世界の深淵を見せる表現者・luki、最先端の「歌」を聴いた! 久々のワンマンに見た進化に迫る

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2015年5月28日、渋谷Lushにて「ワンマンライブ ~東京物語~」を行ったluki。今回のライヴは、1st Full AL『東京物語』リリース以降、初めてのフルサイズのライブとなった。RO69では、このライヴの模様をライヴ写真とレポートでお届けする。

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昨年11月にフルアルバム『東京物語』をリリースしたシンガーソングライター、luki。久々のワンマンライヴにはそのアルバムタイトルが冠されているが、蓋を開けてみれば、むしろ進化を続けるlukiワールドの最先端を覗きこむような、そしてシンガーとしてのlukiの進化をうかがい知るような、刺激的なライヴとなった。

開演時刻になり、SEが鳴り響き、ステージに姿を表したluki。バンドはドラム、ギター、キーボードという編成だ。最近はドラムレスでリズムは打ち込み、という形でライヴをやってきたので、まずその「形」自体が新鮮。しかしそんな見た目の新鮮さは、あっという間に音の迫力によって打ち消されることとなる。

1曲目は『東京物語』の最後を飾り、ライヴでも重要な役割を担っている“100年後のあなたへ”。真摯なメッセージが、EDMの力強いビートによって開花し、遠く未来へと飛んでいくような名曲――なのだが、やはり生ドラムが入ると楽曲そのもののパワーが何倍にも増幅されるような印象を受ける。リズムが肉体的になることで、歌も、ギターやシンセサイザーの音も厚みを増して聞こえてくる。簡単な挨拶を経て、ミニアルバム『パープル』に収録されている“スイッチ”へ。続く“曖昧なファンタジー”とともに、ダークでしなやかなlukiの世界観をきっちりと提示した後には、“白い月”。ミニマルなアレンジの曲だが、そのぶん、lukiの歌が明らかに成長していることを感じさせる。ステージ後方のスクリーンに投影される映像と相まって、Lushのステージには収まりきらない広い世界が眼前に立ち現れてくる。

続いてはギターに合わせてlukiがハーモニカを吹き鳴らすインストナンバー“深淵の揺らぎ”。ブルージーでもあり、でも同時にものすごくポップでもある彼女のハーモニカは、いつ聴いてもlukiというアーティストの本質にとてもよく似合っている。言葉にならない想いや、言葉を超えていく想いを、lukiはハーモニカの音色に託す。それはときに、どんな歌声よりも饒舌に、情景や感情を描き出していくのだ。

そして“深淵の揺らぎ”のあとには新曲が連打される。まずは“ハイエナ”と題されたロックナンバーだ。真っ赤な空間にストロボが瞬き、その向こうからlukiの叫びが響いてくる。圧倒的なメッセージ性と、打ち出し方も含めたトータリティは、現在のlukiの楽曲の中では群を抜いているのではないか。音的にはむしろシンプルなのに、スケール感と迫力は爆発的に増している。続く“解けないパズル”も圧巻だった。緊張感のあるギターのサウンドと、鋭く刻まれるリズム。そこに乗るlukiの歌も、自身の言葉と歌詞に対する確信に満ちている。とにかく揺るがないのだ。さらに披露された新曲“温室の薔薇”(メロウでメランコリックなミッドチューン)も、落ち着いた展開の曲ではあるのだが、そこに激しい感情の起伏が浮かび上がってくる。

振り返ってみれば完全にこの日のライヴのハイライトとなっていた新曲ゾーンを抜け、しっとりと落ち着いたバラード“モノクロームの恋人たち”へ。あの新曲たちのインパクトから、少しずつ回復していくような時間である。しかしここでもやはり、lukiの歌にはこれまでにない力が宿っている。その力がいちばん如実に出たのは、続いて披露された“東京”だった。『東京物語』のリード曲であり、lukiが初めてEDMを取り入れた楽曲である“東京”。この日もVJによる映像と組み合わされたハイパーなパフォーマンスとして展開されたが、この日はまぎれもなく「歌」がど真ん中にいた。そこに込められたメッセージがこれまでにないほどの強度をもって伝わってくる。

自身が趣味としているランニングについてのMCをはさみ、ヘヴィなギターリフがドラムと絡み合うluki流グランジ・ナンバー“四角い箱にいた頃”、そして本編最後の“KISS OR KILL”へ。ハードエッジな音と、バンドの重厚感。それと拮抗するlukiの歌。あらゆる感情がないまぜになって押し寄せてくるようなすさまじいクライマックスだ。曲が終わったあとも、心の奥がしびれるような感覚がいつまでも消えなかった。

アンコールに答えて再び登場したlukiとバンドメンバー。そしてこの日最後に披露されたのはまたしても新曲“イコール”だった。宇宙的な広がりをもったサウンドスケープの中で描かれる、世界をまるごと救うようなメッセージ。lukiというシンガーソングライターが、今やどんな視点に立つアーティストになったのか、この曲はそれを雄弁に物語っていた。

『東京物語』から約半年。lukiは大きく進化を遂げている。その進化は、この日披露された新曲に、ヴィヴィッドに反映されていた。この先、どんな展開が待っているのか。楽しみでしかたがない。(小川智弘)

[SET LIST]

01.100年後のあなたへ
02.スイッチ
03.曖昧なファンタジー
04.白い月
05.まだ間に合うから
06.深淵の揺らぎ(inst.)
07.ハイエナ(新曲)
08.解けないパズル(新曲)
09.温室の薔薇(新曲)
10.モノクロームの恋人たち
11.東京
12.四角い箱にいた頃
13.KISS OR KILL

(Encore)
14.イコール(新曲)

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