彼らの捨て身のパフォーマンスが、会場の全ての人の闘志に火を点けた、かけがえのない時間だった。

「逃れられねえ。台風から、津波から、地震から、病気から、事故から、死ぬことから。逃れられねえなら、この一瞬を全力で——BRAHMAN始めます」。終盤のQUATRO STAGEに登場したBRAHMAN・TOSHI-LOW(Vo)は、1曲目の“FAR FROM…”を終えて、こう語った。そして雪崩れ込んだ“THE ONLY WAY”からノンストップで10曲目“PLACEBO”まで到達するまで、ライヴはまさしく「壮絶」の一言。渾身の力を振り絞り放たれる、KOHKI(G)、MAKOTO(B)、RONZI(Dr)の轟音。フロアから絶え間なく押し寄せるクラウド・サーフ。そしてオーディエンスに抱えられ、フロアにそびえ立ち歌うTOSHI-LOW。ラスト直前にTOSHI-LOWは、先週のAIRJAMの前に親交のあった東北のライヴハウスのスタッフが事故で亡くなったことを語り、「一回しかねえんだよ。今日一回しかねえんだよ。変わらない日常、変わらない世界、変わらない日常。本日、青天の――」と“霹靂”をプレイ。決して大げさでもなんでもなく、今、この国で僕たちが生きていくための全てが、この日のBRAHMANのステージにはあった。

そしてSUZI STAGEのトリを飾るのはKen Yokoyama。「こんばんは! 初めましての方もいらっしゃるかと思いますが、僕は先週末Hi-STANDARDっていうバンドでギターを弾いてました」と言って歓声を浴びてから、「まずは自己紹介的な感じで始めなきゃなと思って」と、Ken Bandのブルージーな演奏にのって次々と服を脱いでいくパフォーマンスを披露。そして「今日はジョージ・ウィリアムズの日だから」と、「ジョージ」コールを起こして、ようやく一曲目“Running On The Winding Road”へ。いきなりダイバー達が爆発的な勢いでフロアに打ち上がり、場内は瞬く間にパンク・ロック祝祭空間へと早変わり! そのまま5曲目“Last Train Home”まで駆け抜けてから、メンバー紹介。そして中盤には問答無用の“Stay Gold”でフロアのシンガロングを煽り、終盤には「みなさんまとめてあざっす!」と、“Let The Beat Carry On”“Believer”を投下! 再びダイバー達が高く打ち上ったところで初日のSUZI STAGEは大団円を迎えた。

開始から約9時間半が経過した20時35分。QUATRO STAGE、そして1日目の「GG11」の大トリを飾るべく、実に8年連続出演となるACIDMANがオン・ステージ! まずはオープニング・ナンバーの“造花が笑う”でフロアのテンションを最高潮まで導いてから、“ONE DAY”“ストロマトライト”を披露。そして「TOSHI-LOWのアニキも言ってたけど、今しかない。今生きている瞬間が全てだからさ。だから俺たちも最高のライヴをやって最高の空間を作っていくのでよろしく!」というオオキ(Vo/G)のMCから“Under the rain”へ。続く“CARVE WITH THE SENSE”では巨大なハンドクラップが勃発し、“ある証明”ではオオキの絶唱に誘われて、フロアにダイバー達が続出! 本編ラストは「一番大切なのは、お金とか地位とかじゃなくて、心と心。心が満たされることだと思います」と“ALMA”、アンコールでは“飛光”“Your Song”を披露。本当に大切なものは何か。それを、身を以て教えてくれるACIDMANのロックが、幕張メッセを一つに纏め上げた感動のフィナーレだった。そして全バンドのアクトが終わった後は、ジョージの呼びかけで本日の出演バンドがステージに出てきて記念撮影をして、初日の「GG11」は大団円! 2日目も乞うご期待!(前島耕)


セットリスト

Droog
1. いざさらば書を捨てよ
2. 汚いお尻
3. 人類
4. 犬・犬・犬(ドッグ・ドッグ・ドッグ)

5. HORROR SHOW
6. LOVE SONG

MEANING
1. Just Another Death
2. My War
3. Knock It Off
4. Hope

怒髪天
1. GREAT NUMBER
2. キタカラキタオトコ
3. 男は胸に…
4. 酒燃料爆進曲
5. オトナノススメ
6. ニッポン♥ファイターズ
7. ド真ん中節

Nothing’s Carved In Stone
1. Truth
2. Isolation
3. Spiralbreak
4. Chain reaction
5. November 15th
6. Rendaman
7. Around the Clock

ASPARAGUS
1. DEAD SONG
2. PLASTIC LIGHTER
3. DIDDY-BOP
4. MEND OUR MINDS
5. BEGINNING
6. I FLY
7. SILLY THING
8. FALLIN’ DOWN

SHERBETS
1. 王様と乞食
2. アンドロイドルーシー
3. カミソリソング
4. これ以上言ってはいけない
5. JJD
6. 小さな花

FRONTIER BACKYARD
1. Putting on BGMs
2. wonderful world
3. TRACE NONE
4. Wish feat. Arai Takeshi (the band apart)
5. more demand shatter
6. hope
7. missing piece

The Birthday
1. 6つ数えて火をつけろ
2. なぜか今日は
3. ホロスコープ
4. Red Eye
5. 涙がこぼれそう
6. Ready Steady Go
7. Baby You Can

THE BACK HORN
1. 雷電
2. 声
3. ひょうひょうと
4. 何もない世界
5. ブラックホールバースデイ
6. 戦う君よ
7. コバルトブルー
8. 世界中に花束を

BRAHMAN
1. FAR FROM…
2. THE ONLY WAY
3. EPIGRAM
4. SPECULATION
5. SEE OFF
6. YOU DON’T LIVE HERE ANY MORE
7. 賽の河原
8. BASIS
9. BEYOND THE MOUNTAIN
10. PLACEBO
11. 霹靂

Ken Yokoyama
1. Running On The Winding Road
2. Punk Rock Dream
3. Ricky Punks
4. Pressure
5. Last Train Home
6. Your Safe Rock
7. I Go Alone Again
8. Stay Gold
9. How Many More Times
10. Let The Beat Carry On
11. Believer

ACIDMAN
1. 造花が笑う
2. ONE DAY
3. ストロマトライト
4. Under the rain
5. CARVE WITH THE SENSE
6. ある証明
7. ALMA

EN1. 飛光
EN2. Your Song
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