LIVE FACTORY 2013 @ Zepp Tokyo

LIVE FACTORY 2013 @ Zepp Tokyo - フジファブリックフジファブリック
フジテレビで1998年にスタートした音楽番組『FACTORY』(現在はフジテレビNEXT)の、スタジオを飛び出してライヴ・ハウスで行われる夏の風物詩イヴェント『LIVE FACTORY』。今年も、出演順にKANA-BOON、WHITE ASH、The Mirraz、UNISON SQUARE GARDEN、BIGMAMA、フジファブリックの6組が熱演を繰り広げ、転換中にはやついいちろうのDJ、及び蜜のアコースティック・ライヴを展開。長年『FACTORY』と共に歩んで来た吉村由美(PUFFY)が2年ぶりに『LIVE FACTORY』の現場に復帰し、こちらもお馴染みの谷中敦(東京スカパラダイスオーケストラ)とのタッグでMCを担当した。約7時間に及ぶ長丁場であるにも関わらず、終演を迎えるまで一貫して熱気が立ち込めていたZepp Tokyoである。フジテレビNEXTやNOTTVでの生中継もばっちり行われたのでそちらでライヴの模様を見届けた方も多いと思うが、あらためてこの1日を振り返ってみたい。

LIVE FACTORY 2013 @ Zepp Tokyo - 蜜
LIVE FACTORY 2013 @ Zepp Tokyo - DJやついいちろうDJやついいちろう
LIVE FACTORY 2013 @ Zepp Tokyo - 蜜×DJやついいちろう蜜×DJやついいちろう
開演前には、木村ウニと橋詰遼の関西発男女デュオ=蜜が、オーディエンスを出迎えるようにパフォーマンスを披露している。アコースティックでレイドバックした楽曲を届けているかと思えば、いきなりユーモラスな言葉遊びに移行したり、強引にコール&レスポンスを敢行してみたりと油断できない。オリジナル曲の他にも、やたら爽やかなL’Arc〜en〜Ciel“HONEY”など、選曲の妙に唸らされるカヴァーも繰り広げていた。そしてDJやついいちろうは、イヴェントの注意事項アナウンスなども引き受けつつ、「すごいバンドが一杯出てくるから、体を動かしておきたいね」とさっそくB’zの“ultra soul”を投下。「ウルトラソウル!ハイッ!! じゃなくて、ソウル!で飛んじゃってる人がいるよ〜!」と細かいレクチャーにも余念が無い。なお転換中には、ライヴ直後のアクトのインタヴューが生放送されていたのだが、会場内では音声なしの映像のみモニターに映し出されており、その間に蜜とやついいちろうが交互にパフォーマンスを行う、という進行であった。

LIVE FACTORY 2013 @ Zepp Tokyo - KANA-BOONKANA-BOON
さて、谷中敦&吉村由美による最初の挨拶と呼び込みを経て、トップ・バッターのKANA-BOONが登場である。今年4月に『僕がCDを出したら』をリリースしたばかりの新星でありながら、既に飛ぶ鳥を落とす勢いの人気者。自信に満ち溢れたフレッシュなサウンドを鳴り響かせ、さっそくオーディエンスの喝采を浴びている。旋律にも歌詞にも和の情緒を忍ばせ、なのにドン臭くなくキレッキレ。つまり日本語ロックとしての完成度がすこぶる高い。「去年の夏、家でアイスを食べたかったんだけど無いから冷凍食品の肉団子を舐めてて、これ体壊すわ、って思ってたら次の日に交通事故に遭って。皆さんも、暑いですから体には気をつけてください(飯田)」「体壊す、の意味が違うわ(谷口)」と爆笑MCも飛び出し、ラストは“ないものねだり”の大シンガロングと、大器の片鱗を覗かせるステージであった。

