the telephones(ゲスト:group_inou) @ SHIBUYA-AX

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 それこそ今まさにスタジアムでサッカーの頂上決戦を目撃しているような満場のフロアの熱気を、次から次へと決定的瞬間が飛び出すようなライブ展開で、AX一丸となってさらに歓喜の絶頂へと駆け上がるような怒濤の高揚感! 以前ここでレポートした5月の渋谷クラブクアトロ6Days公演最終日でも告知されていた通り、the telephonesの2012年秋ツアー『RED HOT DISCO!!!』に先立ってここSHIBUYA-AXにて行われたツアー開幕戦ライブ、その名も『KICK OFF DISCO!!!』は、テレフォンズというバンドがひとつひとつ自分たちの手で「あり」にしてきたものの多幸感を、この日を待ちかねたオーディエンスとともに全力で分かち合うような、どこまでもプレシャスな時間だった。

 この日のゲストは、2010年『We Love JAPAN!!! Tour』でも対バンを果たしているgroup_inou。“THERAPY”“COMING OUT”などの楽曲に加え、10月10日にリリースされる新作アルバム『DAY』から“ORIENTATION”なども交えつつ、エレクトロ・ヒップホップの狂騒感と享楽感を爆音で逆噴射させながら「その先」への推進力を獲得していくような力強いアクト。完全にこの日のために作ったらしい『9.21』Tシャツ(背中にはしっかりthe telephones/group_inouのWネーム入りだ)を身にまとい、たった2人しかいない広いステージを踊り跳び回るMC:cp。「前、一緒にツアー回って。何ヵ所か回ってると、結束強くなってくるじゃん? 俺たちが出る最終日、テレフォンズのTシャツ着たら、スタッフよりもスタッフっぽくなっちゃって……」と、せっかくのWネームTシャツを着ていない理由を説明してフロアを沸かせるDJ:imai。この「the telephonesキック・オフ祭り」一色な空気感はgroup_inouにとってはアウェイな舞台設定ではあったが、それでも終始アグレッシブに曲を畳み掛けてはオーディエンスをぐいぐい巻き込んでいたのはさすがだ。

the telephones(ゲスト:group_inou) @ SHIBUYA-AX
 group_inou終演後、ほどなくステージ上でミラーボールがきらめき始め、審判らしき人がホイッスルを吹くと同時に、『KICK OFF DISCO!!!』のロゴが染め抜かれた長い横断幕が掲げられ、そこに『9.21』Tシャツを着たテレフォンズの4人が登場! 「9月21日SHIBUYA-AX、『KICK OFF DISCO!!!』へようこそ!」の石毛輝のあの高音シャウトが飛び出した瞬間、会場のボルテージはあっさりレッドゾーンまで跳ね上がる。「まずはgroup_inouにでっかい拍手を! めったにない機会なんで、写真を撮ろうと思います! みんな、ケータイとかカメラとか持ってたら、撮っていいです! というか、むしろ撮ってください!」と、まずはフロアのほうを向いてポーズをとり、続いてフロアを背にしてオーディエンスと一緒に記念写真を撮る4人。石毛輝/岡本伸明/長島涼平/松本誠治それぞれがサッカーボール(型の風船)をフロアに蹴り込んで、いざキック・オフ! 「……じゃあ、ちょっと着替えてくるから。次は灼熱のDISCOで会おうぜ!」の石毛の声とともに、4人一時退場。

 そして20:14、いよいよthe telephones開演! ちなみに、今回の『KICK OFF DISCO!!!』に関してはアーティスト・サイドから「セット・リストは書いてOKです」との承諾をいただいたのだが、それは23日からの地元・埼玉4公演『RED HOT DISCO!!!~PLAYBALL SAITAMA~』と全国ツアー『RED HOT DISCO!!!』に関してはまた違ったセットリストでくるからかもしれないし、あるいは「ネタバレなんて全然怖くないし」というバンド側の自信からかもしれない……といろいろ想像は広がるが、それはひとまず置いておいて以下、この日のセットリストである。

01.sick rocks
02.D.E.N.W.A
03.Baby.Baby.Baby
04.HABANERO
05.Broken Government~理想の世界~
06.It's OK
07.Wooo Hooo
08.kiss me, love me, kiss me
09.I Hate DISCOOOOOOO!!!
10.A A U U O O O
11.Urban Disco
12.D.A.N.C.E to the telephones!!!
13.Monkey Discooooooo
 -we are DISCO!!!-
14.Odoru~朝が来ても~

