LUNA SEA、幕張にロック史を刻む!歴史的事件「LUNATIC FEST.」2日目を、今振り返る
2015.07.07 21:40
2015年6月27日、28日の2日間にわたって行われたLUNA SEA主催ロックフェス「LUNATIC FEST.」。RO69では、この2日目・2015年6月28日の模様をライヴ写真とレポートでお届けする。
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LUNA SEAが全身全霊で伝えたかったものとは何か。全ライヴ終了後、その答えがおぼろげながら見えた気がした。
主催者自らオープニングアクト兼ヘッドライナーを務め、さらにほかの出演者のステージにメンバーが飛び入りする大車輪の奮闘ぶりで、頭が下がる思いだった。いや、それだけLUNA SEAがこのフェスに賭ける思い、願い、祈りは、想像以上に広くて深くてとてつもなく濃かったと言えるだろう。その熱量にしっかり応える各出演者、高まる期待を胸に集まった観客で埋め尽くされた幕張メッセの活気といい、どれ一つ欠けても成り立たないイベントになった。
バンド結成25周年という節目を迎え、LUNA SEA主催による初のロックフェス「LUNATIC FEST.」が幕張メッセ2DAYSで開催された。ここでは最終日・2日目の模様を書き記したい。会場に入ると、「MOON」、「FATE」、「SHINE」と3ステージ設けられ、タイムテーブルは10分間隔で空く形となり、時間の被りなく全アクトを体感できる。しかも3つのホールをぶち抜いて使用しているため、場内の真ん中あたりに立って体の向きを変えるだけで3ステージを眺められるただっ広さ。
トップはLUNA SEAが結成当時の名義LUNACYで、SHINE STAGEに登場する。もちろん初期曲縛りの“FATE”、“SUSPICIOUS”、“SHADE”を熱演。メンバーの容姿も当初の髪型や衣装に寄せた気合いの入れようで、初っ端からファンも歓喜に沸く。午前11時10分から自ら前座を務めるあたりも、このフェスを最初から丸ごと楽しんでほしいという希望があったに違いない。それからMOON STAGEに姿を現したのは凛として時雨だ。“I was music”から雷鳴のごときTK(Vo・G)のスクリーム、地鳴りのようにブンブンうねる345(Vo・B)のベースといい、3ピースとは思えぬド迫力の音像でフロアを一気に制圧する。「またここから歴史が始まると思います」と言った後、長尺のラスト曲“傍観”は静穏な始まりから轟音へと駆け上がり、美しい狂気を叩き付けた。
FATE STAGEに「灼熱のライヴハウスから来た、俺たちがROTTENGRAFFTYだ!」というN∀OKI(Vo)の雄叫びが響くと、京都発の5人組がお出ましだ。2曲目“This World”ではゲストにJがベースで参加し、さらに沸点を押し上げる。その勢いのまま次の曲ではLUNA SEAに捧げると宣言して“響く都”をプレイ。ロットンらしい郷愁の歌謡メロが炸裂し、会場を力強く一つに束ねていた。そして、ここからLUNA SEAの先輩格にあたる人たちが3組続く。元SOFT BALLETの藤井麻輝と森岡賢の2人で結成された新ユニット・minus(-)は、SHINE STAGEを独自の色に染め上げた。アンビエントな空気、ダンスミュージックの快楽に加え、インダストリアル風味のヘヴィなエッジ感を剥き出しにする音像に魅了された。
FATE STAGEでAIONの出番に来ると、Jはローディー役でDEAN(B)にベースを手渡すイキな演出もあり、1曲目“RUINS ONLY”からショウは始まった。スラッシーなギターサウンドを武器にフルスロットルの爆走ぶりだ。NOV(Vo)の情念の歌声が迸る“君へ”を挟み、「幕張が俺をクレイジーにさせる! 一緒に叫んでくれないか?」と呼びかけ、最後は“SKY”で締め括る入魂のライヴだった。そして、土屋昌巳(G・Vo)率いるKA.F.KAがSHINE STAGEにお目見え。the HIATUSのウエノコウジ(B)、THE MAD CAPSULE MARKETSの元克(Dr)など豪華なメンバーを揃え、シアトリカルなサウンドでグイグイ引き込む。このバンドを組む上で重要バンドと前置きして、ジョイ・ディヴィジョンの“Transmission”を最後にプレイ。ここでゲストにSUGIZO(G)を招き、アームを多用したむせび泣くギターソロで観客を酔わせる。
