avengers in sci-fi @ 渋谷クラブクアトロ

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avengers in sci-fi @ 渋谷クラブクアトロ
 「ありがとう渋谷! 今日、ファイナルですよ、ついに! いいもんですよね、なんか……今日は平日だけど、みんな職がないのかい? まあ、俺たちも明日何にもないんだけどさ。明日後悔しようぜ!(笑)」と、冗談混じりの言葉の中からも思わず感慨がこみ上げまくっている木幡太郎(G・Vo・Syn)のMCを引用するまでもなく、冒頭の“The Planet Hope”からアンコールの最後“Symphony Of The End”の最後の一音まで、ここが銀河と歓喜のど真ん中だ!と言いたくなるくらいに熱気とダンスとシンガロングがあふれ返る、最高のアクト! アルバム『Disc 4 The Seasons』を引っ提げ、6月16日・福岡DRUM SONから日本中を巡ってきた全10本のツアー『Force 4 The Future Tour』のファイナル=渋谷クラブクアトロ公演。今年2月の東名阪ツアー、5月のリリース・パーティー=『2 Yang 1 Wrong - Live 4 The Seasons』@SHIBUYA-AXとワンマン・ライブを次々に大成功させてきた彼らにとって最大規模となるツアーだが、そのグランド・フィナーレでもあるこの日のステージは、アベンズの音楽が描き出すダイナミックなイメージと、その惑星直列級の爆発的なエネルギーを支える3人のロマンのスケール感を、何よりリアルに見せてくれるものだった。

 エフェクターやサンプラーなど膨大な機材に囲まれた、ブースというよりはコックピットと呼ぶのが相応しいような、ステージ上手(向かって右)の木幡の立ち位置。ベースのみならず鍵盤やパッドを操ってアンサンブルにきらめきを与えていく稲見喜彦(B・Vo・Syn)。そして、ディスコ・ビートも鋭利な8ビートも曲ごとに自在に叩き分けながらジェットエンジンの如き推進力を生み出していく長谷川正法(Dr・Cho)……オルタナもメロコアもエレクトロもダンス・ロックも血肉化して、途方もない高揚感を描き出そうとするがゆえに辿り着いた、「3ピース・ロック・バンド」という語感とはまるでかけ離れたフォーマット。しかし、それらの1つ1つが「飛び道具」ではなく、彼らが夢想する世界を体現するために必要不可欠な音の「肉体」の一部である、ということは、アルバム『Disc 4 The Seasons』が、そしてこの日の演奏が如実に物語っていた。

avengers in sci-fi @ 渋谷クラブクアトロ
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 宇宙丸ごと祭囃子の舞台に変えるような“Beats For Jealous Pluto”の強烈なシャッフル・ビート。フロアに鳴り響くクラップの響きととともに歓喜の向こう側へ光速ワープするような“Delight Slight Lightspeed”の飛翔感。ハーモナイザーやコーラスでクアトロ丸ごとめくるめく美の世界へと誘う“Lady Organa”。『Disc 4 The Seasons』でもひときわ存在感を放っていた組曲“Stairway To The Sun.I”“~.II”などで聴かせた木幡のスマパンばりのギター・サウンドはもちろん、“Wish Upon The Diamond Dust”でフロアの狂騒感をMAXに煽るサイレンのような電子音といい、事あるごとにブースから飛び出してきてはハンドマイクでオーディエンスを煽る木幡の熱血ぶりといい、晴れやかな歌声/カラフルなシンセ・サウンド/ゴリゴリの強靭なベースライン、と1人3役で鮮烈なコントラストを生み出した稲見といい、“Nayutanized”の多幸感をドラムソロ経由で“Sci-fi Age Riot”の闇を切り裂くようなビートへと導いていった長谷川のドラミングといい、その1つ1つが圧巻の強度と輝度をもってクアトロ狭しと炸裂していく。そして……この日の軸になっていたのはやはり、“Psycho Monday”“Pearl Pool”“Skywalker”といった『Disc 4 The Seasons』の楽曲群だった。

 見果てぬロックの宇宙を自らの世界に収めようとする「ミュージシャン」としての闘志。そして、木幡の「自分自身を音楽にこめたい」という「表現者」としての切実な想い。その2つが初めて完全に一体化した作品が『Disc 4 The Seasons』だった。四季豊かな日本に生きる個人としてのアイデンティティ。フィクションとしての宇宙旅行のストーリーではなく、自分のみじめさもカッコ悪さも全部その詞世界に取り込んだ上で、現実を飛び越えるスピード感と飛翔力を獲得しようとするリアリティ。それがまさに1曲1曲の中で激しく脈打ちながら、鳴る音すべてに紛れもないロックンロールのバイタリティを与えていた。この日のアベンズのハイパーでハイブリッドな爆音は、「ロックンロールを目指す音」ではなく、どこまでもロックンロールだった。「俺、今回のアルバムだいぶ好きなわけよ。みんな楽しんでる様子が垣間見れるじゃん? 楽しかったです。ありがとう!」と、木幡本人も照れ笑い混じりに言っていたが、そのでっかい狂騒感は取りも直さず、彼自身の、バンド自身の覚醒と進化がもたらしたものだ。

 ツアーの規模も最大なら、本編22曲+アンコールでトータル2時間半近くに及ぶセットリストもアベンズ最大級。特に終盤、“Two Lone Swallows”から始まって“Homosapiens Experience(Save Our Rock Episode.1)”“Universe Universe”と畳み掛ける展開は、どんなスペース・オペラよりもスリリングでエキサイティングだったし、本編最後を飾った“Sonic Fireworks”“Yang 2”という『Disc 4 The Seasons』の2大アンセムは、理想の音を求めてロック・シーンで孤独な旅を続けてきた彼らにとっての最高の祝砲として、誇らしいくらいに熱く、強く響き渡っていた。アンコールの最初、「ありがとうございます!」と何度も頭を下げていた長谷川の姿も、木幡がスマホアプリ「Toneconnect」で『未知との遭遇』よろしくオーディエンスと「交信」していた場面も、アベンズの「今」の決定的瞬間として胸に残る、最高の一夜だった。次のライブは『ROCK IN JAPAN FES. 2012』初日:8月3日15:50・WING TENTにて!(高橋智樹)
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[SET LIST]
01.The Planet Hope
02.Psycho Monday
03.Wonderpower
04.Beats For Jealous Pluto
05.Delight Slight Lightspeed
06.Pearl Pool
07.Skywalker
08.Lady Organa
09.Odd Moon Shining
10.Nayutanized ~ Drum Solo
11.Sci-fi Age Riot
12.Stairway To The Sun.I
13.Stairway To The Sun.II
14.Radio Earth
15.Before The Stardust Fades
16.Wish Upon The Diamond Dust
17.Starmine Sister
18.Two Lone Swallows
19.Homosapiens Experience(Save Our Rock Episode.1)
20.Universe Universe
21.Sonic Fireworks
22.Yang 2

Encore
23.Heartbeat Satellite ~ Space Diamond
24.Lovers On Mars
25.Symphony Of The End
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