【コラム】WANIMA、ついに1stフルアルバムリリース! ここから始まる「才能のレース」とは?

【コラム】WANIMA、ついに1stフルアルバムリリース! ここから始まる「才能のレース」とは?

11月4日、あなたはロックの名盤に出会うだろう。音源を再生して40分強、ロック体験でしかありえない刺激が、雷のようにあなたの感性の真ん中を撃ち続けるだろう。WANIMA待望の1stフルアルバム『Are You Coming?』はそういう作品だ。WANIMAのライヴを観に行くと、1曲目のイントロ一発でオーディエンスが沸き返ってフロア全体が激しく波打ち、いきなり大合唱が巻き起こされる。ものすごい瞬発力と機動力でロックが鳴り始めるのに、誰ひとりとして置いてけぼりにされることがない。WANIMAの音楽の力である。今回のアルバムにも、そんな音楽の力がこれでもかと詰め込まれている。

彼らがPIZZA OF DEATH RECORDSからミニアルバム『Can Not Behaved!!』でデビューして1年が過ぎた。ピザが初めてマネージメントも手がけるという大きな期待と力の入れようで、実際に『Can Not Behaved!!』の素晴らしさとライヴの楽しさはWANIMA旋風を巻き起こした。『ROCKIN’ ON JAPAN』最新号(10月30日発売)に掲載されたインタヴューによると、新作『Are You Coming?』のレコーディングは『Can Not Behaved!!』ツアーファイナルの前に終了していたという。『Can Not Behaved!!』~EP『Think That...』~『Are You Coming?』という3枚の作品は、アートワークの女性の姿がどんどんエロくなっていく過程を見ても、一連の流れの中にあると考えて良さそうだ。

西田光真(G・Cho)による猛烈なメタルギターと、藤原弘樹(Dr・Cho)の性急なスカ/パンクビートが、松本健太(Vo・B)による狂気寸前の毎日のルーティンの歌を後押しする“いつもの流れ”。優しさにふれるときの情緒が熱く溢れ出す、直球メロディックパンクの“エル”。言葉とサウンドがふれる者の心をガッチリ捉えるWANIMA節は、今回の『Are You Coming?』においても震えが止まらないほど研ぎ澄まされている。彼らの才能の巨大さはもはや疑いようもないのだが、面白いことに、先のインタヴュー記事の中で、彼らは自身の才能を否定しようとしている。それはもう、謙遜というレベルではないほど執拗に、全力で否定しているのである。

記事の中では理由についても語られているし、どんな天才だって経験と努力の成果を「才能」の一言で片付けられるのは嫌なものなのかもしれない。しかしそれでいい。おそらく今後も、WANIMAは星の数ほど、その才能を賞賛される機会を得るはずだ。リスナーはWANIMAの才能を追い求め、WANIMAは「才能だけではないもの」をひとつでも多く証明しようとするだろう。そんなふうに、リスナーとWANIMAが才能を巡る白熱のレースを繰り広げたとき、WANIMAとシーンはさらに面白くなっていくはずだ。

『Are You Coming?』の素晴らしさは決して一口には語り得ないけれど、最後にひとつだけ、WANIMAの才能の一端にふれておこう。《音を鳴らせば…今すぐでも逢いたい気持ちは紛れて/軽くしたい 背負うその荷物を》(“Hey yo…”)。こんな歌詞は、「気持ちが紛れるほどの音」を鳴らすことができるミュージシャン/ソングライターにしか伝えられない言葉である。僕には書くことを許されない、憧れの言葉である。そしてその歌詞は間違いなく、WANIMAの熱狂を裏付けている言葉なのだ。(小池宏和)

WANIMA 1stアルバム「Are You Coming?」Trailer
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