デヴィッド・ゲッタ、来日ツアー初日幕張公演を速報レポート

デヴィッド・ゲッタ、来日ツアー初日幕張公演を速報レポート

2015年に開催されたULTRA JAPAN 2015以来、約2年ぶりに来日したデヴィッド・ゲッタ。

RO69では、来日ツアー初日、1月8日(日)に行われた幕張公演のオリジナル・レポート記事をお届けします。

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【デヴィッド・ゲッタ @ 幕張メッセ】

前日に「electrox 2017」が開催された(レポート記事はこちら→http://ro69.jp/news/detail/154341?count=1&topic=3)幕張メッセで、デヴィッド・ゲッタの来日・初日公演が行われた。開場/開演時間の15時から、ゲスト・アクト出演も含めて華やかに繰り広げられるパーティーである。年を跨いでドバイ、北京、ケソン、台北と各地公演を行ってきたツアーの最中であり、日本では幕張の翌日(1月9日)にも大阪城ホール公演を予定している。

開演時間には天候が崩れてしまっていたけれども、トップバッターのBABY-Tが瑞々しく滑らかなハウス・ミックスでゆっくりと体を温めてくれるのが有難い。リズム・イズ・リズム(デリック・メイ)“Strings of the Strings of Life”で、2番手のTJOにバトンが受け渡される。トライバル・ビートの高揚感が注ぎ込まれたソリッドなテック・ハウスのプレイが、オーディエンスを次第に熱いパーティへと誘っていった。

さて、この後にはLA発DJ/シンガーソングライター・デュオのマコ(MAKO:今回はメンバーのローガンが欠席、アレックスが単独で出演)が初来日のステージを踏むのだけれども、これが素晴らしかった。ハスキーな美声で味わい深いトラップ・ソングを届けたかと思えば、アレッソやギャランティス、ボン・イヴェールにレディオヘッドと、自由闊達にして鮮やかなDJプレイを繰り広げてくれる。元々はメンバー2人ともクラシックを学んでいたらしく、EDMカルチャーに魅了されてシーンに飛び込んだらしいのだが、所謂ビッグルームEDMの文体とは一線を画した新鮮なアクトだ。2016年末には初のアルバム『Hourglass』を配信リリースしている。

さあ、時刻は18時。ジャーマン・エレクトロ風のレトロなイントロが鳴り響いてスクリーンには「UNITY」の文字が踊り、一際大きな歓声を巻き起こしながらデヴィッド・ゲッタが登場だ。扇動的なビートを放ちながら早速マイクを握り、わざわざ“Play Hard”を止めてオーディエンスとセルフィーを一発。「ハードにプレイしていいかい?と嬌声を誘ってけたたましいプレイを再開する、といった具合だ。

デヴィッドのDJプレイには、良い意味で「音楽を信用し過ぎない」一面がある。ただダンス・ミュージックに身を委ねてひたすら踊れ、というスタンスではなく、そんな熱狂からこぼれ落ちてしまう人への配慮があるのだ。だから、音を止めてでも言葉を届けるし、歌やサウンドの即効性を重視する。例えば誰にでも、アーティストのルックスや言動が音楽の世界に飛び込むきっかけになったという経験はあるのではないか。デヴィッドはそれを、DJブースの中でやっているのである。ダンスの陶酔感に慣れた体には「あれ?」と感じる瞬間もあるけれど、それこそが帝王の帝王たる所以なのだ。

“Bad”でシンガロングを巻き起こして以降も、今回のデヴィッドのアグレッシヴネスは止まらない。フレンチ・ディスコ原点回帰“Would I Lie to You”を繰り出しては全面LEDスクリーンのDJ卓の上に登って煽り立て、ステージを暗転させたかと思えばオーディエンスにケータイのライトを灯すよう促す。“When Love Takes Over”の煌めきから今回も威力絶大な“Titanium”へと持ち込むという流れだ。

サッカーのビッグ・ゲームを引き合いに一体感について熱弁をふるい、「UNITY」というテーマについて語りながら届けられるのは、オンライン上で100万人もの声を募集したというEURO 2016のテーマ曲“This One’s for You”だ。そして“Hey Mama”以降はバウンシーなダンス・タイムへと突入。ブラック・アイド・ピーズにJACK Ü、アヴィーチーにアフロジャックといった怒涛のヒット・メドレーは実にえげつなかった。

“Sexy Bitch”の狂騒の後にはあらためて感謝の思いを伝え、歌詞を引用しながら別れの挨拶とばかりに“Without You”が繰り出される。ステージからは花火も吹き上がるというクライマックスだ。いつでも、誰よりも先に「音楽の入り口」を作り出す、そんな帝王のステージであった。(小池宏和)
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