9mm Parabellum Bullet×UNISON SQUARE GARDEN @ LIQUIDROOM Ebisu

「今日は恵比寿リキッドルームの9周年記念イベントっていうことでやらしてもらってるんですけれども……9mm Parabellum Bulletも今年で結成9周年。そして、手前味噌で恐縮なんですけども、UNISON SQUARE GARDENも今年で結成9周年になります! こんな相応しい組み合わせないでしょ?」とUNISON SQUARE GARDEN・斎藤宏介(Vo・G)が言えば、「みんなも何かしら9周年あるはずだから、探しといてください! でも、それに気を取られてるやつはすぐ俺たちからバレるからな? 『あいつは9周年のことを考えている!』って(笑)」と9mm Parabellum Bullet・菅原卓郎(Vo・G)がフロアを沸かせてオーディエンスひとり残らず「9」の輪に巻き込んでいく――。

東京・恵比寿のライブハウス「LIQUIDROOM Ebisu」オープン9周年記念イベントの一環として現在開催中の、LIQUIDROOM恒例の異種格闘技的対バン・シリーズ『UNDER THE INFLUENCE』。その中でも、記念すべき「9周年惑星直列」が実現したのが、今回の「LIQUIDROOM 9th ANNIVERSARY presents “UNDER THE INFLUENCE” LIQUIDROOM×9mm Parabellum Bullet×UNISON SQUARE GARDEN TRIPLE 9th ANNIVERSARY」。かつて9mmがプレデビュー盤『The World e.p.』を引っ提げて行った初の全国ツアー「The World tour」(2007年)にユニゾンがゲスト出演して以来の2マンライブとなったこの日のステージは、まったく色も形も違うロックの刃が激しく斬り結ぶような、それでいてその1音1音が躍動感と祝祭感にダイレクトにつながっていくような、至上の対バンだった。

■UNISON SQUARE GARDEN
01.マスターボリューム
02.サンポサキマイライフ
03.シャンデリア・ワルツ
04.きみのもとへ
05.ワールドワイド・スーパーガール
06.WINDOW開ける
07.場違いハミングバード
08.桜のあと(all quartets lead to the?)
09.徹頭徹尾夜な夜なドライブ
10.ため息 shooting the MOON
11.リニアブルーを聴きながら
12.ガリレオのショーケース

先攻はユニゾン! ハード・ロックなセッションから気合い一閃叩きつけた“マスターボリューム”でいきなり満場のクラップを巻き起こし、勢い余って椅子から立ち上がる鈴木貴雄(Dr・Cho)のエネルギッシュなドラミングから“サンポサキマイライフ”に突入し、ハード・ストンピンなイントロと疾走ビートのコントラストが爽快な“シャンデリア・ワルツ”へ……といった具合に、まずはロックンロール・サイド・オブ・ユニゾンをがっつりアピールしてみせる。で、そんなユニゾンのロックンロールな側面が炸裂すればするほど、斎藤のポップ&ワイルドな歌の魅力がくっきりと浮き彫りになっていくのも、ユニゾンならではの醍醐味だ。そんなアグレッシブなアクトでもうもうと熱気が満ちあふれるフロアを、「9年って結構長いです。大型犬だったら、子犬が老犬になってます!……あれ、面白いの俺だけ?」という斎藤のMCが心地好くかき混ぜていく。

ハード&ヘヴィな“WINDOW開ける”や、切れ味と多幸感に満ちた“場違いハミングバード”など、まさにユニゾン全開放的なアクトの中で、「11月にシングルが出ます!」という斎藤のコールから流れ込んだのは、11月6日リリースのシングル曲“桜のあと(all quartets lead to the?)”。弾けそうに燃える衝動と清冽なポップ感とが表裏一体になりながら疾走していくような、ユニゾン・アンセムの仲間入り必至の名曲! そして立て続けにもう1曲鳴らした新曲“徹頭徹尾夜な夜なドライブ”は、ギター・シンセ的な音色が何よりの飛び道具としてギラリと光るメタル・ディスコ的ナンバー。いずれも3人の「今」の沸き返る音楽的探究心を如実に物語っている。「このまま最後まで行っちゃおう!」という斎藤の言葉とともに、“ため息 shooting the MOON”“リニアブルーを聴きながら”“ガリレオのショーケース”3連射で大団円! “ガリレオのショーケース”で田淵智也(B・Cho)がベースを置いて情熱のままにステージ狭しと跳ね回っているうちに曲が始まって、どうするのかなと思ったら、ベースをステージ袖のスピーカー横に置いたままベキベキと弾き始める田淵。そこから三位一体のクライマックスへ! 3人の才気と熱量が目映く燃え盛った1時間だった。

