ザ・スクリプト @ 赤坂BLITZ

ザ・スクリプト @ 赤坂BLITZ - ザ・スクリプトザ・スクリプト
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アイルランド出身の3ピース・ギター・バンド、ザ・スクリプト(The Script)。ここ1ヶ月ほど海外音楽メディアで“世界規格の新人バンド現る”と話題の存在となり、先々週ヨーロッパでデビュー・アルバム『ザ・スクリプト』が発売されるやいなや、UKおよび本国アイルランドのアルバム・チャートで1位を獲得。ポップ、ロック、ヒップホップからケルト・ミュージックまでを、ありそうでなかった形で融合させた間口の広いサウンドと、誰もがシンクロできる苦悩や歓喜の思いを綴った歌詞など、確かにその作品世界は、今後より大きく化ける可能性を感じさせるものだ。

そうした期待感や海外での状況をダイレクトに反映した、輸入盤店等での大展開、およびラジオ・オンエアなどで認知が広まりつつあるものの、まだまだそのバンド名を聞いたことがない、という人が大半だろう。日本デビューは10月、という彼らの初来日公演が早くも実現した。

関係者向けのお披露目も兼ねてはいたものの、会場の赤坂BLITZはほぼ満員。勢いに乗る彼らのステージをいち早く目撃できる機会を見逃すまい、という空気感がフロアに充満している。しかし、当初あった「お手並み拝見」といったムードが次第にほぐれ、最終的にはフロアがそのメロディの虜となっていくのが手に取るように伝わってくるライブとなった。

ブルーライトに照らされたステージに姿をみせたのはサポートのベーシスト1名を加えた4名。ギタリストのマークが家庭の事情により来日がかなわなかったため、今回は急遽サポート・ギタリストが加わっている。黒をベースにしたシンプルかつシックな衣装、メンバー2名のたたずまいもアーティスト写真のイメージそのままといった感じで、実に飄々としている。写真で端正な顔立ちだな、と思っていたボーカルのダニエルは、実際ハンサムで、今後女子人気をかっさらっていきそうな予感。

“ビフォアー・ザ・ワースト”から幕開けたステージ。今夜の見所の一つに、彼らのアルバムにあるダイナミックなスケール感が、果たしてライブで再現されるのか、というのがあった。その点では、序盤こそ硬さを感じさせたものの、曲を経るに従い硬さもほぐれていき、確かな技術に裏打ちされた演奏で、期待値に応えるパフォーマンスをみせてくれたと思う。ボーカルのダニエルの歌唱力も抜群で、時折みせるラップはスピードもあるし、リズミカルでかつ滑らか。

実は彼らはダブリンの貧民街に生まれ育っており、デビューに至るまでの間に様々なドラマを背負ってきている。そうした生い立ちをある種の芸風としてパフォーマンスに反映させるアーティストは少なくないのだが、彼らの驚くほど破綻がなく端正なパフォーマンスは、そのエモーショナルをとにかく咀嚼して、あくまでポップとしての純度を高めて表出させているように思える。こうしたアプローチのアーティスト、最近いそうでいなかった。

そして、あの普遍性をたたえたサウンド。ノスタルジックでかつキャッチーな、一度聴いたら離れないこのメロディが、私たちの日常生活のいろんな局面にするっと入り込んでくる様子がすごくイメージできる。ついでに言えば、「僕達は共に泣く」と歌われる“We Cry”なんてここ日本の泣ける映画ブームなんかともシンクロしていると思わされる面が少なからずあって、実は作詞面にもそういう“時代の声”を掬い上げるポテンシャルを感じさせる。

デヴィッド・ボウイの“ヒーローズ”のカバーで終演となったステージ、その後鳴り止なかったフロアの拍手からは「まだまだ彼らのステージが観たい」というパッションが感じられた(それに応えて予定外のアンコールがありました)。この先、どういうふうにオーディエンスから愛されていくのか、楽しみなアーティストだ。(森田美喜子)

1.Before The Worst
2.Take You Down
3.Break Even
4.We Cry
5.The Man Who Can’t Be Moved
6.The End Where I Begin
7.Fall For Anything
8.Rusty Halo
9.Heros(デヴィッド・ボウイのカバー)

アンコール
10.We Cry
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