POLYSICS @ SHIBUYA-AX

POLYSICS @ SHIBUYA-AX
POLYSICS @ SHIBUYA-AX - pics by Tsukasa Miyoshipics by Tsukasa Miyoshi
バンド結成15周年を迎えたPOLYSICS。そのアニバーサリー・ライブ『MEMORIAL LIVE OR DIE!!! ~祝!!! 15周年!!! 「ありがTOISU!」と言ってやる!!!』が、彼らが初ライブを行った記念日である3月4日、SHIBUYA-AXで行われた。なお前日の3月3日には、通算1,000本目のワンマンライブ『MEMORIAL LIVE OR DIE!!! ~祝!!! 1000本
!!! 「おめでTOISU!」と言ってくれ!!!~』を同会場で開催済み。この2DAYSの模様をRO69では二本立てレポートでお送りします。
というわけで、3月3日『MEMORIAL LIVE OR DIE!!! ~祝!!! 1000本!!! 「おめでTOISU!」と言ってくれ!!!~』のレポートはこちら → http://ro69.jp/live/detail/64871

18時07分。“サニーマスター”でオン・ステージした3人は、2月29日にリリースされた15周年記念アルバム『15th P』収録曲の“ありがTOISU!”を投下。過去の楽曲61曲から構成されたこのセルフ・マッシュアップ・トラックで、メモリアル・ライブの幕開けを華々しく飾った。ちなみに昨日の通算1,000本目ライブとはセットリストも違えばステージ演出も様変わり。前日はステージ後方にメンバーが上れる2階建てのやぐらが組んであったそうなのだが、今日はガランとしたステージに楽器と機材が置かれているだけ。代わりに後方のスクリーンでこの日のために作られたオリジナルVJが流れたり、照明が少しだけ凝っていたりしていた。また、フミとヤノのツインドラムだったりヤノのギター演奏だったりと、昨日いくつか披露された飛び道具的なパフォーマンスもほとんどなし。ギター+ベース+ドラムの3ピース&ときどきハヤシかフミが演奏するキーボードという至ってシンプルな構成のみで、アンコールを含む全30曲をいつもどおりハイテンションで駆け抜けてしまった。つまり昨日以上に「いつものポリの、いつものライブ」だったわけだけど、それがすごくよかった。

POLYSICS @ SHIBUYA-AX
POLYSICS @ SHIBUYA-AX
例えば、歌い出しから「X・C・T!」のシャウトがフロアを覆い尽くした“XCT”。例えば、ハヤシのビール一気飲みパフォーマンスに割れんばかりのオイ・コールが向けられた“ワチュワナドゥー”。例えば、お決まりの振りつきダンスでオーディエンスを踊らせた“人生の灰”――。お馴染み「TOISU!」の掛け合いも含めて、約束事をひとつひとつ実行することでステージとフロアが共犯関係をガッチリと結んでいくさまは感動的ですらあった。
ちなみに“ワチュワナドュー”のビール一気飲みは、5年前に同じくSHIBUYA-AXで行われた10周年ライブでハヤシが滑って転んで失敗した因縁のパフォーマンスということで、そのときのエピソードを持ち出して「今日はリベンジ成功できてよかった!」と話す一幕も。実は私も5年前のライブを観ていてMCを聞いて「そういえば!」と思い出したクチなんだけど、そうやって長年積み上げてきたパフォーマンスから過去の歴史が透けて見えるところもまた、感慨深い。つまりメモリアル・ライブだからといって特別なことをする必要はない。ただ今までやってきたことを今までどおり全力で見せていく質実剛健なアクトこそが、結成15周年を祝うには最もふさわしいというパラドックスが、今日のライブでは成り立っていたのだ。

POLYSICS @ SHIBUYA-AX
もちろん、限界への挑戦のような超速ビート&リリックが乱れ飛んだ“明るい生活”、メロディから完全に解き放たれた自由なサウンドの上でハヤシのラップが炸裂した“Mix Juice”など、『15th P』からの新曲にはバンドの新機軸をうかがわせる要素が満載。原曲から大きくアレンジを変えた過去曲がいくつか披露されたりもした。でも変化に富んだパフォーマンスで新たな興奮を生むこと自体、POLYSICSのライブにとっては「いつものこと」であるし、今日のような特別な舞台であっても、そういった空気感が「あくまでも日常的なこと」として貫かれている点がすばらしい。メンバーチェンジなどの苦境に何度も立たされながら、決して歩みを止めることなくバンドを押し進めてきたPOLYSICS。それ自体すごいことだと思うけど、彼らの本当のすごさは、常にアイデアを絞りながら日々のライブに新鮮な空気を与えて続けてきた、そのストイックなまでの攻めの姿勢にあるのだろう。それがよくわかる2時間半だったし、改めて偉大なバンドだと思った。
ちなみに、個人的に衝撃的だったのが、3人体制になって初めて観た“ピーチパイ・オン・ザ・ビーチ”。イントロと同時に金テープが発射され、ステージ上にはゴールドの巨大アフロをかぶった3人の姿が! かつてゴールドのポンポンを振り回すカヨの姿が異彩を放っていたパフォーマンスが、シュールな魅力を失わないままドラステッィクに刷新されていたことに、思わずニンマリしてしまいました。

POLYSICS @ SHIBUYA-AX
アンコールでは、「15年間、あっという間のようで長かったな」と過去をしみじみと振り返りながら、「まだやりたいことはいっぱいあるし、これからもPOLYSICSは前傾姿勢で面白いことを見せていくから!」と新たな決意も覗かせたハヤシ。ダブル・アンコールを終えてステージを去る直前には、「支えてくれるメンバー、スタッフ、Heavy POLYSICK(=ファン)、そして今までポリのメンバーだった全員に感謝します」という言葉も。あたたかくて、ポジティブで、彼らが積み上げてきた15年間の重みを感じされる最高のフィナーレだった。(齋藤美穂)
POLYSICS @ SHIBUYA-AX

SET LIST
1.サニーマスター
2.ありがTOISU!
3.PLUS CHICKER
4.Hot Stuff
5.XCT
6.ムチとホース
7.FOR YOUNG ELECTRIC POP
8.プロテニス
9.明るい生活
10.ワチュワナドゥー
11.Rock Wave Don’t Stop
12.人生の灰
13.DNA Junction
14.Mix Juice
15.MY SHARONA
16.TV’S HIGH
17.MAKING SENSE
18.POLYSICS OR DIE!!!!
19.Shout Aloud!
20.カジャカジャグー
21.スリーオースリーオーマン
22.Young OH! OH!
23.ピーチパイ・オン・ザ・ビーチ
24.URGE ON!!
25.Boys & Girls
アンコール 1
26.Let’s ダバダバ
27.Rocket
28.ドモアリガトミスターロボット
アンコール 2
29.Code4
30.Buggie Technica
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