『僕のヒーローアカデミア』のタイアップとして制作された“ピースサイン”や、菅田将暉とのデュエット“灰色と青”など、タイアップやコラボレーション曲が多く収録された本作。他者との関係性がよりダイレクトになったことで自分自身と向き合う機会も増え、自分というものが一番色濃く出たという本作について、自身の想いを語っている。
昔の、閉ざされた空間で作っていたものが好きだったと言われることに対しては、そりゃそうだよなとも思います。そういう人からは落胆もされるだろうけど、ああやればこう言われるっていうところからはもう抜け出せないとも思うので、自分が一番刺激的だと思うことをやっていくのが正しい姿なのかなって思います
(菅田将暉とのコラボレーションについて)菅田くんに対して、この人は何か自分に共通している部分があるんじゃないか、じゃないと説明がつかないなっていう感覚がすごくあったんです。(中略)この曲をそれぞれだけが歌ったバージョンを聴きたいとかも言われますけど、それはもう本末転倒で、米津玄師と菅田将暉というふたりがあの曲に存在しないと、途端にばらばらと崩れ去ってしまうような音楽になっているんですよ
また、『BOOTLEG』=海賊盤と名付けた本作については、周りからの評価に対するアンチテーゼも込められていると語る。
自分の音楽に対して『オリジナリティ』って言葉をものすごく使われるんですけど、それに対して居心地の悪さを感じていて。自分の音楽は、普遍的なものでありたいと思っていて、それは自分が好きだったアーティストが脈々と積み上げたものの先端で何をやるかっていうことなので、過剰なオリジナル信仰みたいなものに対するファックが強くあるんですよね。だから、敢えて皮肉な意味も込めて、海賊盤というタイトルをつけました
傑作アルバム『BOOTLEG』がどのように生まれ、それが今後の作品にどう繋がっていくのか、彼のこれからに期待が高まる必読のインタビューだ。
なお誌面では、インタビューに続いて3rdアルバム『Bremen』以降、CUTで掲載してきた彼のインタビュー記事のすべてを振り返る特集も掲載。デビュー以降絶えず変化を続けてきた音楽家・米津玄師の進化に改めて触れてほしい。