ジェイ・Z、チェスター・ベニントンの自殺は他人ごとではないと語る。新作の制作秘話も明らかに

ジェイ・Z、チェスター・ベニントンの自殺は他人ごとではないと語る。新作の制作秘話も明らかに

ジェイ・Zは自身で運営するストリーミング・サービスのTidal(タイダル)で提供しているポッドキャストで、アーティストのメンタル・ヘルスについて発言している。

番組はヒップホップ・サイト「Rap Radar」の代表を務めているヒップホップ評論家エリオット・ウィルソンと、ヒップホップ・アーティストであるBrian "B.Dot" Millerも参加しての形で行われた。

前編では噂されているジェイとカニエ・ウェストの不仲についてジェイが触れている。カニエが自身のステージでのMCでジェイとビヨンセの娘ブルー・アイヴィーを引き合いに出して非難したことを例に上げ、これまでもカニエとの間には諍いが数知れないほどあったが、家族を引きずり込んだらもう容赦はできないと明らかにしていた。


後編は話題がチェスター・ベニントンの自殺に及び、これにジェイは「アーティストは自分の身体に気を配らないといけない」と語ってから次のように続けた。

「それと自分たちの精神衛生についても気をつけなければならないんだ。実はたくさんの人たちがああいうトラウマを今も抱えていて、だけど人目を気にして自分から助けを求めようとしないんだ。特に(低所得者層の多い)俺たちが育ったような地域ではなおさらそうなるんだよ。辛いことがあった後のPTSDとかそういう話があるわけだけど、(犯罪多発地帯では)それどころの話じゃないんだよ。兄弟二人が死んでて、父親が殺されてるなんて人がいるわけで、これはトラウマだよ。しかも、そういうことがちゃんと対応されていないっていうケースがたくさんあるんだよね」

「たとえば、シャキール(・スチュワート。デフ・ジャムの重役だったが2008年に自殺)とか、クリス・ライティ(ショーン・コムズ、NAS、ミッシー・エリオット、50セント、マライア・キャリーらを手がけたマネージャー。2012年に自殺)とか、どんな思いに捉われてしまっていたんだろうって考えるよね。

たいていはね、そういうことをすると、身勝手な死に方だって言われがちなんだ。でも、そうじゃないんだよ、そうなっちゃうってことは病気だったってことなんだ。きっと苦しんでたんだよ。俺たちにはそれがどんな苦しみだったのかきっとわかりもしないような苦しみなんだ。しかも、誰も気づいてないんだよ。まったく気づかれてないんだ。俺たちがそういうものと向き合おうとしないのは、かっこ悪いからなんだよね。でも、ちゃんと自分の面倒をみなくちゃいけないんだ」

さらにパフォーマーになることの心理的な影響をジェイは次のように説明する。

「人っていうのは所詮人間だからね。生活がいきなり持ち上げられた状態っていうのはさ、たとえば、(ライブで)お客さんが1万人、2万人単位で自分に向かって叫んでるっていう状態はまともなもんじゃないんだよ。まともな神経じゃやってけないんだから。

そういう状況があるという前提で、自分の辛いことは全部覆い隠していくわけだよね。というのは、それだけたくさんの人たちを目の前にしたら、それを曝け出すわけにはいかないからさ。自分の家族にだって話すことが辛いことってあるわけで、家族に対して本音をぶちまけるのだってそれなりに大変だっていうのに、世の中を前にして打ち明けるってちょっととんでもないことだろ……」

また、新作『4:44』の"Smile"では、自身の母親がレズビアンだったことをジェイは歌詞で明かしており、「母には子供が4人いたけどレズだった/あまりに長く隠していたせいで自分自身が悲劇になった/隠してなければならないから薬に頼った/社会からの辱めと責めはあまりに辛すぎた」と綴ってみせていたが、この歌詞を作品として発表するのをどう母親を説得したか、ジェイは次のように説明している。

「最初に曲を聴かせた時は絶対にだめって反応だったよ。それで俺はこう促したんだよ、『世の中にはそれを隠してる人がまだたくさんいるからこれはすごく重要なんだよ。それにおふくろのためにもなるよ』ってね。俺としては、今の母がなりかけている人物像がとても嬉しかったんだよ。好きなように人生を生きてありのままに振る舞うっていうさ」

また、ブルー・アイヴィーがフリースタイルを披露する"Blue's Freestyle / We Family"については、ジェイもビヨンセも手を貸したわけではなく、ジェイがビートを流していたところ、やぶからぼうに娘がフリースタイルを始めたのだとも番組の中でジェイは明かしている。
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