“Electron Blue”- 2004年『アラウンド・ザ・サン』
アルバムを作るのに時間がかかり過ぎて、ピーター(・バック)が業を煮やしちゃったんだよね。リリースされた頃にはもう、まったく気持ちがなかったんだ。もう嫌いになっちゃってたんだよ。曲もライブ・バージョンの方がよっぽどエネルギッシュだしテンポも速くて、たぶんもっと良いものになってるよ。
結果的にセールスもうまくいかなかった『アラウンド・ザ・サン』だが、「光から作り出したドラッグを売ってる売人の、語りと疎外感を捉えた話」を描いた収録曲“Electron Blue”はスタイプ自身が見た夢を表現したものなのだという。
また、本作のセールスによりかつての人気が消滅していたことに気づかされたと、次のように当時の心境を明かしている。
いい気分じゃなかったね。トップにいる時は、それがずっと続くように思えるもんだからさ。それが分からないでいると、分かった時には自分が大間抜けのように思えちゃうんだよ。
本当にしんどい教訓なんだ。だから、今じゃみんなに言うんだよ。「その瞬間を楽しむことだよ。そこにずっと居て、その感覚を味わわなきゃだめだよ」ってね。
“Supernatural Superserious”- 2008年『アクセラレイト』
上述の『アラウンド・ザ・サン』のあと、ついにそのダイナミズムを取り戻した作品として絶賛を呼んだ『アクセラレイト』について、スタイプは以下のように語る。
私たちは、ずっとロック・アルバムを作ってみたかったんだ。それを一度でも実現できたのかどうかはよく分からないんだけどね。『アクセラレイト』はぼくの耳にはまだ粗い感じがするんだけど、それでも刺激的なところがあるんだ。
そして、同作の収録曲である“Supernatural Superserious”については、ひとりの人間が自身の変貌によって勝ち取る自由とその代償となる痛みを歌ったもので、「このキャラクターも大好きだし、この話も大好きだし、この歪んだ感じが大好きなんだよ」と、R.E.M.の楽曲の中でも最も好きな曲なのだと明かす。
さらに、それまで無関心を貫いてきた世評に初めて応じたアルバムだったのだと、以下のようにも語る。
このアルバムは、(不評だった)『アラウンド・ザ・サン』への反動だったんだよ。そういう反動は絶対にするまいと思っていたにも関わらずね。でもなんだかんだ言って、結局はこうなってしまうんだ。
私たちは、酷い作品では自分で自分の足を撃ち抜くようなことをしてるんだ。たいていは、バンド内で起きていることが表面化したものなんだけれどね。
(R.E.M.“らしさ”についてバンド内で意見がまとまらなかった前作では)すべての題材が一旦、(ボーカルである)私を通ることになるわけだからね。すると結局、レコーディングされなくなったものについて、あるいは音源が歌にされてしまったことについて不平不満も出て来るんだよ。
私は私で、メロディも歌詞もとても書けないようなコード進行の音源を渡されて、それも不平不満のもとになるしね。
“Oh My Heart”- 2011年『コラプス・イントゥ・ナウ』
『アクセラレイト』収録の“Houston”の続編となる“Oh My Heart”では、“Houston”ではハリケーン・カトリーナによる被災でニューオーリンズから西を目指す人物を歌っていたのに対して、この曲ではニューオルリーンズの復興を目指す人物が描かれている。
特に地理や地名にこだわることについてマイケルは次のように語っている。
人から話を聞いてなにかを思い出そうとする時、私はいつも「それがどこでのことだったか、まずは教えて」って聞くんだ。別に障害があるとかそういうことじゃないんだけど、私の脳味噌は普通の人とは事実の整理の仕方が違うんだよ。
その出来事の場所を言ってもらうだけで、記憶が200パーセントくらい良くなるんだ。まあ、それも子供の頃(軍属だった)父と母と、いつも引っ越してたことと関係してるのかもしれないよね。あるいはバンドをやっていて、いつも移動してきたことと関係してるのかもしれないし。
“We All Go Back to Where We Belong”- 2011年『Part Lies, Part Heart, Part Truth, Part Garbage: 1982-2011』
バンドの解散と同時にリリースのベスト盤に収録された未発表曲のひとつ。マイケルは2011年の解散について、次のように説明している。
レーベルとの契約が終了して、このままくだらない存在へ成り果てていくっていう誰も望んでいない道をそのまま歩んでいくのか、それとも自分たちから一線から離れてそれまでやってきたものをそのまま残していくのか、その難しい判断をする時が来たとわかったんだ。
だけど、やめた場合にはその後の一生を「いや、再結成はしないよ、いや、カムバック・ライブもツアーもしないよ」といちいち断りながら過ごしていくことになるんだけどね。
昨日の夜も、あるカクテル・パーティーで持ちかけられたんだよ。「プライべート・パーティーのブッキングをしている者です。3曲演奏するという再結成のために、必要なギャラはどれくらいになります?」ってね。だから、「世界中の金をかき集めても足りないよ」と答えたら「どうもありがとうございます。実はあなた方の大ファンで、金で動かせないことを確認したかっただけなんです」って言ってきた。
それで思ったんだよ、そう言ってくれてすごく嬉しいな、でも、人を騙してるよね、死ねよこのクソボケってさ。私たちはお互いに本当に愛し合っていたし、やってきたことも大好きなんだけど、もうやるべきことではないんだ。