ウータン・クラン、世界に1つの2億円アルバムを巡り起訴される。写真家が無報酬で雇われたとの訴え

ウータン・クラン、世界に1つの2億円アルバムを巡り起訴される。写真家が無報酬で雇われたとの訴え

2015年に1部だけリリースされたウータン・クランの2枚組アルバム『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・シャリオン』の収納箱を撮影したカメラマンが、その写真を不当に使われたとしてバンドを提訴。100万ドル(約1億600万円)の賠償金を要求していることが明らかになった。

『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・シャリオン』は2008年から2013年にかけてウータン・クランのメンバーを招集して制作された幻のアルバムで、17世紀のバロック音楽のように、パトロンのために1回きりの作品として制作するという目的で制作された。ウータン・ファミリーのプロデューサーのシルヴァリングスが始めたこのプロジェクトには、その後ウータンの総帥RZA(レザ)も加わり、グループ・プロジェクトになったと知られている。

音源がいったん完成すると作品は2枚組CD1セットだけがプレスされ、ウータンのロゴや緻密な彫金が施された銀製のケースに収納。さらにそのケースがウータンのロゴや緻密な彫金が施された銀製の箱に安置され、2014年から買い手がつくまでモロッコのマラケシュにあるホテル、ロイヤル・マンスールの金庫に保管されていた。


アルバムの音源によって収入を得ることは2103年まで禁じられているが、所有者が音源を無料で公開することや公的な場所で再生することは許されているという条件がついたまま、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・シャリオン』は2015年にオークション・ハウスPaddle8に出品され、若手の投資ファンド・オーナーのマーティン・シュクレリが200万ドル(約2億1200万円)で落札することになった。ただ、シュクレリは買収した製薬会社の医療薬を1錠13.5ドル(約1431円)から750ドル(約7万9500円)へと釣り上げるという悪辣な経営で知られた人物だったため、ファンからは大きな反感を買うことになった。

「Pitchfork」によると今回訴訟を起こしたのは写真家のウォーレン・パターソンで、2013年から2014年にかけてこのアルバムが収められる銀製の彫金が施された箱の撮影を行ったといい、およそ80時間この撮影のために拘束されることになったという。しかし、パターソンはどのような契約も交わしておらず、報酬も受け取っていないという。

パターソンは該当の写真が撮影後に弁護士事務所に送られ、そのままシュクレリの手に渡ったところまでは知っているのだという。この写真が作品の制作や販売に使われているとすれば、著作権を侵害するとして賠償金100万ドルを要求しているという。

パターソンは被告として、メソッド・マン、RZA、レイクォン、カパドナ、ゴーストフェイス・キラ、GZA(ギザ)、インスペクタ・デック、マスタ・キラ、U-ゴッドの正規メンバー全員を相手取り訴訟を起こしている。


なお、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・シャリオン』を所有しているシュクレリは証券売買詐欺容疑で逮捕訴追され、今年の3月に7年の実刑判決と730万ドル(約7億7380万円)の罰金を言い渡されている。罰金の支払いのためにさまざまな資産の差し押さえが検討されており、その中には『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・シャリオン』も含まれているという。
公式SNSアカウントをフォローする

洋楽 人気記事

フォローする