andymori@新木場STUDIO COAST

andymori@新木場STUDIO COAST - pics by 佐藤哲郎pics by 佐藤哲郎
前任のドラマー後藤大樹の脱退後、新ドラマーとして岡山健二が加入し、新生andymoriとなって初の作品となった3枚目のアルバム『革命』を今年6月にリリースしたandymori。このアルバムを携えてライブツアー『秋の楽園ツアー』が9月からスタートした。彼らのホームとなる東京公演の会場はバンド史上最大キャパとなる新木場STUDIO
COAST。小山田が「今日が一番でっかい。むちゃくちゃ人がいますよ。むちゃくちゃ見えるよ」と言っていたとおり、フロアは前方から後方まですし詰め状態のオーディエンスで埋め尽くされていた。

ステージには「andymori」のロゴがあしらわれたフラッグが中央に飾られている。開演時間の19:00を回ったところで会場が暗転し、メンバーらしき人影がステージに現れた。と思いきや、「どうも、こんばんは!
平均年齢40歳のdandymoriです!」と先ほどまで「andymori」だったフラッグの頭に「d」が現れ、会場をどよめかせた。なんと、andymoriのスタッフ3人(マネージャー、ローディー、ドライバー)によるdandymoriだったのだ。しかも、"ユートピア″のカバーまで披露。《バンドを組んでいるんだ
すごくいいバンドなんだ みんなに聴いて欲しいんだ》とオーディエンスに熱弁するよう。andymoriの前座として相応しい曲で大いに会場を盛り上げた。

andymori@新木場STUDIO COAST
andymori@新木場STUDIO COAST
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そして、いよいよ本家andymoriの3人が登場。なんとdandymoriと同じく"ユートピア″からライブはスタート。後半にかけての駆け抜けるようなスピード感にそのまま乗って、疾走していくandymoriサウンドは驚くほどに心地良さを増していた。春のツアーを経て、アルバムを発売し、今回のツアーで新生andymoriの結束力はより確かなものとなったような気がする。ドラムの岡山を中心に3人が目を合わせながら向かい合い、お互いを確かめ合う様子からは、今彼らが自らの音楽を愛おしみながらプレイしているんだという意気込みを感じずにはいられない。そして、さらにパワーが増したなと感じたのは、"青い空″や″1984″、最新作から言えば"無までの30分″などミディアムテンポの楽曲で見せた小山田の熱のこもった歌の力だ。これには本当に目を見張るものがあった。深みを増した小山田の声と安定感のある演奏はストレートにオーディエンスの心を掴み、圧倒的な説得力を備えていた。

性急なリズムに畳み掛けるような言葉が乗っていくという攻撃的な一面もandymoriの魅力の一つなのだが、今回のツアーではどこかノスタルジックな空気が漂う素朴な雰囲気が大きくフィーチャーされていたように感じる。セットリストのところどころに散りばめられたフォークやカントリーの要素を盛り込んだ楽曲は、オーディエンスに横揺れの一体感をもたらしていた。ロードムービー的ナンバー"グロリアス軽トラ"では《所沢の空の下》を《新木場の空の下》と歌詞を変えてオーディエンスを沸かせたり、新曲"パーティーは終わった"では、藤原、岡山のコーラスが和気藹々とした雰囲気を醸し出していた。つい最近まで小山田が住んでいたという三鷹の部屋をモチーフにした新曲"706号室"や家族や仲間との繋がりを意識させる"兄弟"など、日常の景色から生まれた温かみのある歌がフロアを多幸感で満たしていた。

後半戦に突入すると、熱気が立ち込めた会場をさらに熱くさせるように岡山がTシャツを脱いで上半身裸に!
小山田は速射砲のようにオーディエンスに向かって言葉を浴びせかけ、藤原はアグレッシヴに骨太な低音を轟かして、猛スピードで超高速ナンバーを畳み掛けていった。小山田が「今日はいつも以上に早かったね!
朝までいたいよ、みんなと!」と言っていたけれど、聴いている側の体感時間も本当にあっという間だった。もちろん1曲1曲が短いというのもあるけれど、全30曲、約1時間40分、これまで観てきたandymoriのワンマンライブでも一番と言えるくらい、「え、もう終わりなの?」感が激しい。それだけ濃密で幸せな時間だったのだ。今のandymoriの音楽は、余計なことを考えることなく聴く人の心にストレートに作用していく開放的なものへと進化していて、綴られた虚無感や焦燥感も確かな希望へと繋がっているような気がする。

アンコールでは、なんと来年4月14日(土)、15日(日)にZepp Tokyo2Days公演を行うことを発表!
このツアーで培ってきた3人の信頼関係がどのように花開いていくのか、4月が楽しみでならない。新生andymoriの世界を変える「革命」はまだ始まったばかりだ。(阿部英理子)
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