東京の最新チャート100をカウントダウンして毎週日曜日にオンエアしているJ-WAVEの人気ラジオ番組『McDonald’s TOKIO HOT 100』。そのチャート結果をダイレクトに反映した音楽賞の授賞セレモニーに加え、チャートを賑わせたアーティストによるライヴが行われるスペシャル・イベント「J-WAVE McDonald’s TOKIO HOT 100 CHART OF THE YEAR」が今年も開催された。舞台となったのは、今年5月31日付での営業終了が決定しているSHIBUYA-AX。番組ナビゲーターを務めるクリス・ペプラーによるオープニングに引き続き、新人賞にあたる<BRIGHTEST HOPE>を授賞したKANA-BOONが登場すると、番組公募によって招待された500組1000人のオーディエンスから大きな拍手と歓声が沸き起こる。
■KANA-BOON
オープニング・チューンは昨年9月にリリースしたメジャー・デビュー・シングル“盛者必衰の理、お断り”。谷口鮪(Vo/G)のエッジーなギター・イントロが放たれた途端、歓喜を爆発させたオーディエンスから盛大なハンドクラップが沸き起こる。タイトな四つ打ちビートと祭囃子をドッキングさせたような音塊はすこぶるダンサブル。そこに「平家物語」から「寿限無」まで引用した谷口のヴォーカルが、和の情緒とソワソワとしたエモーションをこれでもかと塗り重ねていく。そんなキレッキレのパフォーマンスから一転、続く2月26日リリース予定の2ndシングル“結晶星”では、無限の広がりに満ちた甘美なアンサンブルを披露。古賀隼斗(G)の流星のような輝きに満ちたアルペジオが伸びやかに飛翔して、エネルギッシュな爆発力とは一線を画すKANA-BOONのセンチメンタル・サイドを鮮やかに提示してみせた。「今日は3曲でおしまいなんですよ。もっと観たい方は5月からワンマンツアーが始まりますので遊びにきてください」とラストを飾ったのは“ないものねだり”。キュートな歌メロと小泉貴裕(Dr)&飯田祐馬(B)の爆裂ビートで再びフロアをヒートアップさせると、最後は「ゆらゆらゆらゆら 僕の心ー」「ゆらゆらゆらゆら アックスー」の大合唱を巻き起こし、言葉通りSHIBUYA-AXを激しく揺らして15分強のステージを豪快に駆け抜けた。その後の授賞セレモニーでは、トロフィーと副賞の「ビッグマック1年分」を受け取って「ワンマンツアーでは各地のご当地グルメを食べ尽くしたい」と彼ららしい抱負を告げてステージを後にした4人。ギミック満載のポップなサウンドと4人の愛すべきキャラクターが全解放された、堂々たるパフォーマンスだった。
1. 盛者必衰の理、お断り
2. 結晶星
3. ないものねだり
■Salley
続いて登場するのは、もう一組の<BRIGHTEST HOPE>授賞アーティスト、Salley。うらら(Vo)の歌い出しの一声と同時に暗転していたステージが明るくなると、うらら/上口浩平(G)のオリジナルメンバーに加え、ギター/ベース/キーボード/ドラムから成る6人編成のバンドの姿が露わになる。1曲目は昨年5月にリリースされたメジャー・デビュー・シングル“赤い靴”。真っ白なコルセットとミドル丈のチュチュを纏ったうららが透明な歌声を放つ中、耳馴染みのよい爽やかなアンサンブルが天空へと駆けていく。そのまま清冽なアコギ・サウンドに彩られた“その先の景色を”へ流れると、胸いっぱいに吸い込んだ空気を吐き出すように、エモーショナルな歌声を届けていくうらら。独特の揺らぎと清涼感を湛えたその声は、雄大で柔らかなサウンドにシャープな煌めきを添えていくように、凛とした存在感でもって響いていた。その後のMCでは、「実はデビュー前、ちょうど1年前の2月にお客さんの前でSalleyとして初めてライヴをしたのがJ-WAVEのイベントだったんです。そういう意味でもJ-WAVEは大切な場所で。そこで新人賞をいただけたことを嬉しく思います」と授賞の喜びを口にする、うらら。そして3月5日にリリース予定の新曲“あたしをみつけて”を初披露。上口による滋味深いギター・フレーズ、繊細なオーケストラ、うららの情感あふれるヴォーカルが有機的に絡み合う、スローテンポの音像を場内いっぱいに広げてステージを締め括った。
授賞セレモニーでは、路上で弾き語りをしていたうららに上口が話しかけたというユニット結成秘話を明かし、つかず離れずの絶妙な距離感を露わにしていた、ふたり。4月には東名阪ツアーも行われるということで、デビュー2年目となる2014年の抱負を力強く口にしていた。
