まさに“今旬”な彼女の姿とそのポテンシャルを見極めようと、抽選で選ばれたファンに加え、関係者も多数つめかけ場内は満員。
ステージ背後のスクリーンいっぱいに“Hot & Cold”のPVが映し出されると場内から「キャー」という歓声が。まだ本人出てきていないのに、ヴォルテージが一気に上がった。それくらい彼女の登場を待ちわびているのだ。フロアの前列は女の子率が本当に高くて、場内全体でみたら男性のお客さんも半分くらいはいたけれども、始終ヴィヴィッドな反応をみせていたのは圧倒的に女の子のお客さん。
バック・バンド(ドラム、ギター、ベースの3名)がステージに姿をみせ、続けていよいよケイティが「コンニチワー」と元気いっぱいの挨拶とともに登場。まずは、水色のレトロでガーリーなデカパン・ビキニという衣装に驚かされた。イメージとしてはアメリカの1950年代頃の旧き良き時代のピンナップ・ガール。アルバム『ワン・オブ・ザ・ボーイズ』のジャケットからそのまま抜け出てきたという感じ。その姿で拳を掲げながらアップリフティングなパンク・ナンバー、“フィンガープリンツ”を歌いあげる姿を想像してみて欲しい。いろんな意味でスリリングなのだ。とりあえず、ブラ・トップから乳がポロリといくんじゃないかとハラハラしたけれど、しょっぱなからケイティというアーティストが体現する魅力の本質が全開になっていた。
実物のケイティは、クラスに一人はいそうなかわいくて快活で、でも一筋縄ではいかない女の子といった感じ。大きな瞳をキョロキョロさせ、表情をクルクル変えながら「今日は抽選で選ばれて私の初めての東京でのライブに来られたみんな、ラッキーだね」とか気さくに客席にガンガン英語で語りかけていく。愛くるしさと、等身大感がある。そうしたある種の“ノーマル”さと表現者として体現されていく作品の奇抜な世界観とのギャップが面白いのだ。その振れ幅が極端で、針を現代っ子感覚溢れるモラル・ハザードをもってこれまでありそうでなかった方向にブンブンと振っていっているところも新鮮。もともと牧師の家庭で育ったという女の子なだけに、人一倍「この人の中で何かがせめぎあっているんだろうなー」オーラも滲み出ている。
ちょっとアンモラルなことに胸をドキドキさせたり、自分の知らなかった世界が開けていくときの興奮が、見事に描写されている。そうしたものを描写した作品は世にごまんと溢れているけれど、オブラートに包まれていない、女の子の赤裸々な心情や心の揺らぎを、ちょっとスリリングにかつポップに嫌味なくまとめあげられる力量が図抜けている。
アコースティック・ギターを手に独奏で披露された“シンキング・オブ・ユー”では、アメリカ歴代の女性シンガー・ソングライターの系譜に連なるような、オーソドックスな弾き語りパフォーマンスをみせてくれた。それは、彼女がシンガー・ソングライターとしてある程度の土台があるところに、試行錯誤のうえ、自分だけの表現世界を切り開いていったのだろうという足跡を思わせるものだった。そうやって作り上げてきたオリジナリティが、ばっちり時代とリンクして、世界を席巻してしまった。なんとも痛快な女の子だけど、こんな騒動の渦中にいるのに、いい意味での“普通”っぽさを見失っていないところがお見事。肝据わってます。(森田美喜子)
1.Fingerprints
2.One Of The Boys
3.Hot & Cold
4.Ur So Gay
5.Thinking Of You
6.Kissed A Girl
