サカナクション『魚図鑑』を聴いて(浅瀬は凶暴、中層は優しい、そして深海には愛がある)

サカナクション『魚図鑑』を聴いて(浅瀬は凶暴、中層は優しい、そして深海には愛がある) - 『魚図鑑』完全生産限定盤プレミアムBOX『魚図鑑』完全生産限定盤プレミアムBOX
このベストアルバムを聴くと、いかにサカナクションが飽くなき探究心を持って音楽の無限の海洋を、縦横無尽に浅瀬と中層と深海を行き来しながら泳ぎ回ってきたかが伝わってくる。
面白いのはDisc 1の「浅瀬」がポップで、完全生産限定盤プレミアムBOXのDisc 3の「深海」がコアで、Disc 2の「中層」がその中間という風には簡単には割り切れないところ。
浅瀬のサカナたちは、不特定多数のリスナーの心の襞の奥にある情熱に火を点ける凶暴さを持っている。
中層のサカナたちは、痛みを伴う大切な記憶について語り合える友人のように優しい。
そして深海のサカナたちは、愛という言葉がいらないくらいの剥き出しの愛で包み込んでくれる。

どの層のサカナもポップであるからこそコアで、コアであるからこそポップ。
この『魚図鑑』を片手にサカナクションにしか生み出せない音楽の海を泳ぎ回りながら新作を待つとしよう。(古河晋)
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