1. 赤い靴
2. その先の景色を
3. あたしをみつけて
番組における2013年の年間チャートNo.1ソング<SONG OF THE YEAR>を授賞したダフトパンク feat. ファレル・ウィリアムズ&ナイル・ロジャーズの“GET LUCKY”の紹介およびナイル・ロジャーズからのコメント映像が流された後は、最高ポイントアーティスト<ARTIST OF THE YEAR>の発表へ。授賞アーティストはサカナクション、当初はここで彼らのライヴが行われる予定だったが、すでにアナウンスされていた通り、フロントマン・山口一郎のインフルエンザ発症によりライヴは中止。授賞セレモニーは予定通り行うということで、山口以外のメンバーが登壇した。副賞の「ビッグマック1年分」贈呈者であるマクドナルドのキャラクター=ドナルド・マクドナルドによる、「一郎くんが早く元気になりますように」という願いを込めたイチロー・コールで場内をひとつにした後は、メンバーの授賞コメントへ。初出場となった『NHK紅白歌合戦』の舞台裏を明かして大きな飛躍を遂げた2013年を振り返りつつ、「今年は自分たちのイベントができたら」という嬉しい発言も飛び出して、授賞の言葉とした。ちなみに山口は39度ほどまで熱が上がったということで、今週末に予定されていた東京エレクトロンホール宮城2DAYS公演も延期に。「万全の状態でライヴを行いたい」という想いのもと、療養に専念している山口の回復を今は切に願いたい。
■SOIL&”PIMP”SESSIONS
そしてイベントのトリを飾ったのはSOIL&”PIMP”SESSIONS。デビュー10周年イヤーとなった昨年は、洋邦アーティストとのコラボレーション企画アルバム『CIRCLES』と、初のベスト・アルバム『”X” Chronicle of SOIL”PIMP”SESSIONS』をリリース。この日のイベントには<CHART SHAKER>、つまりチャートを掻き回した存在としての登場だ。拡声器を手にした社長の「デス・ジャズ!」というシャウトから、“NO TABOO”でライヴをスタートさせた彼ら。冒頭からタブゾンビ(Tp)と元晴(Sax)のホーン音がけたたましく鳴り響き、一触即発のスリリングなセッションが猛スピードで展開していく。中盤では、到底10本指のみで弾き鳴らされているとは思えない丈青(Pf)の超速プレイに沸き返るオーディエンス。それに負けじとデッドヒートを繰り広げる秋田ゴールドマン(B)&みどりん(Dr)のプレイも鮮烈極まりないもので、そのバカテクっぷりとアジテーターの社長を加えた熱量過多のパフォーマンスに終始圧倒されてしまう。その後は“Crush”“Suffocation”“STORM”をメドレー形式で繋げて、煌びやかな官能美と獰猛な凶暴性がせめぎ合うデス・ジャズの真髄をダイナミックに見せつけていく彼ら。「ひとりでも多くのミュージック・ラヴァーが日本に増えますように!」という社長ならではのキラーMCが飛び出した後は、なんと『CIRCLE』でもコラボレーションを行った海外クラブジャズシーンの若きカリスマ、ホセ・ジェイムズが登場。ホセのソフトな歌声と3拍子のサウンドがしっとりと絡み合う“Summer Love”を披露して、フロアに心地よい横揺れを生み出してくれた。そしてメンバー6人に戻って「みんなでセッションしよう!」とみどりんのビートでフロアの手拍子を誘うと、タブゾンビが奏でたのはサカナクションの“アイデンティティ”の一節! そのまま雪崩れ込んだ“POP KORN”ではフロアのハンドクラップと社長の「一郎くん良くなりますように!」というシャウトが高らかに木霊するカラフルなダンス空間を築き上げ、最後は土煙巻き上がるような壮絶なセッションとともに「デス・ジャズ!」という絶叫を轟かせて30分弱のステージは幕を閉じた。
1. NO TABOO
2. Crush~Suffocation~STORM(メドレー)
3. Summer Love
4. POP KORN
サカナクションのライヴ演奏は中止となったものの、ジャンルも編成も異なるバラエティ豊かな3組のライヴ・パフォーマンスによって大盛況となった当イベント。クリス・ペプラーの「また来年もやります!」というクロージング・トークに送られた拍手喝采が、この日の熱狂を何よりも物語っていた。(齋藤美穂)
J-WAVE McDonald’s TOKIO HOT 100 CHART OF THE YEAR @ SHIBUYA-AX
2014.02.06