UNISON SQUARE GARDEN @ 代官山UNIT

UNISON SQUARE GARDEN  @ 代官山UNIT - UNISON SQUARE GARDEN UNISON SQUARE GARDEN
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触れた者すべての脳裏にダイレクトに飛び込んでいく訴求力を持ったメロディ。3人のうち誰か1人が気を抜いたら瞬時に弾けとんでしまいそうなテクニックと爆発力を発揮するバンド・アンサンブル……誰の胸にも輝きうる楽曲を、ロックに選ばれたとしか思えない若い3人が鳴らしていく。それはつまり、最高のロックだということだ。ということを、この日のUNISON SQUARE GARDENを観て改めて思った。

今年7月に必殺技ナンバー“センチメンタルピリオド”でメジャー・デビューを飾った……というか、まさに08年の今、ライブ・シーンの圧倒的な注目と支持で上昇気流に乗っているUNISON SQUARE GARDENの代官山UNITワンマン・ライブは600人キャパぎっちりの満員御礼! そんなフロアの熱気を、まずは“クローバー”でじっくりと確かめたところで、「いくぞー! 代官山ー!」という斉藤宏介(Vo/G)の絶叫とともに“水と雨について”で彼らのアグレッシブで清冽なサウンドが炸裂! 斉藤がいきなりギターの弦を切って慌ててギターを交換していたりもしたが、3人は構わずにロックを加速させていく。

特に分厚い歪みや空間系エフェクトを多用しているわけでもない、どちらかといえばシンプルな3ピース・ギター・ロックのはずなのに、音数の少なさや頼りなさの微塵もない斉藤宏介/田淵智也(B)/鈴木貴雄(Dr)のアンサンブル! “センチメンタルピリオド”のイントロなどは、ギターはオクターブ・ユニゾンのフレーズを弾いているだけ。それが逆に、3人の結束の証のようなソリッドさを与えている。

そして、一見スウィートでカラフルなアイス・キャンディーだと思っていたら、実は真っ赤に焼けた刃だった――とでも言うような熱さと荒々しさを孕んでいる斉藤宏介のボーカリゼーション! キュートさすら感じさせる彼の声が、激するほどにシャープな鋭さとささくれたような痛みを増していく図はそれだけで壮絶だ。

初期から披露し続けてきた超重要曲である“センチメンタルピリオド”を、序盤やクライマックスではなく中盤に配し、バンド独自のセンスとロジックでセットリストを組んでいくあたりもさすがだ。途中のMCで「2曲目で弦切れて、指スパーン切れたのに、全然痛くないっす!」と斉藤。あのテクニカルなプレイを? 指切ったまんま弾いてた? と場内軽く驚愕。その直後、鈴木が「(今日のお客さんは)600人だそうです! 1200の瞳です! 瞳多すぎ!」というMCで笑いを誘う。剛軟を自然に操るライブ運びもまったくもって申し分ない。そして、上気しまくったフロアのオーディエンスに向かって「まあ、わかってはいたけど……いいライブですね!」と言い放ってみせる斉藤の悪戯っぽさが、UNISONのクリアな音楽にミステリアスな色を添えている。

たとえば“サンポサキマイライフ”のクセのあるコード、そしてロックンロールなAメロから4つ打ちのサビへ飛翔してみせる巧みな展開。たとえば“いつかの少年”の、ゴスペルのような荘厳なメロディとコーラス。たとえば……と個々の曲の魅力を挙げれば挙げるほど、このバンドの持つキャパの広さに驚かされる。が、彼ら3人の放つ音と言葉が、あふれんばかりのロマンと反骨心を2008年日本に高純度結晶させたロック・ミュージックであることは間違いない――それを確信した一夜だった。(高橋智樹)
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