JUMPIN' JACK FLASH VOL. 3 @ 梅田Shangri-la

JUMPIN' JACK FLASH VOL. 3 @ 梅田Shangri-la - 赤い公園 All pics by Yoshihiro Mori赤い公園 All pics by Yoshihiro Mori
年に2回行われるアマチュア・アーティスト・コンテスト『RO69 JACK』での歴代の優勝者/入賞者が、一堂に会するライヴ・イヴェント=『JUMPIN' JACK FLASH』。2011年5月の初開催、2013年10月の第2回に続き、初の大阪開催となる第3回が大阪・Shangri-laにて行われた。『RO69JACK』からシーンに飛び出し、第一線で活躍する5組が次々に出演し、素晴らしいパフォーマンスを繰り広げる大盛況のイヴェントとなった。各アーティストのステージをダイジェストでレポートしていきたい。

JUMPIN' JACK FLASH VOL. 3 @ 梅田Shangri-la - さよなら、また今度ねさよなら、また今度ね
■さよなら、また今度ね
今年1月にはShibuya eggmanでのワンマンライヴを大成功させ、日進月歩の勢いで注目度を高めているさよなら、また今度ねがトップバッターとして登場! これが3回目の大阪ライヴだという4人は、いきなり鉄板の代表曲“信号の奴”を投下。曲中、菅原達也(Vo)もテンション高く「今日はよろしくお願いしま~す!」と叫び、大阪のお客さんも挙げる掌でガッチリ応える。曲が終わっても音を途切れさせることなく、渋谷悠(Dr)が四つ打ちのビートを刻み続け、そこに佐伯香織(B)のぶっといベースが絡み、雪崩れ込んだ“輝くサラダ”ではブライトな空気感が炸裂。白眉だったのは、新曲“ミルクアイス”。バンド初の佐伯メインヴォーカルナンバーであるこの曲は「日常」と「些細なこと」の中に人生の真理を見出してしまうさよ今の文学的アプローチの結晶――なのだが、佐伯のキュートなヴォーカルがそこにパンキッシュな爆発力を与える。“瑠璃色、息白く”でさらにスピードを増し、シンガロングを呼んだ“僕あたしあなた君”、菅原と佐伯の掛け合いが楽しい“ギンビス”でフィニッシュ。佐伯は「あたたかい目で見守ってくれてありがとう」と言っていた。その言葉の通り、温かい、かつしっかりと熱いエネルギーを伝えるステージだった。

1:信号の奴
2:輝くサラダ
3:踏切チック
4:砂かけられちゃった
5:ミルクアイス
6:瑠璃色、息白く
7:僕あたしあなた君
8:ギンビス

JUMPIN' JACK FLASH VOL. 3 @ 梅田Shangri-la - 宇宙まお宇宙まお
■宇宙まお
続いて、宇宙まおが元気に登場! “あの子がすき”ではいきなり「あの子がすき~」の合唱が起こり、まおもニッコニコである。ビートが先導していくロックナンバーに姿を変えた“ロックの神様”、亀田誠治プロデュースのシングル曲“つま先”で思い切りテンションを高めたあとは、とびきりの笑顔で「みんな、最高! 素晴らしい!」とひと言。3月5日には初めてのフルアルバム『ロックンロール・ファンタジー』が発売されることを告知し、アコースティックギターを爪弾き、壮大なスケールを持った珠玉のバラード“哀しみの帆”を歌い出す。伸びやかな歌声が「哀しいことも、楽しいことと同じように共有したい」というメッセージにしっかりとした輪郭を与え、続く“声”では、螺旋階段を上るように美しいラインを駆け上がっていくメロディがさらなるセンチメントを描きだす。ラストは、「わたしが死んでもこの歌だけ残ればいい」という「宣言」がなされる“わたしが死んでも”を披露。「喜」と「哀」と「楽」が詰まったなんともエモーショナルなライヴを見せてくれた宇宙まお、ありがとう!

