Galileo Galilei @ TSUTAYA O-EAST SHIBUYA

Galileo Galilei @ TSUTAYA O-EAST SHIBUYA
10月にリリースされたメジャー3作目のフル・アルバム『ALARMS』を携え、福岡、名古屋、東京、大阪、そして札幌と全5公演が行われる、『ALARMS TOUR 2013』の3本目。ネーミングライツ取得により、この12月からTSUTAYAの名を冠することになった渋谷のO-EASTである。チケットは見事ソールド・アウト。以下のレポートでは、セット・リストの記載については控えるけれども、内容に触れること自体がそのまま今回のツアーの醍醐味に直結してしまうので(つまりネタバレになってしまうので)、今後の公演に参加予定の方は、閲覧にご注意ください。各公演後に読んで頂けると、たいへん嬉しいです。

ガリレオはいつかこういうライヴを見せる日が来るとは思っていたけれど、成長/変化のスピードが速いぶん、この境地に到達するのも恐ろしく早かった。しみじみとした感慨と驚きが同時に押し寄せてきて、思わず目頭が熱くなってしまうステージであった。力強くガッツ・ポーズを繰り出しながら登場した尾崎雄貴(Vo./G./Syn. & Programming)は、鮮烈かつダイナミックに、入り組んだ思いを抱えながら大空を自由に翔るような序盤3曲のロック・ナンバーを歌うと、「今日は久々のワンマン・ライヴということで、新旧織り交ぜたセット・リストでやりたいと思います。昔からのファンの人も、最近知ってくれた人も、一緒に楽しみましょう!」と告げていた。

中央にざき兄こと雄貴、その後方に佐孝仁司(Ba./G./Syn. & Programming)と尾崎和樹(Dr./G./Perc./Rhythm Machine/ Syn. & Programming)という現行メンバーのトライアングルがあり、上手側にはサポート・メンバーとしてCURTISSのヴォーカル/ギター担当のDAIKIが、下手側にはソロ名義やsphereのメンバーとしても活躍し、サンプラーやラップトップも駆使しながらサポートするシンセサイザー兼コーラスのいしばしさちこが立つという、5人編成のバンド。体格ががっちりと大人びて見えるようになった和樹のビートがメンバーを煽り立てるように鳴り響き、佐孝のうねりまくるベース・プレイにも支えられた“明日へ”からは、エレクトロニックなダンス・ポップ色を打ち出した『PORTAL』期のナンバーも繰り出される。バンドのグルーヴとざき兄の文学的にしてエモーショナルな歌詞が渦を巻き、2本のギター・サウンドが嵐のように吹き荒れていく。はたまた前作ミニ・アルバム『Baby, It’s Cold Outside』から披露された“時計塔”では、いしばしの美しいコーラスが映える。5人のパフォーマンスが有機的に支え合うライヴである。

Galileo Galilei @ TSUTAYA O-EAST SHIBUYA
佐孝が改めてメンバーを紹介し、ざき兄が楽しそうな表情を隠そうともせず「どうでしょう? 今日ちょっとカタいですかね? みんなもばんばん、ゆらゆらしてください(笑)」と告げた後は、充実したサウンドがまさに《僕らの歌 この胸の真ん中で 花を咲かせている》というフレーズと手を取り合う“サークルゲーム”。そして、ガリレオのライヴではよくあることなのだけれど、“フラニーの沼で”はこんなにも情緒豊かでヴィヴィッドに鳴り響くナンバーだったのか、と再発見させられる。和樹が笑いを振り撒きながらグッズ紹介を行った後には、同期のエッセンスが歌心に奥行きを与えるために用いられる“夢に歌えば”や“ロンリーボーイ”と、オールタイムな選曲の中で今のガリレオの表現を存分に見せつけていった。新作『ALARMS』からの楽曲が限られているのは少し残念なところでもあるけれど、ギター・バンドとしての鮮烈さも、エレクトロニック・ミュージックの力強さと奥行きも、ガリレオの道程をすべて肯定し、血肉化して届けるライヴは、確かに『ALARMS』のモードと言えるだろう。

ざき兄はこんなふうにも話していた。「今まで、古い曲ってやらなかったんですよね。子供の頃の写真を見る恥ずかしさがあって。素っ裸のとか(笑)。でも、お客さんが聴きたい曲をやりたいと思うようになって。知っていたら、一緒に歌ってください」と。作品ごとに急激な成長と変化を見せつけてきたガリレオは、より高く、もっと先へ、と遮二無二突き進むようなところがあった。それは一見、アーティストの姿勢として素晴らしいことでもあるのだけれど、作家・白石一文の表現を借りるならば「はしごを一段ずつ踏み壊して高みを求めるような」危うさがあった。成長とは道程があってこそのものであり、成長を求める余りに過去をすべて否定するのは、とても危険なことなのである。『ALARMS』は、そして今回のツアーは、その課題をクリアしたという点で、これまでのガリレオの姿勢とは異なる、新しい次元の成長を表していた。

Galileo Galilei @ TSUTAYA O-EAST SHIBUYA
リアレンジされた往年の楽曲群にフロアが湧いたのと同じくらい、“愛を”や“Birthday”が盛大なシンガロングに支えられるさまは圧巻であった。バンドの過去の道程を肯定することが、新たなアンセムを生み出すことに繋がっていた。「最初の、稚内の3人だけになって、バンドどうしようかなって思った時期もあったんですけど、今のサポートが入ってすごい良い状況になって。それが伝わればいいんだけど、オイトーキョー!みたいな感じとか無理なんで(笑)。“愛を”とか、みんなが一緒に歌ってくれて、泣きそうになって。バンド、ガンガンやっていきたいぜっていう気持ちになりました」。晴れやかな笑顔で、ざき兄はそう語っていた。そして既にニュースでも報じられているとおり(詳しくはこちらの記事を→http://ro69.jp/news/detail/93519)、2014年2月1日、渋谷公会堂にて初のホール・ワンマンが決定である。ツアーもまだ続くけれど、今からさまざまな趣向を考えている、とざき兄は話していたので、ぜひ楽しみにしていて欲しい。(小池宏和)
公式SNSアカウントをフォローする

人気記事

最新ブログ

フォローする