ドーム初日『YUZU YOU〜二人で、どうむありがとう〜』の濃密な弾き語りスタイルとは打って変わって、この日はパーカッション奏者も加わったバンド編成ライヴ。初日の本編がシングルA面曲少なめ(レポートはこちら→http://ro69.jp/live/detail/68683)の半ば縛りプレイみたいだったこともあって薄々そんな気はしていたのだが、セット・リスト上はほぼシングルA面曲のみという圧巻の横綱相撲ライヴになった。しかも、本編においては前日との重複曲はなし。チャート上位に食い込んできた楽曲の連打だけでも充分豪華なのだが、そこは15周年のスペシャル・ライヴ、至る所にサプライズが仕掛けられていて気が抜けない。
49,139人と発表された来場者が一斉にラジオ体操第一でウォーミング・アップを行い、スクリーンに登場したゆずマンと15のカウント・アップ。巨大な階段状のステージでそれぞれ位置についたYUZU YOU BANDの盤石のサウンドで繰り出されるオープニング・ナンバーは“ストーリー”だった。《筋書きなんて自分で変えてやれ その手で》という歌詞は、自ら紡ぎ上げてきた歌でデビューを果たし、15年の道程を歩んできたゆずだからこその説得力が加味されている。ピアノの旋律が奏でられ、観覧車のCGアニメーションを背景に岩沢厚治と北川悠仁の歌声が鮮やかにバトンを受け渡してゆく切ないラヴ・ソング“桜木町”は、こんなにも地域密着型のタイトルなのに音楽の力によって多くの人々の胸に響いたナンバーだ。
ロック色の強いダイナミックなバンド・サウンドをかいくぐって届けられる2人の歌声も、初日のステージとはまったく異なる味わいだ。かと思えば、フォーク・ポップど真ん中の“明日天気になぁれ”を敢えて豊穣なバンド・サウンドでプレイするという贅沢な一幕もある。僕はバックネット裏の座席からステージを見つめているのだが、“from”ではバックスクリーン側のステージから岩沢によるストーリーテリングが迫り、この距離感を一気に埋めてしまうようだ。
さて、突然、スクリーンにはライヴのリハーサルを終えたゆずの2人が、浴衣姿で銭湯に出掛けてゆく映像が。怪しい支配人の導きで銭湯の暖簾をくぐると、「なんか暗いし、お湯はってないし(岩沢)」と奇妙な光景から裏の世界へと飛び込んでゆく。そしてここで繰り広げられるのはゆずの「裏メドレー」だ。パーカッションが効いた“ボサ箱根”から“ニンジン”“ヒーロー見参”“チェリートレイン”“リアル”“眼差し”“君宛のメロディー”“人間狂詩曲”“凸凹”“健太郎のお姉ちゃん”“ビジネス”“スーパーマン”“みらい”“1か8”“代官山リフレイン”“彼方”、そして“第九のベンさん”で歓喜のタオル回しへ。『リボン』以降のアルバム曲が並ぶ感じで、最後にも“ボサ箱根”で締め。北川がダンサーのお姉さんと手を取り合ってステップを踏み、ノリでキスしそうになって客席から悲鳴があがっていた。これだけやっても前日との重複曲はなしである。個人的には“リアル”と“健太郎のお姉ちゃん”がとりわけ嬉しかった。
北川がダーツを放る素振りを見せ、それがスクリーン上で回転するルーレットのゆずキャラクター、イチゴちゃんにヒットしたところで、エロティックな悪戯心が弾ける“いちご”である。演奏中に、赤ちゃんだったイチゴちゃんはセクシーガールに大変身。スクリーンの中で北川と踊り狂っている。と、アニメキャラだったセクシーガールと映像の中の北川が、突然ステージの3次元へと飛び出してくるイリュージョンを披露してくれた。タイミングも映像とピッタリで盛り上がる。大勢が「YUZU YOU」のハンド・サインを繰り出すダンスでは、岩沢があたふたしていてこれもおもしろい。そして本編クライマックスは、いつまでもフレッシュさが損なわれない“少年”から「今まで支えてくれた皆さんに捧げたいと思います」と最新シングル曲“with you”だ。シンフォニックで力強いバンド・サウンドに支えられ、がっつり歌い上げる2人。最高だ。歌ですべてを持っていってしまう力。これがゆずだ。
