中盤には「これから未知の世界へ突入したいと思います」と、本邦初公開となる新曲も披露。清冽なギターリフとうねるベースラインがせめぎ合いクライマックスへ電光石火で上り詰めていくこの曲は、9mmらしい切っ先の鋭さと爆発力が十二分に堪能できる楽曲だ。さらに「(ONE OK ROCKが)たくさん曲やっていいって言ってくれたので、今日は長い時間がないとできない曲をやりたいと思います」として、“次の駅まで”“カモメ”など、ミドル・テンポの壮大なサウンドスケープでフロアに心地よい横揺れを生み出すセクションも。「『The World e.p.』というe.p.を出したとき、俺たちも“The world TOUR”というツアーをやったんですけど、そのツアーでは海外には一個も行ってません(笑)」というサービストークも交えつつ、終盤は“新しい光”など切っ先鋭いキラー・チューンを畳み掛け、全15曲というワンマンライブ並みの豪華セットで約1時間のアクトを走り切った。
を軽く突き破るような大スケールの熱狂が生み出されていった。
後半はスロー・チューンや某洋楽バンドのカヴァー曲も織り交ぜつつ、多彩な楽曲を披露。「本当は友達に向けて作った歌だけど、今日からここにいる皆の歌にしていきたいと思います。だから一緒に歌ってください!」とスタートした“C.h.a.o.s.m.y.t.h.”ではフロア一丸の大合唱を導いたり、「俺がカウントを出すので皆さん一斉にジャンプしてください!」と恒例のハイジャンプで幕を開けた“Let’s take it someday”では本日いちばんの激震をSTUDIO COASTに呼び起こしたり――と、力強くオーディエンスを牽引していくTakaの姿が眩しい。さらに「今日のライブを糧に皆さんも明日から新たな一歩を踏み出して欲しい」とか「今回のツアーから僕らも色んなことにチャレンジしていこうと思う」とか、随所で繰り出されるMCもいちいち熱がこもっている。そんな、どこを切っても濃密なメッセージを感じさせる展開でオーディエンスと固い一体感を結びつつ、クライマックスへ向けて未曾有のカタルシスを生み出していくさまは本当に凄まじいものがあった。
さらにアンコールで1曲ぶちかましたあと、最後は9mmのメンバーをステージに招き入れ、記念撮影を行って約3時間弱にわたるステージは幕を閉じた。9mmという好敵手を迎えつつ、怒り、絶望、孤独といった負のエネルギーを爆音に変えることで未来を切り拓いていこうとするONE OK ROCKの真摯な姿勢が存分に垣間見られた圧巻のアクト。阿部真央を迎えて行われる2DAYS2日目となる翌日のアクトでも、大きな熱狂が生み出されることは間違いない。初の海外公演という新たなチャレンジが成されるツアーのスタートを切るにふさわしい、素晴らしい一夜だった。(齋藤美穂)