7. "Fitter Happier"
ナイジェルはレコーディング現場で使っていたマックの音声機能に閃いたトムがその音声を模した台詞をレコーディングし、ナイジェルとジョニーでサウンドを重ねていったことを振り返っている。
歌詞の結末となる「抗生物質漬けの檻の中の豚」というのは本で読んだイメージで、それをただ朗読することを思いついたのだとトムは語っている。
「農業について本を読んだのなんてあれが初めてだったんだ。食肉を買うまでの間にぼくたちは豚を抗生物質漬けにしていて、それがぼくたちの血の中にもめぐってぼくたちも抗生物質への耐性がつく」といった内容の本だったと説明している。
8. "Electioneering"
トムは「当時はトニー・ブレア政権が成立して楽観的なムードに包まれてたんだけど、かなりの部分が利己的な期待感だったんだよ。当時はいい映画もいくつか作られたし、いい音楽作品もいくつかは出てきたけどね」と当時を振り返っていて、次のように回想している。
「イギリスでほんのわずかの間だけど、政治家が政治を自己利益のための道具、もしくは投資のための道具として初めて使わなくなるって兆しが存在したんだよ。でも、数か月のうちにそんなことは起きないって明らかになったんだ」
9. "Climbing Up the Walls"
トムはもともと自分は小さな村にある精神障害者施設で働いたことがあり、その関係からからある時、家庭内での殺人事件で明らかに犯人の精神状態がまともでなかったという事件を新聞で読み、ある時点でまで普通に生きていたのがある日突然取り返しのつかないことをやってしまうのはどうしてなのかと気になってしようがなくなったと語っている。さらに次のように説明している。
「これは誰もがまともな手当てや対応をしてもらっていないという文脈でのものなんだ。たとえば、あの頃、鬱は誰もが経験するようなものとして語られていて『ああ、それはただの鬱だよ』っていう扱いだったんだよね。でも、今はそれがまた別な事態を引き起こしていくわけで、誰かが心を病んじゃうと、本人や周囲の人たちにも危険を及ぼすこともありうるってことにもなっちゃうんだよね。この曲を今聴くと特にそういうことを考えるよ」
10. "No Surprises"
トムは「あの曲は気分が滅入ってくるようなバスでの移動の間に書いたんだよ。2時間くらい、典型的なイギリスの年金受給者の高齢者に囲まれてバスに乗り続けることになったんだ」と回想している。
自分たちを代弁していないから政府を引きずりおろせというフレーズが今も大きな歓声を呼ぶ曲だが、もともとそういう政治的な意図をもって書いた曲ではなく、そのバスでの光景を見て感じた「なぜぼくたちは放置されたまま朽ち果てることになってるんだ? 民主主義国家なら助けてもらえるはずだ。でも、なぜ助けてもらえないのか」という疑問を曲にしただけだったと語っている。
11. "Lucky"
1995年に戦災被害を受けた児童の支援団体「ウォー・チャイルド」のために制作された曲だ。ツアー中にレコーディングされたもので「5時間で済ませた」とナイジェルは語っている。その後、アルバム収録にあたってミックスをやり直すことも考えたが、バンドはそのままでいいと判断したとナイジェルは明らかにしていて、この曲を制作した日が「『OKコンピューター』の本当の始まりだった」と振り返っている。
12. "The Tourist"
ジョニーが弾いていた、ゆったりとしたリフに、自分たちも歩みの速さを落とすべきだという内容を歌ったものだとトムは振り返っていて、その理由について次のように説明している。
「ぼくたちは旅してて、そして絶え間なく旅を続けてたんだ。いつまでもいつまでもね。すべてがどれだけ速く移動できるかということだった。すべてが目まぐるしい速さで動いてたんだよ。座って窓から外を眺めてるんだけどあまりにも速くて目の前を通り過ぎていくものがなにひとつとして見えないっていう心境だったんだ」
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2017.06.22 13:30