客席から“贈る詩”が自然に広がるアンコール。カラフルにペイントされた山車のようなステージ付きカートに乗って、賑々しく“おでかけサンバ”をプレイしながらゆずの2人がそれぞれ場内をぐるりと一巡りしてしまう。そして『YUZU YOU』に収録された、セルフ・カヴァー曲“T.W.L”もここで投下。「これから先もいろんなことが起こると思いますが、せっかく同じ世代を生きているんだから、一緒に歩いていきましょう。僕たちの歌は、いつでも皆さんのそばにいます」と北川が語り、“虹”も披露された。
「皆さんおつかれさまでしたー。このあとは打ち上げが待ってますんで……」という言葉には、さすがに本気で「えええーー!?」の声がドームを揺らす。「あ、いけね」みたいな素振りを見せている2人である。「15周年なのに忘れてた。帰ろうとしてるのにタンバリン持ってた(笑)」とか白々しい。パーカッション混じりのアレンジが勢いに拍車を掛ける“夏色”。当然である。で、例によって「もう1回!」コール→北川の「バカヤロー!!」でリピート演奏という流れなのだが、北川は叫ぶと同時にその場に倒れ込んでしまう。肉体から抜け出た彼の魂は宙に浮かび上がり、白い翼を生やして頭上に輪っかも乗せ、天に召されてゆくのだった。「リーダーが……エンジェルになっちゃった……」と岩沢。ごめん、北川の一大事よりも、ちょっとそっちの方がおもしろい。
オーディエンスの「帰ってこーい!」コールで呼び戻され、天から急速に落下。ゆっくりゆっくり下ってない。そしてステージに激突、という刹那、まるで『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のタイムスリップのシーンのように花道に二筋の光が走り、アリーナ中央に飛び出す堕天使・北川であった。おおおおお、かっこいいー。翼と輪っかもつけたまま、“夏色”をまくしたてる。そして15周年を記念し、かけずり回って15発の祝砲を放つのだ。堕天使、忙しい。
岩沢:「こんなに素敵な15歳の誕生日をありがとうございます。まだ所詮15歳です! まだまだ頑張ります!」
北川:「いつも僕たちを支えてくれる、誇りに思っているスタッフに拍手を! そして、それよりももっと誇りに思っているのが、皆さんです。今日来てくれたみんな、今日来られなかったみんな、これまで支えてくれたみんなに拍手を!」
公式ホームページにも既にアップされているが、ここで8/8にニュー・シングル『また明日』がリリースされることと、2種類の全国ツアーが行われることも発表された。北海道での年越しライヴも含まれ、冬至の日はさいたまスーパーアリーナ公演だ。「興奮した? まだ帰りたくない? じゃあもう1曲やろっか!」と“栄光の架橋”。歌詞を思い切りオーディエンスに預けてしまっていた。この日最大級のシンガロングだ。「帰れないじゃん! えー、ほんとのこと言うと、東京ドームのやってはいけない時間が迫っております(笑)。11年前は、音を小さくされました。始末書も書きました」と困っているんだか喜んでいるんだか分からない表情で更に“友達の唄”へと向かうのだった。豪華な仕掛けの数々も目立ったステージだったけれど、この辺りの楽曲は、どうやら本当に予定されていなかったようだ。
最後の最後に、2人から肉声でホームラン級の感謝の言葉が届けられる。本当に素晴らしい2日間だった。最新ベスト盤とニュー・シングルを携えてのドーム公演だったのに、蓋を開けてみればこれまでのスタジオ・アルバムをいろいろと聴き直したくなるようなライヴでもあった。デビューしてから発表されてきた夥しい数の楽曲群が、キラキラと衰えない輝きを放っていた。これからもきっと、そんな楽曲が生みだされてゆくはず。あらためて、15周年おめでとうございます。(小池宏和)
01: ストーリー
02: 超特急
03: 桜木町
04: 青
05: 明日天気になぁれ
06: from
07: 15th スペシャルメドレー
ゆずゆ 癒し癒されて♡
08: Yesterday and Tomorrow
09: 陽はまた昇る
10: 逢いたい
11: シシカバブー
12: 桜会
13: いちご
14: 少年
15: with you
アンコール
01: おでかけサンバ
02: T.W.L
03: 虹
04: 夏色
05: 栄光の架橋
06: 友達の唄