Gラヴ、ピースフルな空気に包まれた一夜限りの単独来日公演を速報レポート

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昨年11月にGラヴ&スペシャル・ソース名義で11作目のニュー・アルバム『ラヴ・セイヴス・ザ・デイ』をリリースし、今夏開催されるFUJI ROCK FESTIVAL ‘16への出演も決定しているGラヴが、昨日5月29日、渋谷クラブクアトロでソロとしては初の単独来日公演を行った。

RO69では、同公演のオリジナル・レポート記事をお届けします。

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【Gラヴ @渋谷クラブクアトロ】

渋谷クアトロは、開演前からいい具合にお酒の進んだ観客たちが、それぞれに談笑しつつ、時折BGMに合わせて足を踏みならしたりしながら、Gラヴの登場を待っていた。ステージには彼の3本のギターと、ステッカーだらけの使い込まれたギターケースが3つ置かれている。今回のライブは『Streetside Blues』というタイトルにも表れている通り、SPECIAL SAUCEを率いてのバンドスタイルではなく、完全なるGラヴのソロ・ショウ。昨年11月に発売された新作『ラヴ・セイヴス・ザ・デイ』の楽曲も、ソロでどのように演奏されるかが楽しみだった。予定時刻を少し過ぎて、Gラヴが笑顔で登場。「TOKYOコンバンハ!」と、さっそく1曲目にニュー・アルバムから〝New York City″を披露。ギター、歌、ブルースハープ、そしてフットドラムと、1人ですべてをこなしながら、初っぱなから最高に気持ちいいグルーヴで会場が満たされていく。続けざまに、「一緒に歌って」と、2008年リリースのアルバム『スーパーヒーロー・ブラザー』に収録の“Peace, Love, and Happiness”へ。サビのシンガロングは徐々に声も高まっていき、その歌詞通り、なんともハッピーな空気を作り上げていく。そして再び新作より、ほろ苦いブルース“Back To Boston”、さらに、原曲よりもテンポを上げた“Shooting Hoops”に一際大きな歓声が上がる。Gラヴ独特の跳ねるようなリズムが心地好い。12弦ギターに持ち替えての“Bull Frog Blues”、そしてバンドセットとはまったく違う肌触りにアレンジされ、よりブルース色を強めた“Fixin to Die”と続く流れも、思わず体が横に揺れる。

この日は何度も「シアワセ?」と日本語で語りかけたり、自身も「シアワセ!」と告げたり、とてもピースフルな雰囲気でショウが進んでいった。「今年は2回(「two times」と言うところを、2だけ日本語にして「ニ タイムス」と言っていたのが可笑しかった)、日本に来ることができて嬉しいよ。フジロックにも来るしね。ジミー・“ジャズ“・プレスコットと、ジェフリー・“ハウスマン“・クレメンスも、きっと素晴らしい演奏を聴かせてくれるよ」と語り、会場も大きな歓声で応える。終盤は“Bootsy Call”“Cold Beverage”“Kiss and Tell”と、人気曲を出し惜しみなく披露。いずれもソロならではの、ラフで自由なアレンジでぐいぐいと盛り上げていく。体全体で音を奏でている、という表現がこれほどまでに的を射ているアーティストも他にいない。素晴らしいボイスパーカッションを披露して驚かせてくれた“Rodeo Clowns”、原曲よりさらにアップテンポで盛り上げる“Baby’s Got Sauce”と、最高潮に盛り上げたところで、本編は終了。一旦ステージを去るも、「アンコール」の声が10回も繰り返されないうちに、すぐにステージに戻ってきたGラヴ。あれだけの演奏を1人きりで休みなく続けて、まったく疲れを見せないのが本当に凄い。そして、アンコールではなんと、会場からのリクエストに応えてくれた。最初に受け取られたのは“Unified”。サビはもちろんシンガロング。2曲目のリクエストに“Blues Music”の声が上がると、「それはフジロックでね」とさらりとかわし、続いて声のあがった“Milk and Sugar”を演奏。「最後の1曲」のリクエストには、やはり“Stepping Stone”の声。少し困ったような笑顔を見せながら、焦らすようにギターのチューニングをして、ようやく歌い始めると客席はとても幸せな熱狂に包まれた。会場中から歌声が響き、そして大きなハンドクラップ。生音のループが最高に気持ちいい。ああこれで終わり、かと思いきや、Gラヴ自ら「もう1曲?」と会場に問い、ステージ横のスタッフに「やっちゃダメ? クビ?」とお伺いを立てるジェスチャーをユーモアたっぷりに見せて、本当のラスト曲にと“I Love You”を演奏してくれた。オープニングからアンコールラストまで、隙間なくGラヴの魅力がぎっしり詰まった、真に「オーガニック」と形容したくなる夜だった。

まるで旅芸人のように、観客を楽しませる術を知っているGラヴ。「20年前にもここ、渋谷クアトロに来たんだよ。あの時はジョン・スペンサー・ブルース・エクスプロージョンと対バンだったよね」と、当時を懐かしく思い出す場面もあり、その年月を経て、さらにさらにアップデートされたGラヴ流のファンキーブルースを思う存分楽しませてくれた夜だった。初期からの盟友である2人を率いてのフジロック公演も、今からとても楽しみだ。(杉浦美恵)
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