【コラム】ロックの根底には「寂しさ」がある――MAN WITH A MISSION『The World's On Fire』にふれて

【コラム】ロックの根底には「寂しさ」がある――MAN WITH A MISSION『The World's On Fire』にふれて

ロックは、なぜこんなにもワクワクするのだろう。中学生みたいなことを書くようだが、はっきり言うと僕はこんな中学生みたいな疑問が40歳を過ぎても解けずに、ロックを聴き続けている。

昨年、ティーンエイジ・タイム・キラーズというバンドプロジェクトのアルバムがリリースされて、これはリード・マリン(コロージョン・オブ・コンフォーミティ)らが中心になり、デイヴ・グロールやらジェロ・ビアフラ、コリィ・テイラーといったUSハードコア/メタル/オルタナティヴの錚々たる顔ぶれをゲストに招いたアルバムなのだけど、いい歳したオッサンたちが揃いも揃って、しかも躍起になって熱を詰め込みまくった音に、ああ、ロックのロマンというのは本当に底知れないもので、いくつになっても追い求めてしまうものなのだな、と思い知らされた次第である。

前置きが長くなったけれど、MAN WITH A MISSIONの新作『The World’s On Fire』には、ティーンエイジ・タイム・キラーズにふれたときと似た匂いを感じる。なぜ、すでにお茶の間にまで広く顔を知られるようになったあの狼たちは、海外バンドや海外プロデューサーと楽曲を共作し、海外をツアーして回り、一方で映画やアニメやCMタイアップ曲を連発するような、焦燥感にまみれた活動を行ってきたのか。例えば、『ROCKIN’ ON JAPAN』2月号のインタヴューで、ジャン・ケン・ジョニーはこんなふうに語っている(本誌掲載の日本語翻訳済テキストを引用)。

「ある意味青臭いじゃないですか、ロックっていうジャンル自体が。時には気恥ずかしいメッセージも打ち出している気もしますし」

そうなのだ。日々の違和感を受け入れることもできずに、喚き、バカでかい音を出し、汗だの涙だのもろもろの体液を撒き散らしている。そんなのはまさに青臭くて大人気ないし、気恥ずかしいし、寂しいのである。寂しいから、また喚いて騒ぐ。どうにか周りの人々を巻き込んでやりたいと思う。海外の人にまでアドバイスをもらい、タイアップ曲として広く通用するようなロックに仕上げる。ロックは王道であればあるほど実は孤独で困難に満ち、『The World’s On Fire』に至るMWAMは、そのことを歌にしていたのである。

怒りの炎は希望の炎。『The World’s On Fire』のタイトルには、そんな意図が込められているという。アルバムのクライマックスに収められているのは、最後に完成した楽曲であり、唯一歌詞全編が日本語で書かれた“ワンダーランド”だ。ここまで来ても、思い描いた世界はここにはない。だからそこを目指す。フューチャリスティックで浮遊感に満ちたロックサウンドに乗せ、優しく、気恥ずかしそうに、ちょっと申し訳なさそうに、その曲は歌われる。僕はそんな形のないワクワク感をくれるMWAMを、信用してやまないのである。(小池宏和)

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