煌びやかなエレクトロとトグロを巻くヘヴィロックの融合で、MOON STAGEのフロアを激しく揺さぶったのはMUCC。“睡蓮”で火蓋を切ると、“ENDER ENDER”で大合唱を、“D・f・D”でヘドバンの嵐を吹かせ、超攻撃モードで煽りまくる。後半、LUNA SEAのMCをパクる茶目っ気を見せた後、“蘭鋳”で観客全員を座らせてから一斉にジャンプ!という鮮やかな光景を作り上げた。次はおそらく今日のメンツの中では若手の[Alexandros]がFATE STAGEに立つ。“Stimulator”で豪快に始まり、川上洋平(Vo・G)の伸びやかな歌声と精緻なアンサンブルで猛ダッシュをかける。途中、マイクスタンドを壊すほど熱の入った演奏を響かせ、また、年内に幕張メッセでライヴを行うことを告知した後、6月に出たばかりの新譜から“Famous Day”を放つ。メロディアスな流線を描きながら、激しくスパークする展開に心を奪われた。
イベント開始から5時間経過、16時にMOON STAGEにGLAYが登場。天井まで吹き上げるスモークと共に2曲目“誘惑”で早くも会場を大熱狂に誘う。TERU(Vo)は昨日も遊びに来たらしく、YOSHIKIの涙にもらい泣きをしたことを告白し、約20年前の曲でLUNA SEAに色濃く影響を受けたという“月に祈る”を披露。それからHISASHI(G)は「GLAY、21周年……LUNA SEAの『LUNA SEA』(1stアルバム)を聴いて虜になった」というMCの後、“SHADE”を大胆にカヴァー。HISASHIの感情のこもった切ないギターソロを含め、ハイライトの一つとなった。終盤は火柱が上がる中で“TILL KINGDOM COME”、最後は“HEROES”でビシッと締める。
最終日の2日目も残り3組となった。SHINE STAGEで鼻息の荒い爆裂ライヴを見せたのはD'ERLANGERだ。kyo(Vo)の噛み付くような歌声と鉄壁の演奏で疾駆し、3曲目“LULLABY”まで一気に駆け抜ける。続く“LA VIE EN ROSE”ではINORAN(G)をゲストに迎え、白熱のプレイを響かせた。煌々とミラーボールが回る中、“独壇場Beauty”でMOON STAGEの地を踏んだのはBUCK-TICKだ。エレクトロを配したダンサブルな“メランコリア-ELECTRIA-”で踊らせ、唯一無二の空間を作り上げていく。今年BUCK-TICKはライヴをやっておらず、LUNA SEAのためにこの日は駆けつけてくれたようで、“ICONOCLASM”ではゲストにJ(B)が参加し、櫻井敦司(Vo)とマイクを分け合って歌う貴重な場面に会場も大フィーバー!
そして遂にトリのLUNA SEAが、19時20分にMOON STAGEに降り立つ。“Anthem of Light”でライヴがスタート。INORANがステージ中央でギターを弾くと、火柱が上がり、“TONIGHT”へと繋ぐ。「ウォーウォー」の大合唱が幕張に響き渡り、RYUICHI(Vo)も喜びの表情を隠せない。今回のフェスに20バンドが出演してくれたことに感謝の言葉を述べ、3万人もの人が会場に集まったことを告げ、すかさず“DESIRE”、“TRUE BLUE”と畳み掛けていく。SUGIZOのバイオンリンをフィーチャーした荘厳な“Providence”、バラード調の“I for You”と腰を据えてじっくり聴かせるナンバーも素晴らしかった。それからスクリーンにhideの姿が映されると、ここで“ROCKET DIVE”のカヴァーを披露! その右肩上がりの熱気に本編ラストの“ROSIER”がトドメを刺し、最高潮の盛り上がりを見せた。
アンコールでは、GLAYをはじめ出演バンドがステージに総動員し、RYUICHIに対してTERUが「繋げていきたいですね」と言葉を交わし、“BELIEVE”のセッションをここで披露。RYUICHIはもちろん、MUCCの逹瑯、ROTTENGRAFFTYのNOBUYA、TERUなど豪華なマイクリレーが実現した。「思いっきり暴れてくれ、全員でかかって来いよ!」と言い放つと、LUNA SEAのメンバーのみで最終曲“WISH”を始めると、華やかな銀テープが会場に飛び交う。曲中に「隣の仲間と手を繋いで!」と呼びかけ、3万人が手を繋いでジャンプする光景は感動的だった。
ロックの歴史軸から自分たちの歩みを見返し、バンド主催でありながら、これだけ多彩な出演者が集まったフェスも稀だろう。結成25周年という節目も大きいだろうが、先達への敬意、同時代を生きた戦友、未来を担うバンドたちに対する深いリスペクトを滲ませ、日本の音楽シーンの「縮図」となった濃厚すぎる2日間が盛大に幕を閉じた。ここからまた新たな歴史が作られる……そう期待せずにはいられないフェスだった。(荒金良介)
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※記事初出時、曲名に誤りがありました。訂正してお詫び致します。