〜夏だ!花火だ!神聖かまってちゃんだ!〜ねこねこインターネットツアー
驚くほど、音楽的に洗練されたステージだった。バンドの音像が小綺麗にまとまっていたとかそういうことではなく、バンドが音楽表現に対しとてもストイックで、それによって大きな充実感が得られるステージだったと言うべきだろうか。アルバム『楽しいね』を携え、年を跨いで全国展開中のツアー・Zepp DiverCity公演。セットリストは掲載の許可を出して貰っているので文末に記載するが、今後の公演を楽しみにされている方は以下、レポートの閲覧にご注意を。
ツアー・タイトルが説明するように、永遠の夏休みを生きている神聖かまってちゃんは“アラレちゃん音頭”のオープニングSEに乗ってステージに登場。それどころか、の子(Vo./G.)は後に「今、何月だっけ? 2月?」なんてことを口走ってみさこ(Dr.)に「年明けたばっかりだよ!」とツッコまれていたが、ラップトップに満場のオーディエンスを映し出しながら「すげえ人だなー! 本当にみんな、俺ら聴きにきたの?」と高揚感を露にし、「明日死ぬぐらいの勢いで行こうぜ!」と声を荒げている。「2013年も神聖かまってちゃん行くぞー!」とこちらもやる気満々のmonoには、オーディエンスから「結婚おめでとうー!!」と冷やかし声も浴びせかけられ、オープニング時点でかなりご機嫌なムードが高まっていた。
サポート・ヴァイオリニストにはお馴染みチーナのビビさんこと柴由佳子を迎え、シングル曲“知恵ちゃんの聖書”の荘厳にしてダイナミックなロック・シンフォニーを浴びせかけるようにパフォーマンスがスタート。『楽しいね』でもそうだったが、この曲のツカミの力は目を見張るものがある。みさこ&ちばぎん(Ba.)のボトムの強化が如実に表れた、がっちりとしたアンサンブルの信頼感も絶大だ。喚き散らしながらのMCもそこそこに、「ニャーニャニャーニャニャー♪ ノって来い! 油断してんじゃねえ!」との子自らが曲また曲、とパフォーマンスを進めてゆく姿が見られる。大人びたステージングというよりも、とにかく曲を聴かせたいし、オーディエンスにしても演奏中の沸騰するような盛り上がりが明らかにピークだから、自然にそういう流れが出来上がっているという感じだ。
楽曲の合間合間に、オーディエンスがもはや芸風として確立されているようなmonoのMCの滑舌の悪さをイジると、ちばぎんは「その辺の女子がmono君にもの凄くキビシいんだよね」と助け舟を出すのだが、すかさずの子が「別にいいじゃねえか。妥当な評価だよ」と親指を立て、そのままノイズの嵐と化す“レッツゴー武道館っ!”へと突入。みさこは、自らドラムスを叩きながら楽しげにリード・ヴォーカルを取る“熱いハートがそうさせないよ”の後、「いい曲をありがとう! いいバンドですよねえ。ケンカも多いけど」と漏らしていた。年越しカラオケ配信動画での悶着にせよ、2013年もしっちゃかめっちゃかな部分はそのままだったりするのかも知れないが、このときのみさこの「いいバンド」という言葉が、今回の神聖かまってちゃんのステージを集約していたと思う。
“夜空の虫とどこまでも”、“黒いたまご”、“聖マリア記念病院”のエレクトロニック・グルーヴ路線の3連打の高揚感は素晴らしく、ちばぎんのベース・アンプに身を隠すような立ち位置でマニピュレーター的に様々な楽器をプレイしながらサポートするはぎやまきおも、八面六臂の活躍を見せている。「2013年3.16、結婚します!」というmonoの晴れての宣言にひと際大きな喝采が上がり、鮮烈な美メロが束になって押し寄せる“コンクリートの向こう側へ”の後には、対人恐怖の心情が綴られたダークなナンバー“ロボットノ夜”。の子はここでマイク片手に歌い、もう一方の手にはiPadを携えて映像の演出を加えていた。
本編最後に“いかれたNEET”を歌い終えたの子は、ステージから捌ける3人を横目に足元のセットリストを手に取って、「もう終わり!?」と熱唱中の彼と同じように目を引ん剝いていた。たぶん、本気でびっくりしていたのだと思う。アンコール、そしてダブル・アンコールとパフォーマンスが続く間も、の子の強烈なシャウトは確かに衰えることがなく、「俺、まだまだやれるよー!」という言葉も、これまでのように単に駄々をこねているようには見えなかった。「叫びすぎて鼻から脳ミソ出ちった。偏におまえらのお陰だ! このまま帰るのやだなー」と、“あるてぃめっとレイザー!”、そして“ちりとり”を歌い切った後は、この日2度目のダイヴを敢行し、何度も頭を下げて去って行くのだった。
かつて破天荒な振る舞いの数々で知られていた神聖かまってちゃんが、バンドとして成長を遂げているのは確かだと思う。ただし、それは決して丸くなったわけではなくて、鬱屈した思いをより音楽的な方法で描き出すことが出来るようになった、ということではないか。だから、ファンにとってもライヴの場で聴きたい曲が多くなる。新作タイミングのツアーなのに新作の収録曲が少ないのは『26歳の夏休みツアー』のときと同様にどうかと思ったが、の子の投げやりでパンキッシュな歌が、monoの鍵盤のヘロヘロな旋律が、ドタメシャな爆音の中で重なって押し寄せるほどに泣けてしまう演奏曲の数々はどれもクラシックであった。
今回のツアーは今後、1/12の仙台Rensa、1/14の名古屋ダイヤモンドホールと続き、追加公演(後夜祭と銘打たれていて、それぞれにゲスト・アクトも招かれる)として2/8には大阪・心斎橋BIG CAT、2/15に東京・SHIBUYA AXの公演が行われることも発表されている。ぜひ、今の神聖かまってちゃんを見届けてほしい。(小池宏和)
SET LIST
01: 知恵ちゃんの聖書
02: 美ちなる方へ
03: ねこラジ
04: 天使じゃ地上じゃちっそく死
05: レッツゴー武道館っ!
06: 熱いハートがそうさせないよ
07: 笛吹き花ちゃん
08: 夜空の虫とどこまでも
09: 黒いたまご
10: 聖マリア記念病院
11: コンクリートの向こう側へ
12: ロボットノ夜
13: 自分らしく
14: おっさんの夢
15: ロックンロールは鳴り止まないっ
16: 夕暮れメモライザ
17: いかれたNEET
encore
01: 怒鳴るゆめ
02: 僕は頑張るよっ
03: 23歳の夏休み
encore-2
01: あるてぃめっとレイザー!
02: ちりとり
神聖かまってちゃん @ Zepp DiverCity
2013.01.05