「スッキリ!」など地上波番組にも顔を出し、“日本語で歌うヘンな外国人”というステイタスでお茶の間も賑わせているScott & Rivers。そう、ウィーザーのフロントマン=リバース・クオモと、ALLiSTERのスコット・マーフィーによるこのユニットが、東阪の2ヶ所でのレコ発ライブ『スコットとリバースと仲間たち』を開催した。初日となる東京・渋谷クラブクアトロ公演は、1stアルバム『スコットとリバース』リリース後、初の本格的ライブということもあって文字通りの超満員! 「仲間たち」として招かれた対バンのモーモールルギャバンは、「僕らが仲間でいいんですか?!」(ゲイリー・ビッチェ)といささか恐縮しつつも、爆死覚悟の猛烈ハイテンションなステージを展開。ゲイリーはTシャツを引きちぎってパンイチ&ネクタイで暴走、ユコ・カティ(Key・Vo)とT-マルガリータ(B)は硬質かつフリーキーなグルーヴで汗ばむほどの熱狂を生み出していった。最大のクライマックスと言えるのはラストの“サイケな恋人”。「スコリバのファンも“パンティ!”って言えー! あと2、3分で消えるんで!!」(ゲイリー)と、謙遜と逆ギレが入り混じったアジテーションでクアトロ一丸のパンティコールを巻き起こし、遂にはブリーフを脱ぎ捨てて(その下にもブリーフが!)絶叫――「これが、J-POPの限界だー!!」。カオティックかつポップな音像と致命的に捻れたセンチメントは、スコリバファンにも鮮烈な記憶と快感を残したはず。
転換中から「スコット~!」「リバーース!」と熱烈な声援が飛ぶなか、午後8時10分、遂にScott & Riversが登場! すっかりおなじみとなった赤と青のCiaopanic製BDシャツを着込んだ2人は、「トーキョー! 盛り上がっていこーぜー!」(スコット)と開口一番に呼びかけ、処女作同様“BREAK FREE”から沸き立つような熱狂を生み出していく。続けざまに“FREAKIN' LOVE MY LIFE”へと繋ぎ、『グリーン・アルバム』でのそれを彷彿とさせるような躍動的なソングライティングにフロアは勢いジャンプ&シング。喜びが抑えきれないといったようにスコットは飛び跳ねるようにしてパフォームし(冒頭から滝汗!)、対してリバースは、ポーカーフェイスで粛々と熱唱。MCでもスコットがフレンドリーに笑顔と愛嬌を振りまく一方、相棒の話もそっちのけでどこまでもマイペースなリバースと、好対照な2人の立ち居振る舞いがなんとも可笑しい。そんな凸凹にしてナイスマッチングな2人をフロアは諸手を挙げて歓待し、早くから場内はアーティストとオーディエンスの温かくも幸福なエンゲージメントで満たされていた。
中盤には、「いちばんムズカシイうた……がんばります」とリバースが紹介して、木村カエラのカバー“Butterfly”を熱演。その後、リバースがおもむろに“Say It Ain't So”のイントロを奏でれば勢い場内大沸騰。《臆病に目をそらし 壊れないようにビー・クール》と2ndヴァースは日本語で歌われるという粋なサプライズや息もピッタリのツインリードを聴かせるなど、この日いちばんと言えるハイライトを刻んだ。Schroeder-Headzの渡辺シュンスケ(Key)ら敏腕ミュージシャンを迎えたバックバンドと共に、以降も盤石のアンサンブルとカタコトの日本語ボーカルで疾走。幼子のそれが無条件に胸を打つように、2人の少々ぎこちなくも一生懸命な歌唱はそれだけでこみ上げるような嬉しさがあったし、英語であれ日本語であれ、のっぴきならない切実さを宿命的に帯びてしまうリバースの歌声には心を揺さぶられずにはいられなかった。
終盤にはスコットが晴れて処女作をリリースできた忌憚ない喜びをMC――「このプロジェクトは4年前くらいから始まって。やっとアルバムが出せて、すんごい気持ちよくて(フロアから惜しみない喝采! そして「自慢です」とリバース)。年末の『COUNTDOWN JAPAN』にも出て、そのフェス自体10年もやってたのに、ウチらが初めて海外のアーティストとして出て(「他の自慢です」と再びリバース・笑)」。そして今後のライブ予定として、「サマーソニック、ロッキンジャパン、ライジングサン、ジョインアライブ、紅白……Mステも」とリバースが告げて大歓声(「まだ何も決まってないからね!笑」と慌ててスコット)。本編ラストの“HOMELY GIRL”ではリバースのフェイバリットキャラ・くまモンも登場し(奥さんが熊本出身という縁もあって、自宅にはたくさんグッズがあるそうです)、アンコールでは“DORAEMON”、さらに再びのウィーザー・ナンバー“BUDDY HOLLY”投下でエモーションとサービス精神を大開放! 一夜明けて思い返してみても、思わず頬が緩んでしまうほど心躍るポップネスとハピネスに満ちた素晴らしいステージだった。ウィーザー、ALLiSTERの活動と共に、このプロジェクトもぜひ定期的に継続してほしい。だって、この国の音楽シーンにScott & Riversが当たり前のようにいる風景って、なんか素敵じゃない?(奥村明裕)