ハーツ @ マイナビBLITZ赤坂のライブレポート公開!

ハーツ @ マイナビBLITZ赤坂のライブレポート公開! - Photo by YOSHIAKI KAYAKIPhoto by YOSHIAKI KAYAKI

通算4作目となるアルバム『デザイア~衝動~』を1月24日にリリースしたハーツだが、1月29日(月)マイナビBLITZ赤坂にて行われた来日公演のライブレポートが公開された。

レポートはこちら。



ハーツのライブを過去に一度でも観たことがある人ならばご存知だろうが、彼らのライブは常に驚くほどエモーショナルでアンセミックだ。「欧州的エレガンスを漂わせた、耽美なエレクトロ・ポップをやるデュオ」という、アルバム音源や彼らのヴィジュアルから得られるイメージは、ライブが始まってものの数分で覆される。

前回来日のフジロック(2013)も、フラットな温度で彼らを観ていたフェスのオーディエンスを熱狂させた素晴らしいステージだったが、今回の5年ぶりの単独来日公演は、さらにパワフルに進化したハーツのライブ・パフォーマンスを目撃できた興奮の一夜となった。

彼らのライブ進化の原動力となったのが、最新アルバム『デザイア~衝動~』だ。リズムとグルーヴを徹底的に鍛えたダンス・アルバムでもある本作によって、彼らのエレクトロ・ポップにフィジカルな説得力が増したからだ。EDMやディスコのエッセンスを取り入れたアッパーな新曲“Ready to Go”、ラウド・ギターが駈けるロック・バンド然とした“Sunday”など、ショウの前半からウォーミング・アップを必要としない瞬間沸騰のパフォーマンスだ。

ライブではセオ(ボーカル)とアダム(ピアノ、ギター)に加え、ドラムス、ベース、キーボード、そして女性コーラス2人というバンド編成が基本となるハーツだが、今回はとりわけそのバンド・サウンドが活かされたダイナミックなパフォーマンスだ。

ただし、エモーショナルでアンセミックとは言っても、ハーツのライブはすべてが開けっぴろげで分かりやすいわけではない。たとえば、彼らのステージのライティングは非常に暗い。時折バックライトがフラッシュのように点滅し、ピンスポットライトが仄かにセオやアダムを照らし出すものの、ショウは基本的に薄闇の中で進んでいく。

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「HURTS」と書かれたバックドロップもモノトーンでシンプル。アダムが弾くグランド・ピアノの上に置かれた白い薔薇の花束も含めて、彼らのステージはどこかシアトリカルでミニマルな美意識で貫かれたものなのだ。そしてそんなステージ上で溢れんばかりのパッションが躍り、過剰なまでに分厚いシンセ、コーラスが宙を突き抜けるという、静と動、影と光のコントラストが圧巻なのだ。

白いシャツに細身の黒パンツで王子然としたルックスのセオも「メイク・サム・ノイズ!」と何度も叫び、“Rolling Stone”ではしゃがれた声で野太いシャウトを繰り返すなど、ステージ上では徹底したショウマンでもある。

後半は新作『デザイア~衝動~』で彼らが獲得したリズム、グルーヴの多様性が活かされたセクションで、ヒップホップ的アレンジを効かせた“Sandman”や、ファンクやアフロ・ポップのリズムも取り入れた新機軸の新曲“Walk Away”など、ハーツの今後を見据えた未来志向のセットになっていた。

そして「日本の皆は本当にビューティフルだ、次の曲は君たちに捧げるよ」とセオが言って始まった“Wonderful Life”から、彼らとオーディエンスが声を合わせて「僕らは美しき者たち」と宣言した“Beautiful Ones”、そしてセオが白薔薇を次々とフロアに投げ込んでいった“Stay”と、本編ラストからアンコールへの流れはハーツとファンが共鳴、共振しながら昂り、ひとつになっていく最高のフィナーレだった。
(文: 粉川しの)



ニュー・アルバム『デザイア~衝動~』のリリース情報は以下。

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