ともに関西出身で、「お笑い」に対して多大なる愛情を抱く菅田と桐谷。板尾創路が監督を務めた本作では、俳優としてそれぞれが表現にシビアに向き合う姿勢と、漫才師という役を通して映画に熱を通わせた様子を赤裸々に語っている。
日常で俺らが話してるボケとかツッコミが、画に入ってくるんですよね。それって面白いと思うんです。自分の中にはない何かを演じるのも面白いけど、自分の日常や生き方を出せる喜び。そういうのが神谷(桐谷)と徳永(菅田)の関係性の中で、お互いに出たんちゃうかな(桐谷)
それぞれが育ってきた大阪という土地柄から、日常的に浸透しているお笑いの感覚があり、役を離れても映画の中と似たような関係性があったと語るふたり。それぞれの等身大の掛け合いを写し出したかのような役を通して、自分がやりたい表現で、観ている人を感動させられたという理想的な瞬間もあったと言う。
何かを表現する人は、自分の表現と大衆に伝えなあかん表現との境界線で努力していかなあかん部分ってどうしてもあって。それは俳優業も一緒で、僕の中にも、好きなようにやらしてくれよ、純粋に自分が楽しんだものでみんなが楽しめれば一番ええのにっていう理想論はどっかにあるし。でもこの映画では、その理想みたいなものを体現できたと思った瞬間があったんです。ちゃんとやったら伝わるもんは伝わるなあってすごく感じました(菅田)
芸人の世界での葛藤や情熱を、誰もが共感できる普遍的なものに昇華させた映画『火花』。本作に掛けた菅田と桐谷の想いの強さを、笑いあふれる対談を交えながら語った必読のインタビューだ。