ザ・ゴシップ @ 渋谷O-EAST

昨年イギリスで一躍脚光を浴び、それが本国へ逆飛び火するかたちでアメリカでもブレイクした、米国アーカンソー出身のトリオ、ザ・ゴシップ。重量級のルックス、小気味よい姐御発言の数々で、ヴォーカリスト=ベス・ディットーは2007年を代表するカリスマ・アイコンのひとりとなった。

もともとゴシップが海外の音楽メディアから注目を集めるようになったきっかけがライヴ・パフォーマンスの凄さなのだが、今回の来日公演では、なぜゴシップがただの「珍しいもの」としてではなく、リスナーに支持されているのか、ということがよく分かった。

ステージでギターとドラムが構え、ベスは登場するとよく通る声で「みんな元気〜〜〜〜元気〜〜??」と客席にマイクを向け、「(私は)元気」とうふっと笑いながらひとりで答え、「フゥフ――――ッ!!!」と客を煽る。喋り声も仕草もとてもかわいい。そしてライヴが始まった瞬間、頭と身体をぶんぶん揺らしながら熱唱しシャウトするベスは、何かが乗り移ったかのように身体全体で歌い表現する、ソウル・シンガーそのものだった。

ギターとドラムはポスト・パンクの鋭利さや、ハードコアのエッジ、それにパンクのそっけなさといったサウンドをベースに、殺伐とした(プレイがということではなく、あくまでも空気として)音風景を叩き出していく。そこに温かみのあるベスのソウルフルなヴォーカルが乗るのだから、踊れないわけがないし、楽しめないわけがないのだ。“スメルズ・ライク・ティーン・スピリット”のアカペラから“スタンディング・イン・ザ・ウェイ・オブ・コントロール”へと繋げ、ベスも客席に降りて客と歌い踊る終盤は圧巻で、DJも真っ青のリアルなダンス・フロアが出現したのだった。(羽鳥麻美)
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