星野源のツアー「Continues」のコンセプトはなぜ生まれたか? その答えがドキュメンタリー映像の中にある


もうひとつ、「Continues」は「つづく」=「コンティニュー」という、ゲームの区切りを連想させ、オープニングのボイスドラマのキャストには、星野自身が愛する『メタルギアソリッド』のスネーク役である大塚明夫と、『STEINS;GATE』の岡部倫太郎役である宮野真守をブックしたということも明らかにされた。なるほど。そんな発見の連続で、このドキュメンタリー映像は、今回のツアーの真意を理解する上で、非常に貴重な映像だと思う。しかも本編映像にはもちろんのこと、このドキュメンタリー映像にも、星野自身とインタビュアーでもある山岸聖太によるコメンタリーが収録されていて、そちらも聞き逃せない内容になっている。何重にも、何度でも、「Continues」のツアーを振り返ることができて、より星野源の掲げたコンセプトの深さに触れられる内容なのだ。

それだけでなく、各地でのバックステージやリハーサル時の様子など、なかなか見ることのできない映像も満載で、本番前の星野のリラックスした様子や、バンドメンバーとの和やかな会話、さらには、様々な会場でのステージチェンジの様子(本番中、例えばメインステージからアリーナ中央付近に設けられたサブステージへ、星野源がどのように移動していたのかがわかる映像など)が惜しみなく盛り込まれ、ファンならずとも一見の価値あるドキュメントフィルムなのである。

ドキュメンタリー映像の中では、ダンサーやスタッフを含め、ツアーをまわるメンバーとのリレーションについても、星野は何度も言葉にしていた。最終公演では「感じたことのない感覚、波動をバンドの音に感じた。温かい空気がわーって後ろから出てくるみたいな不思議な感覚」。その語りの後で“Family Song”の演奏風景が流される。確かにこのサウンドの、繊細だけれどしなやかで、すべてのパートが同じ景色を共有していなければ生まれないであろうグルーヴは、奇跡と必然が両隣にあるような、スピリチュアルな部分をくすぐるような音だと思う。この曲が、このツアー中に制作され、レコーディングされたというのも、やはりひとつの奇跡であり、必然なのかもしれない。


ドキュメンタリーの最後で星野は「今いきなり星野源というものがいるんじゃなくて、ずーっと積み重なって来てるんだっていうのがライブでも表現できている」と語っていた。1つの「瞬間」でしかないライブという場でありながら、そこで、長く続いてきた音楽というものへの愛、そして自分が続けてきた表現が、どの曲ひとつをとっても点ではなく線でつながっているという確信、さらにはその線を、ミュージシャンとしても人間としても信頼できる素晴らしい仲間たちと一緒に広い面や立体に膨らませていく喜びまでを見事に表現したこのツアーは、これからもずっと語り続けられるものになるだろう。そして、そこで衝撃を受けた次の世代が、また新たな音楽を紡いでいくのだろう。その素敵な「Continues」を、ぜひドキュメンタリー映像とともに堪能してほしいと思う。(杉浦美恵)
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