■9mm Parabellum Bullet
01.The Lightning
02.Answer And Answer
03.新しい光
04.Supernova
05.Living Dying Message
06.Grasshopper
07.Termination
08.The World
09.黒い森の旅人
10.Discommunication
11.ハートに火をつけて
12.Black Market Blues
13.The Silence

そして9mm! 途中のMCでもしきりに卓郎が「『Dawning』すげえいいアルバム!」と言っていた通り、冒頭から“The Lightning”“Answer And Answer”と最新アルバム『Dawning』曲を畳み掛けるなど、夏フェスを挟んで7月から続行中の「Breaking The Dawn Tour 2013」で『Dawning』の最新モードの楽曲が完全に血肉化され最強の武器になっていることが窺える。それによって、“新しい光”“Living Dying Message”など「1音1音が決定的瞬間」と言うべき9mmの過去曲までもがさらなる輝度と強度をもって「今、ここ」で鳴り響いていく。かみじょうちひろ(Dr)のツーバスがリキッドルームを丸ごと震わせ、中村和彦(B)の鋭利なベースとスクリームが熱気を切り裂く。卓郎の熱唱が熾烈なアンサンブルに色彩感を与え、ロックのエッジ感とダイナミズムの極致のような滝善充(G)のギターが(腕白ギター少年のようなアクションとともに)聴く者すべてを熱狂の彼方へとぶっ飛ばしてみせる。もはやメタルも歌謡もハードコアも完全に融かし尽くした、「9mmのロック」でしかない音空間が、フロアをでっかいジャンプとクラップとダンスへと導いていく。そして、“Grasshopper”“Termination”の2曲の流れが、9mmが内包するストレートなロック・ソングとしての訴求力をよりいっそうはっきりと提示していたのも印象的だった。

「2007年に『The World tour』っていうのを……日本でやったんだけど(笑)」と、かつてのユニゾンとの共演について語る卓郎。「関東あたりで何本か一緒にやってくれて。水戸で……あれSONICだっけ? 滝くんのギターが俺の頭に命中して、血が流れてて。『これはいかんなあ』と思って、なんとかライブを終えてステージを降りたら、そこでタオルを差し出してくれたのが、ユニゾンの鈴木貴雄さんだったわけ。『アンコールですよね?』みたいな感じで(笑)」のMCで爆笑を誘い、「巡り巡って、9周年ということで今日対バンできて、とても嬉しく思ってます。でも今日はタオルは要らないから大丈夫!(笑)」と対バンの思い出とともに“The World”を披露してみせる粋な計らいも盛り込まれていた。後半も『Dawning』の“黒い森の旅人”“ハートに火をつけて”を“Discommunication”“Black Market Blues”といったキラー・チューンと織り重ねて未曾有の狂騒空間を演出してみせた9mm。ラストは『Dawning』最終曲にして、9mm史上最高に壮絶で美しい“The Silence”! 激速ビートと美麗メロディとロマンとカオスが、観る者すべての余韻すらかき消すように轟いた。

「リキッドも9mmもユニゾンも『同い年』っていうことは、これから俺たちが活動を続ける限り、ずーっと同じアニバーサリーをやるっていうことで……」と卓郎は言っていた。ということは、来年はトリプル10周年? その次は……と今から期待感を沸々と喚起させられる、最高の一夜だった。(高橋智樹)
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