LIVE FACTORY 2013 @ Zepp Tokyo - WHITE ASHWHITE ASH
続いては、こちらも5月にシングル『Velocity』でメジャー・デビューを果たしたWHITE ASHが登場(前日に行われた主催イヴェント『HATTRIX』の模様もお伝えしています→http://ro69.jp/live/detail/85238)。のび太のサウスポーのギター・リフから目一杯勢い良く“Velocity”をスタートさせる。雄々しいヴォーカルを放ちまくっていたのび太は、いざMCとなると途端におずおずと語り始めるのだが、ギター・アンプ上でパフォーマンスを見守るドラえもん人形を指して「フジテレビじゃないですか。リハーサルのときに一応、確認したらね、しれっとしててくれれば大丈夫って言われました(笑)。いいじゃんねえ、仲良くやれば!」と。そして、8月にリリースされるニュー・シングルにしてアニメ『ガッチャマン クラウズ』(こちらは日テレ)のテーマ曲でもある“Crowds”もゴリッとしたスウィング感たっぷりに披露する。ロックの必殺フックだけで構築された楽曲が次々に溢れ出す、相変わらず痛快なステージであった。

LIVE FACTORY 2013 @ Zepp Tokyo - The MirrazThe Mirraz
そして3番手にはThe Mirrazが登場。長年、バンドのボトムを支えてきた関口塁の脱退の報は残念だったが、今回はサポート・ドラマーにGenkiを迎え、攻撃的なまでの姿勢で浴びせかけられる爆音&膨大な言葉数と、身を焦がすようなロマンチシズムの間を何度も往復させられるような、濃密なステージを展開していった。序盤の“真夏の屯田兵 〜yeah! yeah! yeah!〜”は今夏のThe Mirrazのモードを伝えるナンバーだし、そこから無遠慮に“スーパーフレア”へと持ち込む展開は痛快。ドリーミーなギター・フレーズをじんわりとたなびかせる“シスター”も素晴らしく、毒づきながらも暑く眩しい夏に思いを馳せる“エンドレスサマー”は見事なハイライトを生み出していた。畠山は、『お台場合衆国2013・めざましライブ2013』や、まさに“エンドレスサマー”の情景を想起させる『スペシャル・ビーチLIVE「夏を好きになるための7つ目の法則」』(8/26 @鎌倉市由比ケ浜)などのスケジュールを告知し、これからも「ライヴ、ガンガンやっていくんでよろしく!」とその意気込みを伝えていた。

LIVE FACTORY 2013 @ Zepp Tokyo - UNISON SQUARE GARDENUNISON SQUARE GARDEN
『FACTORY』初出演となるUNISON SQUARE GARDEN。「イヴェントが始まってずいぶん経つけど、元気ですねえ。“ultra soul”のソウル!で跳んで、怒られた皆さんで間違いないですよね?」と斎藤は冒頭のやついDJでの一幕をネタにしていたけれど、会場内の熱気が収まらないのは、他でもなく目の前で繰り広げられているライヴのおかげだろう。“セレナーデが止まらない”に始まって“シャンデリア・ワルツ”で万感の幕切れを迎えるという、『CIDER ROAD』の収録曲を中心にした約40分である。激しいアクションと共に音がのたうち回る田淵のベース、強打したシンバルを吹っ飛ばしそうな鈴木のドラムス、そして斎藤は眩いギター・フレーズと透明感溢れる歌を繰り出し、3人の音がそれぞれにパキッと立ち上がりながらスリリングに交錯してゆく。その高度なレヴェルでの安定感は、ライヴ本編の体感時間を実際の半分以下に感じさせてしまうほどだった。

LIVE FACTORY 2013 @ Zepp Tokyo - BIGMAMABIGMAMA
のっけから“until the blouse is buttoned up”のコーラスをフロアに委ね、ワンマン公演でもないのにオーディエンスの歌声も引っ括めてバンドの演奏、と言わんばかりのステージを展開してしまったのはBIGMAMAである。“#DIV/0!”では東出によるヴァイオリンの高速フレーズが狂騒の引き金となり、フロア前方ではオーディエンスが次から次へとリフトされてしまう。金井は「友達のバンドがみんな(『FACTORY』に)出てるから、出てみたかったんだもん!」とこちらも出演の喜びを露にしつつ、サーヴィス精神旺盛に“春は風のように”の歌い出しを《夏は星のように〜》の箇所から切り出してみせる。また、8/28にリリース予定のニュー・シングル『alongside』のタイトル曲も披露され、苦い経験に価値を見出そうとする歌を、キラッキラの力強いバンド・サウンドが後押しするさまが美しかった。

