のんはなぜ全力で「楽しむ」ことを選んだのか? 『スーパーヒーローズ』DVD収録のドキュメンタリーを見てわかること

のんはなぜ全力で「楽しむ」ことを選んだのか? 『スーパーヒーローズ』DVD収録のドキュメンタリーを見てわかること - 『スーパーヒーローズ』CD+DVD『スーパーヒーローズ』CD+DVD
のんが、5月9日に1stアルバム『スーパーヒーローズ』をリリースした。


同作には楽曲制作陣に高橋幸宏矢野顕子大友良英、真島昌利、尾崎亜美、プロデュースに数々の名作を生み出してきた飯尾芳史といった名だたるメンバーが集結しているほか、シングル曲“スーパーヒーローになりたい”、“RUN!!!”、そしてのん自ら作詞作曲を手掛けた新曲を含む全12曲が収録されている。パンクロック的な熱量を持ち、シンプルで潔いギターフレーズが鳴り響く、純度100パーセントの初期衝動が詰め込まれた作品だ。

今作はCD+DVD盤、CD盤、ファンクラブ限定盤の3形態が用意されており、CD+DVD盤にはのんが音楽活動を開始してから、『スーパーヒーローズ』を完成させるまでを追ったドキュメンタリー映像「のんと音楽」が約50分にわたり収められている。

昨年4月の、のん作詞作曲によるパンクナンバー“へーんなのっ”の制作現場から始まるこのドキュメンタリー。本格的な音楽活動の第1弾として発表された、サディスティック・ミカ・バンドのカバー曲“タイムマシンにおねがい”のレコーディング映像では、大きなスタジオの中、一段と緊張した面持ちでギターを抱えるのんの姿が映し出されている。それもそのはず、高橋幸宏、小原礼、佐橋佳幸、Dr.kyOnといったミュージシャン達に囲まれている上、同録だからプレッシャーも一入だったことだろう。しかし、いざ曲が始まり、足でリズムをとりながら真剣な表情でテレキャスターをかき鳴らす様は、もうすでにギタリスト然としている。

そのほか、仲井戸"CHABO"麗市が参加したRCサクセションのカバー曲“I LIKE YOU”のレコーディング風景、MVやアルバムのブックレット撮影現場、夏フェス初出演となった「WORLD HAPPINESS 2017」の裏側、自身のバンド「のんシガレッツ」を初披露した女子美学園祭ライブの模様も収録されており、昨年末に開催された主催イベント「のん、KAIWA フェス Vol.1 ~音楽があれば会話が出来る!~」のリハ・本番の様子も垣間見ることが出来る。

これらの映像に、のんによるインタビューの言葉が挟まれるのだが、とにかく全部に「楽しい」という単語を使っているのが印象的だった。昨年夏から音楽活動をスタートさせ、名だたる音楽家たちとのレコーディングやライブ共演、そしてCDリリース、その全てが彼女にとっては初めての経験で、「これでいいのだろうか」という迷いや不安は当然あったはずだ。それに、のんはきっと器用とは言えない人間である。だからこそ純粋に、自分が本当に好きなものを正直に「好き」と言ってしまうこと、楽しいと思うことを全力でやって「楽しむ」ことだけを選んだ。ライブステージや撮影現場で、大好きな忌野清志郎のようなカラフル&ド派手な衣装を身に纏い、スーパーヒーローになりきってポーズを決める彼女は、まぶしいほど生き生きとしている。

ロック好きであれば、誰しもが初めて楽器を手にして音を出した瞬間、またはヘッドホンをつけて部屋の中でエアギターに夢中になった時の、嬉しくて楽しくて、最強な感覚を経験したことがあると思う。何が起きても自分の好きな音楽だけを信じて生きていけそうなあの感じ。そんな衝動に突き動かされるままに駆け抜けるしかなかったリアルなのんの姿を、このDVD映像はとらえている。(渡邉満理奈)

のんはなぜ全力で「楽しむ」ことを選んだのか? 『スーパーヒーローズ』DVD収録のドキュメンタリーを見てわかること
公式SNSアカウントをフォローする

人気記事

最新ブログ

フォローする