【コラム】[Alexandros]が食らった現代のロックンロールの「ご馳走」とは?

【コラム】[Alexandros]が食らった現代のロックンロールの「ご馳走」とは?

ニューシングル『NEW WALL / I want u to love me』のリリースも4月20日に迫っているが、その前にぜひチェックしておきたいライヴ映像作品『[Alexandros] live at Makuhari Messe "大変美味しゅうございました"』。ツアー「ご馳走にありつかせて頂きます」ファイナル公演にして、キャリア最大規模となるワンマンの模様を収録した内容だ。

この12月19日幕張の後、年明けに仙台での振替公演も行われたが、2015年は[Alexandros]がライヴで新たな局面に突入した1年だった。信じがたいペースで大型フェスに出演しまくり、7月に武道館ワンマン、そして10月から久々のツアーに乗り出した。本作に収められた一幕で、川上洋平はこう言う。「今年も終わりだけど、どっかのフェスに負けないように最高の1日にしようぜ!」と。巨大フェスの熱狂とスペクタクルが、当たり前のように体に染みついている世代のロックファンを相手に、ワンマン公演でその熱狂とスペクタクルを生み出してやろうとすること。途方もないロマンである。

ライヴハウスの、密度の高い熱狂をそっくりそのまま大会場に移し替えるのは難しい。オーディエンスから観るステージの距離が変われば興奮の度合いも変わるし、何より音響の問題がある。ライヴ会場が大きくなると、ロックバンドは曲調が変わることも少なくない。例えばUKバンドのオアシスは、ファンが増え会場が大きくなるにつれ、演奏のテンポが落ち、新しいグルーヴを模索しなければならなかった。そうしなければ「届かない」からだ。

そこで今回のライヴ映像。オープニングでは、レーザーが飛び交い、巨大なLEDスクリーンがせり上がる中で“Burger Queen”が鳴り響いている。その後、川上がハンドマイクで花道を練り歩きながら、大きなスケール感で“ワタリドリ”を繰り出す。がっちりとオーディエンスの集中力を引きつけた上で、“Boo!”~“ワンテンポ遅れたMonster ain't dead”~“Famous Day”と、[Alexandros]のスリリングなロックンロールに巻き込むのである。これはアルバム『ALXD』の序盤そのままの曲順だ。つまり、『ALXD』は、あらかじめこのサイズの熱狂を目指し制作されていたということになる。

川上や磯部が、広大なフロアから遅れて届くレスポンスを楽しみ、「リハーサルじゃ味わえないんですよ」と告げる。巨大フェス会場が基準になった世代のロックンロールを味わい尽くしている。そんな映像記録だから『~“大変美味しゅうございました”』というタイトルになったのだ。スケールの大きな歌心とグルーヴ、そして、高い機動力や爆発力が絶妙に織り成したライヴ。これは[Alexandros]の到達点の記録というだけではなく、現代のロックンロールが到達した記録なのである。(小池宏和)

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