1:あの子がすき
2:ロックの神様
3:つま先
4:哀しみの帆
5:声
6:わたしが死んでも

JUMPIN' JACK FLASH VOL. 3 @ 梅田Shangri-la - 真空ホロウ真空ホロウ
■真空ホロウ
メンバーがステージに上がるや、耳をつんざくようなフィードバックノイズが鳴り渡る。そして、ノイズを切り裂くように飛び込んでくるグランジーなベースライン――“アナフィラキシーショック”から真空ホロウのライヴが幕開けである。「JUMPIN’ JACK FLASH」フル参戦となる3組が織り成すダークで妖しく、狂気に満たされたヤバい空間がこの日も見事に立ち現れる。続いて、最新シングル『虹』のカップリング、“バタフライスクールエフェクト”“I do?”を連発。「今から歌うのは『これから』のきっかけになる曲です」という松本明人(Vo・G)のMCからシングル表題曲“虹”を披露。穏やかな立ち上がりから、激情のコーラスへ――真空ホロウの変幻自在っぷりを示す、真髄のナンバーである。村田智史(B)は、ベースの音でコール&レスポンスを誘い、“闇に踊れ”“シンデレラコンプレックス”の連打へ。村田の爆笑MCに次ぐ「さあ、盛り上がっていこうぜ!」という叫びから始まったのは、“週末スクランブル”。破壊衝動で突き進むような怒涛のアンサンブルを決め、3人のパフォーマンスは不敵な余韻を残し、美しく終了した。

1:アナフィラキシーショック
2:バタフライスクールエフェクト
3:I do?
4:虹
5:闇に踊れ
6:シンデレラコンプレックス
7:週末スクランブル

JUMPIN' JACK FLASH VOL. 3 @ 梅田Shangri-la - 忘れらんねえよ忘れらんねえよ
■忘れらんねえよ
言わずとしれたチャットモンチーの名曲をSEにステージに上る忘れらんねえよの3人。柴田隆浩(Vo・G)は「ここはですねぇ、ライヴハウスの名前が“シャングリラ”なんですよ!」といきなり大きな笑いを誘う。「RO69JACKに応募するのをきっかけに28歳でバンドを始めたわけですよ。ということはですね、今日は特別な1日なわけですよ!」と叫び“僕らチェンジザワールド”からライヴはスタート。繰り返される掛け合いでは見事な一体感が生まれる。“この高鳴りをなんと呼ぶ”を挟み、新曲を連打――その名も“運動が出来ない君へ”、そして“ばかばっか”(笑)。最高である。前者は運動音痴な「君」と「僕」を受け止める熱きバラード、後者は「勝手に変えられた好きな子のメルアドを予測する」という妄執が爆発するこれぞ忘れらんねえよ的怒りのロック。初めて聴く人ばかりだと言うのにクライマックスを記録する、というのが今の忘れの勢いを象徴している。3人はフロアからの追い風を受けて“北極星”“CからはじまるABC”で30分を全力疾走してみせた。

1:僕らチェンジザワールド
2:この高鳴りをなんと呼ぶ
3:運動が出来ない君へ
4:ばかばっか
5:北極星
6:CからはじまるABC

■赤い公園
トリを飾るのは、スペシャルゲスト=赤い公園。2月、3月と怒涛の新曲攻勢中の赤公だけにどんなライヴになるのか楽しみだったが、いきなりキた! “絶対的な関係”である。100秒ジャストでアヴァンギャルドポップの世界を駆け抜けていく新機軸的ナンバーであるこの曲は最高の号砲だ。実際、この日の4人はすごかった。表情をぐるぐると変える歌声、想像もつかない展開を見せる楽曲世界、そして、静と動の針をガンガン振り切ってみせるサウンド。そんな赤い公園のダイナミズムが冴えに冴えていた。その究極は、こちらもやはり新曲である“風が知ってる”だろう。歌謡的メロディが舞い上がる端正な楽曲でありながら、この4人がやればそこにはやはり一定の不穏さと狂気が宿る。そして、「ありがとう、意味わかんない曲やるからついてこいや!」という佐藤の叫びから“塊”、こちらも新曲“ひつじ屋さん”、そして“のそき穴”を連発。フロアは思い思いに恍惚とした表情を浮かべているように見える。ラストは“今更”“ふやける”をぶっ放す。“ふやける”の終盤、佐藤は客席に乗り出し、オーディエンスに支えられながらマイクを握り、歌い上げ、津野米咲(G)はギターを放り投げる。轟音が終わった後の残響。圧倒的な余韻。赤い公園は貫禄溢れる素晴らしいステージで、このイヴェントの大団円を飾ってくれた。

1:絶対的な関係
2:はてな
3:急げ
4:風が知ってる
5:塊
6:ひつじ屋さん
7:のぞき穴
8:今更
9:ふやける

なお現在、『RO69JACK2014』がまさに開催されている。バンドの応募を随時受け付けているので、ぜひチェックしてみてほしい。(http://jack.ro69.jp)(小栁大輔)
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