スウェーデンのソングライターとプロデューサー133名はスウェーデンの権利団体STIMを通して、スポティファイでのストリーミングにおけるより公平な利益の配分を実現させる措置を講じるよう、公開書簡でレコード業界に対して要求を起こしているとビルボード誌が伝えている。
書簡では国際的な著作権保護団体CISACの調査によってアメリカではソングライターに対してはスポティファイの全収益のうちの3パーセントしか還元されていないことが明らかになっていると指摘し、同様の調査はヨーロッパでは行われていないが「ヨーロッパでも収益の配分は本質的に変わらないはずだ」としている。
そもそも音楽チャートなどは、チャートを賑わす楽曲をすべてどこかしらのソングライターが書くことで初めて成立しているのに、こうした業界構造の中でソングライターの意見や要求はほとんどが無視されていて、しかも、デジタル音楽サービス各社やレコード会社は具体的な数字を公表していないことを書簡では問題視している。さらに、アーティストを兼業していないソングライター専門の人たちは、デジタル化によって収益が減ってしまっている現状をツアーやライヴ活動などで埋め合わせることもできないので今後は「趣味でしか楽曲を提供できないソングライターばかりになってしまう」と憂慮している。
「デジタル革命とは、レコード会社が音楽商品の生産コストや販売コストをドラスティックに軽減させることに成功したことを意味します。ここ数年ではスポティファイのおかげでスウェーデンのレコード産業は活況を呈することになりましたが、こうした現象はいずれヨーロッパや世界各地でも同様のことが起きると指し示しています。しかし、音楽サービスが提供している音楽作品の制作のために時間とお金を費やしてきたソングライターはなにも見返りを得られていません。今こそデジタル収益の配分のバランスを正していく機が熟してきたといえるのです」
書簡ではさらに公平化のステップとして、あらゆる取り決めや条件の完全な透明化を図り、次に業界全体が生きていけるような収益再配分のモデルを描き出し、そして、ストリーミングでは作曲者やプロデューサーがクレジットされていないことが多いのでこれを改善することなど、改善すべき点を挙げている。