客電が落ちると、スクリーンに白い線が描かれていく。その上に木が生え、動物が立ち……生命を象徴するような絵となったところで、メンバーがステージへ。山田将司(Vo)が暗闇の中で、『リヴスコール』でも1曲目を飾っていた“トロイメライ”を静かに歌い出す。そこにアンサンブルが重なり合っていくと同時に、照明も眩しくなってくという、意思を持ったオープニングだった。その後は“シリウス”、“声”と、躍動へ。山田は全身を振り絞るように歌い、菅波栄純(G)と岡峰光舟(B)は前に出て、遠くの客席にも届けたいという思いを感じさせるような、ダイナミックな動きを見せていく。それに応えるように、メンバーの名を叫ぶオーディエンス(男の声も多い)。
ここで松田晋二(Dr)がMC。「あけましておめでとうございます」という時節の挨拶と共に、『リヴスコール』に「生きている実感を味わいたい」という意味が籠っていたことなども語る。この日は、武道館ならではのスペシャル感を演出するというよりは、『リヴスコール』を武道館で表現するというところに、彼らは集中していたように思う。『リヴスコール』の収録曲以外では、数々の過去曲の中から“墓石フィーバー”を選曲したあたりも、何かを象徴しているような気がした。
その空気に松田も「……濃密な感じがしますね」と口を開く。メンバーに振ると、岡峰も「今回は緊張感がある」と吐露していた(さらに、武道館ならではな、東京オリンピックの柔道の逸話も!)。そして菅波は「何だろ……ありがとおー!!」と絶叫。メンバーもオーディエンスも『リヴスコール』という一つのテーマを共有していることを、互いに感じ合えていたのだと思う。
最後に松田が、音楽でパワーを溜めて、復興のエネルギーにしていこうという『リヴスコール』の根源にある思いを話して、ライヴはアッパーな終盤戦に突入。甘さや優しさを孕んだ“星降る夜のビート”、武道館いっぱいに拳が突き上げられた“戦う君よ”など、印象的な場面を刻んでいく。“シンフォニア”のアウトロでは、一体となった客席を見詰めて、菅波は笑顔で何度もジャンプしていた。
やはり最も圧巻だったのはラストナンバー“世界中に花束を”。《確かに僕はここにいるから》と歌いながら、鋭い眼差しでステージを指す山田。生と死を包み込む強さを、彼らが湛えたことを証明しているようだった。さらに、広がっていったシンガロングは、その場の誰もが、今、生きていることを確認し、それを喜びとして噛み締めているようだった。
最後、スクリーンには、ツアーの全個所の写真が映し出された。このツアーは、各地のベストテイクを厳選したライヴCD『KYO-MEIツアー~リヴスコール~』が2月6日に、そして日本武道館公演を収めたDVD『KYO-MEIツアー~リヴスコール~at 日本武道館 2013.1.6』が3月27日にリリースされる。形として残したい、そして残して欲しいツアーだったのだ。しかし彼らは、結成15周年となる今年、さらなる表現へと邁進してくれることだろう。胸がいっぱいのままでは終わらない、未来に向けて胸を高鳴らせてくれるライヴだった。(高橋美穂)