Encore
15.mushroom planet
16.Love&DISCO

 もう、すごい。全編にわたってテレフォンズの「DISCOと書いてROCKと読む」的な熱血ダンス・ロックの究極形と言うべき熱演を、本編1時間強+アンコールの中にぎっちりと凝縮したアクト。今や国民的テレフォンズ・ナンバーとなった冒頭の“sick rocks”どころか、その前の「バンドを始めてから最高のツアーにしようと思うので! 初日、やっちゃおうぜ! 両手を上げようぜ、みんな! そのままーー踊ろうぜ!!!」という石毛の絶叫が終わって演奏に突入した瞬間からAX丸ごと激震の熱狂ぶり。メタルもハード・ロックもパンクもテレフォンズ流のDISCO空間にジャック・インした“D.E.N.W.A”。「まだ4曲目だけど、DISCOの向こう側に行こうぜ!」とオーディエンスをでっかいハイジャンプへと導いてみせた“HABANERO”……全力で今この瞬間を楽しみまくっているような4人の開放的なサウンドが同時に、その1音1音に爆発的なエネルギーを秘めている。石毛の歌とギターも、ノブのシンセ・プレイや複雑骨折系ダンスも、涼平&誠治のパワフルなリズムも、「余裕がある」というのとはまた違う。「自分たちの情熱を完全燃焼させる」ことと「衝動炸裂音楽としてのロックの極点を突き詰める」こと、さらに「バンドを全力で楽しむこと」を、何一つ矛盾することなくそのバンド・アンサンブルの中で実現してしまっている、ということだ。
 
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 「この配信全盛の時代に、会場限定リリース!」と石毛も言っていた通り、この日も会場で限定販売されていた『The Telephones In Wonderland E.P. ~不思議の国のテレフォンズ 短編集~』からいち早く演奏してみせたのは、16ビートの目映い高揚感が印象的なニューウェーブ/エレクトロ・サイド・オブ・テレフォンズの真骨頂的なナンバー“Broken Government~理想の世界~”。「せっかくなので懐かしい曲も……」と披露したのは1stアルバム『JAPAN』の“It's OK”。「カマーン! 今日は金曜日だぜ! キック・オフってどういう意味か知ってる? 『ここから伝説が始まる』ってことさ!」とキザな台詞をキメつつ、なぜか国立競技場で行われている某アイドルのライブに対抗意識(?)を燃やすノブのMC……といった名場面の数々。そして、「ここからカオスなディスコにしようぜ!」という石毛のコールを合図に、ステージ一面のスモークとともに鳴り響く“I Hate DISCOOOOOOO!!!”から“A A U U O O O”“Urban Disco”へと雪崩れ込んだ後半の、むせ返るような熱量と祝祭感! エレクトロでハイブリッドな音の質感の奥底でロックンロール・バンドとしての野性をたぎらせながら、他でもないそのロックンロール魂でもってAXのDISCO感を天井知らずに煽り倒すこの日のテレフォンズの姿は、実にスリリングで、頼もしかった。民謡級にゆったりした歌もの部分とアップ・テンポの目映いビート天国の間を行き来する新EPの楽曲“Odoru~朝が来ても~”が、彼らの新たな表情を覗かせてーー本編終了。

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 アンコール1曲目は、抽選箱から観客(ノブが無作為に選んだ1人)がクジを引いて、そこに書いてあった曲を演奏するーーという、オーディエンスのみならず自分たちに対してもサプライズを仕掛けるような趣向で、この日のクジに書かれていたのは1stデモCDに入っている“mushroom planet”(2008年の初ワンマン以来4年ぶり!)。ステージもフロアも残ったエネルギーを爆発させて視界を真っ白にスパークさせるような正真正銘のラスト・ナンバー“Love&DISCO”の後、「……最後の最後、指がつった(笑)。それだけ最高だったってことだよ!」と満足げに語りかける石毛。1人だけ残った熱気まみれのステージで、スポットライトを浴びながら凸凹ヒューマン・ビートボックスを披露して爆笑を誘うノブ。これだけの狂騒空間がまだツアー初日?という驚きと感激に誰もが包まれた、最高のアクトだった。

 『RED HOT DISCO!!!』ツアーで全国各地を回った後は、昨年のさいたまスーパーアリーナでファイナルを迎えたはずの年末企画『SUPER DISCO Hits!!!』を、12月22・23日に『SUPER DISCO Hits!!! RETURNS』としてラフォーレミュージアム六本木で開催するthe telephones。「一日でテレフォンズの歴史が分かるFANTASTICなセットリスト」で臨む「~FANTASTIC DISCO PARTY NIGHT~」(22日)、ツアーやフェスで磨き上げた「2012年現在、BESTのセットリスト」を聴かせる「~THE BEST DISCO PARTY NIGHT~」(23日)の2日間へと続くテレフォンズの快進撃は、今まさに始まったばかりだ。(高橋智樹)
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