Chara @ 渋谷公会堂

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Chara @ 渋谷公会堂
Chara @ 渋谷公会堂
昨年10月にリリースされたアルバム『Cocoon』のリリースツアーのファイナルとなった東京・渋谷公会堂。チケットはソールドアウトとなり、客席はびっしりと埋め尽くされている。開演時間からちょっと遅れて、バンドメンバーに続いてさらっとCharaが登場! 歓声に包まれながら、“DADAAAN”でアグレッシヴにライヴの幕を切って落とす。“オルタナ・ガールフレンド”では、「ドキドキしちゃう……どうしよう」と呟いて歌いだしたかと思いきや、最後は「でも包まれたーい」、「フゥー!」、「もっと包まれたーい」、「フゥー!!」と欲しがるコール&レスポンスを敢行。この、思いっきり翻弄しちゃう感じ! 今日も、女の子全開なCharaである。客席には、子連れの人もいっぱい。Charaも「可愛い声も聞こえるー!」と嬉しそう。そして、客席からのレスポンスが少ないと「元気!? お腹空いてる?」なんて言ってしまうあたりは、母性なCharaが顔を覗かせている気も。女の子であり母であり……年月を経て、何層にも重なってきた彼女の魅力は、その表現に確実に滲み出ていた。声量も変化させながら、全身で歌い上げた“プラネット”。Charaが自らピアノを奏でた“特に”。6月5日にリリースされるニューシングル“hug”。「一回しか歌ったことありません」という紹介から、イントロがはじまると喜びの声が沸き上がった“光と私”。ライヴはじわじわと熱を帯びていき、“Junior Sweet Dub”では、バンドのダイナミズムも含めて、会場が一体となったグルーヴを生み出していた。その勢いで、メンバー紹介に突入。Charaが従えるバンド(通称、オーロラバンド)は、技巧も個性も錚々たる面々が勢揃い。白根賢一、Curly Giraffe、権藤知彦、加藤哉子、伊澤一葉、名越由貴夫の順番で、それぞれが鳴らしたり歌ったりしていく。常に、素晴らしいミュージシャンに囲まれている印象のあるChara。彼女自身が共に音を出したいと思うミュージシャンで在り続けているから、そして、貪欲に音楽を探求し続けているからなのだと思う。

Chara @ 渋谷公会堂
アットホームな空気になったところで、あのイントロが聴こえてきた。そう“やさしい気持ち”だ! 客席からクラップが起こると、Charaも笑顔でスカーフを体に巻き付けながら、ステージを縦横無尽に動き回る。そんな、みんなの気持ちを表したかのように、銀テープがキラキラと舞う。素晴らしい光景に酔いしれていると、追い打ちを掛けるようにメドレーがスタート。“愛の自爆装置”、“Tiny Tiny Tiny”、“しましまのバンビ”、“ミルク“、”Violet Blue”と、懐かしい楽曲を中心に構成されていた。昔から聴き続けてくれているファン、昔から歌い続けている楽曲、どちらに対しても彼女の愛情が深いことがわかる。掛け値なしで、色褪せない楽曲ばかりだ。そして、そんな不変的な名曲の最高峰といえば”Swallowtail Butterfly~あいのうた~“。あの頃よりも、深く染み入るのは、彼女の歌が進化したからか、自分が歌を理解できるようになったからか――多分、どっちもだろうな。名曲と一緒に年齢を重ねられる喜びを噛み締めた瞬間だった。”タイムマシーン“がはじまった時には、後ろの席から女の子の「きた……」っていう小さな呟きが聞こえたのだけれど、そういう思いを抱えていた人は、あの会場にたくさんいたはず。

Chara @ 渋谷公会堂
終盤にも、幾つものハイライトがちりばめられていた。ミラーボールと音像のマッチングが神秘的だった“o-ri-on”、ダンサブルな“Lita”などを畳み掛け、ラストは、Charaがギターを抱え歌った“Cocoon”。曲中では、「『Cocoon』というアルバムを聴いてくれましたか?」と客席に語り掛けるという自由な展開に。そこで彼女は、「私は、音楽と愛の力を信じている」と、凛と言い切っていた。この純粋性こそが、彼女の表現をいつまでもみずみずしく輝かせているのだろう。そして、だからこそ、無垢な若者も、酸いも甘いも知った大人も、彼女のことは信じられるのだろう。

Chara @ 渋谷公会堂
まるで脳みそをパカーンと開かれたかのような開放的な余韻を味わいながらアンコールを待っていると、サングラスを掛けてフードを被ったCharaがヤンチャに飛び出してきた。すると、そこに彼女の愛娘が花束を持ってステージに現れるというサプライズが! こんなに大きくなったのね……と親戚のような思いでステージを眺めていた人も多かったに違いない(笑)。そして、ますますリアルにアットホームな空気(だって、本当の家族が登場したんだから!)になったところで、『Cocoon』の中でも激キュートだった“Waiting for You”で弾けて、最後は“世界”で、言葉にし切れない思いまでも込めて歌い上げるようなパフォーマンスを見せて、締め括った。……かと思ったら! バンド全員が手を繋いでお辞儀すると、権藤はトランペット、白根はユーフォニウム、それ以外のメンバーはタンバリンを手にして、“あたしなんで抱きしめたいんだろう?”を鳴らしながら、一階の客席をぐるりと一周! そのまま袖へと帰っていったのだ。最後までハッピーなムードを徹底して貫いたところが、何とも彼女らしかった。女性らしさに寄り掛かり過ぎることも、ミュージシャンの才能だけで突っ張ることもない。どちらも進化させながら、ナチュラルに魅力を振りまくCharaという貴重な存在に、やっぱり憧れずにはいられない。(高橋美穂)
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