この日のオープニング・アクトを務めたのは日本からサポートにあたるWHITE ASH。筆者は初見となるバンドだったが、2000年代半ば頃の勢いのあったUKギター・ロックのエッジとポップネスを彷彿させるかっこいいロックをやるバンド。ブロック・パーティーの前座としてもばっちりなバンドだよなあと思いつつ観ていたら実際彼らも昔UK物のコピー・バンドをやっていて、ブロック・パーティーの曲も演ったことがあるのだという。そんな彼らの演奏を幕内から見守るケリー達の姿も見えた。
WHITE ASHのステージはほぼ30分で終わり、転換タイムに入った恵比寿ガーデンホールはいよいよぎっしりとオーディエンスで埋め尽くされ熱気を帯びてくる。もちろんこの日のチケットは完売、外国人のお客さんも多かったのが印象的だ。開演の10分以上前からフロアでは「Bloc Paty! Bloc Party!」コールが始まり、つくづくこのバンドのファンの熱さと言うかロイヤリティを見せつけられる。
「ハロー・グッド・イヴニング、ウィー・アー・ブロック・パーティー・フロム・ロンドン・イースト」とケリーが挨拶して“Trojan Horse”、そしてケリーの「イチ!ニ!サン!シ!」の掛け声と共に“Hunting for Witches”が始まり、さらに白熱していく。イントロ最初の一音でフロアが弾けた続く“Like Eating Glass”もそうだったけれど、セカンド以前のナンバー、ブロック・パーティーがポスト・パンク由来のアート・ロックを極めていた頃のナンバーの線の細さが払拭され、『フォー』由来のファンクネスで大胆にぶっとく補強されていくのが手に取るようにわかる。
昨年のHostess Club Weekenderで来日した時も同じくガーデンホールで満場のファンに見守られながら感涙のカムバックステージをキメた彼らだけれども、あの時の興奮はブロック・パーティーがとにかく還ってきてくれた、その事実を祝福しつつ4年の空白を癒し埋めていくというどこかウェットなものだった。翻ってこの日の会場の空気はもっとずっと前向きで力強かった。全英初登場3位と結果を出した『フォー』のポジティヴなムードとも相まって、ステージ上の彼らとフロアのオーディエンスが強い確信のようなもので結ばれているのが印象的だった。“Like Eating Glass”終わりでケリーが「ワイルド・トキオ!」と叫び、『フォー』の中でもとりわけヘヴィな“Kettling”へ。そう、この日の前半はパワフル・セクションといった趣で、ブロック・パーティーの現在のコンディションの良さをまざまざと見せつけるものだったと言っていいだろう。
続く“Coliseum”はマットのドラムスが主役と言っても過言ではないナンバーで、疲れてくると冗談みたいに走りまくっていた昔と比べるとこの人のドラムスは本当に巧くなった。マットのドラムが安定したことで『フォー』のグルーヴ、ファンク路線は可能になったし、長らくの思考とスキルの乖離が課題とされてきたブロック・パーティーにとって、『フォー』はロック・バンドの「技術」面での鍛錬の成果作でもあったことに改めて気づかされる。一度はロックを忌諱し、バンドを諦めかけた彼らが再びロック・バンドたろうと決意した時に、まずはその基礎となる肉体から鍛え直したのだろうことが伺える。
鳴り止まぬ歓声に押されてアンコールは2回。この日最高にフリーキーだった“Ares”から「ぼくらの昔からのファンに捧げます」と言って始まった“This Modern Love”への流れはオールド・ファン感涙の演出だったし、ケリーのゴスペルみたいな歌唱で幕閉じた“Flux”は圧巻、そして最後の最後は文句無しの最強アンセム“Helicopter”!! 満を持してクラウド・サーフィンも続出し、フロアから白い湯気がもうもうと立ち上るのが見えた。ブロック・パーティーの帰還の物語はこうして大団円を迎えた。これからは彼らの再進撃の物語が始まる、そう確信できた一夜だった。(粉川しの)
セットリスト
So He Begins to Lie
Trojan Horse
Hunting for Witches
Like Eating Glass
Kettling
Real Talk
Waiting for the 7:18
Song for Clay
Banquet
Coliseum
Day 4
One More Chance
Octopus
(encore1)
Signs
Ares
This Modern Love
Flux
(encore2)
Ratchet
Sunday
Helicopter