WHITE ASH @ 赤坂BLITZ

WHITE ASH @ 赤坂BLITZ
去る2月14日のバレンタインデーにリリースした3rdシングル『Would You Be My Valentine?』を携えた東名阪ワンマンツアー「WHITE ASH One Man Tour 2013 “Honey Shower”」。そのファイナルとなる赤坂BLITZ公演は、デビューから急速に支持を拡大してきたバンドの今の勢いと、それに伴い確実に強固になったオーディエンスとの繋がりを、如実に感じさせるアクトだった。5月にはメジャー・デビューも決定し、ライヴ中には「今日がインディ時代ラストのワンマンになるんだよな」と感慨深く話していたのび太(Vo/G)。この日は彩(B)誕生日ということもあり、サプライズ企画も催された90分は、ここから更に大きくなっていくだろうWHITE ASHの未来を予感させるような、祝祭的なムードに終始包まれていた。

SEが鳴り響く場内に、一人ずつお辞儀をしながら現れた4人。鋭いカッティング・ギターからスタートしたのは、いきなりの最新シングル“I Wanna Be Your Valentine”である。さらに“Thunderous”“Ray”“Ugly Marguerite”とアップ・チューンを畳み掛け、クラウドサーフィンとモッシュに沸き返るフロアを力強く牽引。緩急の効いた展開を一糸乱れぬアンサンブルで表現しきる演奏スキルは勿論のこと、メンバー各々のソロパートやヴォーカルリレーを次々と繰り出してオーディエンスの視線を釘づけにするエンタテイメント性溢れるパフォーマンスが素晴らしい。伸びやかなファルセットと熱のこもったシャウトを自在に操り、セクシーかつ攻撃的なムードを演出していくのび太のキレのある歌声も絶好調だ。

WHITE ASH @ 赤坂BLITZ
不穏な世界にズブズブと足を踏み入れていくような骨太なロックンロールでありながら、グル―ヴィーで享楽的なダンスミュージックとしても高いレベルで機能するWHITE ASHの音楽。ミラーボールが回る中、大きくうねる波のようなリズムでBLITZを揺らした“New Wave Surf Rider”、性急なビートとリフの応酬の先で「歌い出せ はじまりの合図!」のシンガロングが決まった“Kiddie”など、いまやライヴ定番曲として浸透しているキラー・チューンで見せるフロアとの一体感も、日を追うごとに確かなものになっているような気がする。しかも、そこにオーディエンスに緊張を強いるような切迫感はなく、どこか伸び伸びとオープンな空気が漂っているのが彼らの面白いところ。「対バンライヴでは時間が無くてやれないような、WHITE ASHを初めて聴く人にはあまり優しくない曲をやります(笑)」とプレイされた“Maze”では、重たくダークなグルーヴとは裏腹に、腰をくねらせて美声を披露するのび太や、静と動を行き来する複雑なアンサンブルを「どうだ!」と言わんばかりの不敵さで堂々と紡いでいく3人の姿が眩しく映る。

「去年までは僕にとってバレンタインって、譬えるならばブラジルでリオのカーニバルが開催されているぐらい自分と関わりのないイベントだったんですけど。今年シングルを出したことで、ようやく身近なイベントになりました!」と突入した“Would You Be My Valentine?”では、ピンク色の照明で染め上げられた場内に甘くロマンチックなメロディが響きわたる。一方5月22日にリリースを控えたメジャー第一弾シングル“Velocity”では、WHITE ASHの王道とも言えるエッジーなギターとエモーショナルなメロディ、そして複雑にテンポチェンジするビートがスリリングにドライヴする。さらに“Jails”“Paranoia”“Stranger”と猛ダッシュして本編終了。「そんなもんじゃねぇだろ、赤坂!」と怒号を響かせ、ゴム毬のようにステージ上を飛び跳ねまくるのび太の強烈なアジテートによって、BLITZ全体が一気に絶頂へと上り詰めたのであった。

WHITE ASH @ 赤坂BLITZ
アンコールでは、まずは山さん(G)が登場してツアーグッズを紹介。続けて剛(Dr)とのび太を順番に呼び込み、「次は……皆さん分かってるよね?」という山さんの前振りからこの日誕生日の彩を呼び込むと、「♪Happy birthday to you!」とフロアの大合唱がスタート! さらにこの日の来場者が入場時に誕生祝いのメッセージを寄せ書きした白い布をプレゼント‼ 思いもよらないサプライズプレゼントに、彩さん、「言葉になりません」と顔を両手で覆って感激しておりました。そしてメジャー・デビューを記念した全国ツアー「WHITE ASH One Man Tour “The Grapefruits In Monaural"」の追加公演として、5月30日に下北沢シェルターにてライヴを行うことを発表。最後は彩もクールな歌声を披露する“And Gypsy”を投下して、白旗を掲げた4人とオーディエンスによる記念撮影を経て90分のアクトは大団円を迎えた。

中盤のMCでは、「メジャーに行くことを好意的に受け入れられない人もいるかもしれないけれど、僕らとしてはメジャーのほうが色んなお遊びができると考えていて。譬えるならば新しいオモチャを手に入れたような気持ちで、インディ時代はできなかったお遊びで皆をもっと楽しませてきたいなと思っています」とメジャー・デビューへの思いを語っていたのび太。メジャーへ乗り出すプレッシャーや気負いを感じさせない、そんな前向きで余裕に満ちた言葉が、彼らの末恐ろしさを何よりも象徴していたと思う。ロックバンドとしてのIQ値の高さと無邪気な遊び心を武器に、ロックシーンの王道を爽快に突き進むWHITE ASH。彼らの凄みを十二分に感じられた今夜のアクトをステップとして、今後はメジャーの舞台で更なる大旋風を巻き起こしていってほしい。(齋藤美穂)

セットリスト
1. I Wanna Be Your Valentine?
2. Thunderous
3. Ray
4. Ugly Marguerite
5. Mosquito
6. Deadmans On The Dancefloor
7. New Wave Surf Rider
8. Kiddie
9. Maze
10. Scar(t)
11. Would You Be My Valentine?
12. Giant Skips
13. Velocity
14. Jails
15. Paranoia
16. Stranger
17. And Gypsy
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