LIVE FACTORY 2013 @ Zepp Tokyo - フジファブリックフジファブリック
LIVE FACTORY 2013 @ Zepp Tokyo - フジファブリック×PUFFYフジファブリック×PUFFY
さあ、そして、本日のイベントのアンカーとして登場するのはフジファブリック登場である。サポート・メンバーには名越由貴夫(G.)とBOBO(Dr.)が入る編成で、鉄板“夜明けのBEAT”からスタート。山内は「4回目、気合入れてきました」と語っていたけれど、言われるまでもない、異様な説得力と懐の深さがびしびし伝わるパフォーマンスであった。金澤のピアノがグルーヴを牽引する“Upside Down”から、刺激的な同期を絡めた“Fire”のトランシーな長尺プレイに吞み込まれる。本編ラストの“銀河”に辿り着くまでは、『VOYAGER』収録曲の活躍が素晴らしかった。そして、アンコールでは何と、「今日は由美さんがいるので」とPUFFYの2人を呼び込み、かつて志村正彦が彼女たちに提供した“DOKI DOKI”で共演である。これはマジで嬉しい。個人的には、志村が他界した直後の『COUNTDOWN JAPAN 09/10』でPUFFYがこの曲を歌ったのを思い出したりもしたのだけれど、今回はバンドとしてまたひとつ成長を遂げたフジファブリックをバックに“DOKI DOKI”が披露されたからこそ、以前とは異なる大きな感動を得ることが出来た。「(事務所の)ド先輩ですけど……可愛いなあ(山内)」「いつも、お奇麗ですなあ(金澤)」と余韻がだだ漏れになっているのも可笑しい。

というわけで、ライヴ終演後のやついいちろうがエルレ“Red Hot”、ハイスタ“stay gold”、ホルモン“恋のメガラバ”といったえげつない選曲でオーディエンスにトドメを刺しながら幕を閉じた『LIVE FACTORY 2013』。フジテレビNEXTでは明けて14日の25時から(日付で言うと7/15(月・祝)の午前1時から)リピート放送が行われる予定なので、生放送を見逃してしまったという方はぜひ。会場にいた方も、インタヴューの模様をぜひ。(小池宏和)

KANA-BOON
01. ワールド
02. 盛者必衰の理、お断り
03. クローン
04. ストラテジー
05. さくらのうた
06. ないものねだり

WHITE ASH
01. Velocity
02. Thunderous
03. Kiddie
04. New Wave Surf Rider
05. Paranoia
06. Crowds
07. Stranger
08. Jails
09. Pretty Killer Tune

The Mirraz
01. check it out! check it out! check it out! check it out!
02. 真夏の屯田兵 〜yeah! yeah! yeah!〜
03. 僕はスーパーマン
04. スーパーフレア
05. ラストナンバー
06. シスター
07. CANのジャケットのモンスターみたいのが現れて世界壊しちゃえばいい
08. 気持ち悪りぃ
09. 名曲
10. エンドレスサマー
11. 観覧車に乗る君が夜景に照らされてるうちは
12. 僕らは

UNISON SQUARE GARDEN
01. セレナーデが止まらない
02. フルカラープログラム
03. リニアブルーを聴きながら
04. Miss. サンディ
05. 流星のスコール
06. 場違いハミングバード
07. オリオンをなぞる
08. シャンデリア・ワルツ

BIGMAMA
01. until the blouse is buttoned up
02. #DIV/0!
03. 最後の一口
04. Mr. & Mrs. Balloon
05. 春は風のように
06. alongside
07. 荒狂曲”シンセカイ”
08. 秘密
09. 君想う、故に我在り

フジファブリック
01. 夜明けのBEAT
02. 自分勝手エモーション
03. Upside Down
04. Fire
05. 徒然モノクローム
06. Magic
07. 銀河
EN-1. DOKI DOKI (フジファブリック×PUFFY)
EN-2. STAR
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